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トリック の商品レビュー

4.4

13件のお客様レビュー

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2023/12/06

少し前に松野官房長官が関東大震災時に朝鮮人虐殺はなかったと発言したことに疑問を持っていた。学校でも朝鮮人虐殺があったと教えられておりどういうことだと思っていたところにこの本と出会う。 「あったことをなかったことにしたい」という浅はかで醜い考えで、当時の噂で出来上がった新聞を「本当...

少し前に松野官房長官が関東大震災時に朝鮮人虐殺はなかったと発言したことに疑問を持っていた。学校でも朝鮮人虐殺があったと教えられておりどういうことだと思っていたところにこの本と出会う。 「あったことをなかったことにしたい」という浅はかで醜い考えで、当時の噂で出来上がった新聞を「本当のこと」とし、震災後に落ち着いた頃にそれが誤りだったと書かれた新聞は切り捨てる行為が恥ずかしい。 「日本人(我々)は正しく有りたい」「加害者ではなく被害者の立場でいたい」というために被害者を更に踏みにじる行為に日本の政治家に落胆した。 良い本を読めたと思う。

Posted byブクログ

2023/09/27

工藤美代子、産経新聞、日本会議、自民党文教族、小池都知事、百田尚樹…… 彼らが掲げた「虐殺否定」は幼稚な”フェイク”だった! との解説がある。これをトリックとして暴き、その根拠をことごとく崩していく。 過去の資料の都合のいいところだけを抜き出し、自分たちの主張のためにツギハギし...

工藤美代子、産経新聞、日本会議、自民党文教族、小池都知事、百田尚樹…… 彼らが掲げた「虐殺否定」は幼稚な”フェイク”だった! との解説がある。これをトリックとして暴き、その根拠をことごとく崩していく。 過去の資料の都合のいいところだけを抜き出し、自分たちの主張のためにツギハギして世間の人の興味、偏見、差別意識を煽り立てる人たち。その論理の破綻をことごとく実資料で暴いていく。とても影響力があり一筋縄では屈しない作家や新聞社、団体に対して、骨のある作家・加藤直樹氏である。凄いことである。 大震災の混乱の中、人々が鮮人と差別し一方で恐れていた朝鮮人に対する警戒心から出たデマ。それを実際に見た人はいないにも関わらず、新聞も報道し、警察も動く。国も自警団を組織するように伝える。 が、しばらくしてそれが事実ではないことが分かっていく。警察も国も鎮圧に動くものの報道が独り歩きしていく。自警団も悪いことをしたと思っていない節もある。 そうした記録が公的文書で残り、殺人者への裁判記録もあるにも関わらず、それらをキチンと分析せずに公然と広く一般にこれらの歴史を無視し修正していく人たち。 現代にもあることではないかと思う。「福田村事件」の映画を見たのでこの本にたどり着いたが、普通の人々も集団となると逆上し狂気化していくことの恐ろしさを改めて感じた。冷静に状況を見ようとはせずに、自分の感情や偏見のままに、都合のいいところだけを主張し信じる人たちがいるのである。

Posted byブクログ

2023/09/16

第2章「虐殺否定論はトリックである」を読んで、怒りを通り越して呆れ果ててしまう。しかし、この稚拙過ぎるトリックに騙されている人が多数いるという最悪な現実に立ち向かうしかなく。本書がさらに脚光を浴びんことを。

Posted byブクログ

2023/09/09

『九月、東京の路上で』の作者による、朝鮮人虐殺を無かったと主張する歴史修正主義者のやり口を解説・否定する本。 後に否定された記事を証拠として提示、原文を省略し原文の意図とは正反対の証言とするなど、悪質なトリック多数。 「主張する殺された人数が明らかに多すぎるから、虐殺自体も嘘...

『九月、東京の路上で』の作者による、朝鮮人虐殺を無かったと主張する歴史修正主義者のやり口を解説・否定する本。 後に否定された記事を証拠として提示、原文を省略し原文の意図とは正反対の証言とするなど、悪質なトリック多数。 「主張する殺された人数が明らかに多すぎるから、虐殺自体も嘘に決まってる」みたいなのは、他のデマでも使われているやり口だし、こういう方法を使えばどんな誤った事実でもそれらしく見せる事が出来るっていうのがよく分かる。実際、ホロコーストすら無かったと主張する高須院長みたいなのもいる。

Posted byブクログ

2023/09/06

改めて具体的に示されると江戸しぐさや武功夜話と同等かそれ以上に悪質。流言の資料として編纂されたきちんとした史料集から流言部分だけを抜き出して論拠にする、なんて信じがたいことしてるのには本文中でも書かれていたうすら寒さを感じました。

Posted byブクログ

2021/03/29
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※このレビューにはネタバレを含みます

トリック 「朝鮮人虐殺」をなかったことにしたい人たち 著者:加藤直樹 発行:2019年6月29日    ころから 同じデタラメでも、なんぼなんでも無理がありすぎるというのが、関東大震災における「朝鮮人虐殺はなかった」という主張。工藤美代子と加藤康男なる作家夫婦が作り上げた戯言にすぎないが、小学館の「SAPIO」に掲載され、書籍として産経新聞出版(2009)と、右翼雑誌WILLを出しているWAC(2014)から出版された内容について、著者はきっちりと反論し、そのデタラメさを証明していっているが、この本を読んで3分の2あたりまでくると、もう読む気がなくなってくる。 工藤・加藤夫婦による元々の主張があまりに稚拙な戯言なので、もう反論なんか読まなくてもええわ、という気持ちになるのである。 しかし、惰性で読み進んだ残り3分の1にこそ、この問題の本質があった。著者は「朝鮮人虐殺はなかった説は存在しない」と強調する。そういう主張(論)はあっても、説ではない、という。確かにその通りで、まったく根拠がない主張は説とはいえない。慰安婦問題や南京大虐殺とはレベルが違う。 警察、裁判などの記録があり、国をはじめとする多くの公的機関が朝鮮人虐殺を記録しているのに、逆に「朝鮮人暴動があった」と、工藤・加藤夫婦は震災直後に出回った「朝鮮人暴動」を伝える誤報記事を証拠として主張している。現在、ネットで出回っている古い新聞記事がそれ。名古屋壊滅、津波で品川が全滅、という誤報も出たほど混乱していた時期のもの。もちろん、そうした事実がない、嘘だということは、後に警視総監や軍も公式に発表しているにもかかわらず。 また、政府は、朝鮮人暴動はあったが隠蔽をはかっている、なぜなら刺激しすぎると手がつけられない暴動になるから、との陰謀論も主張しているが、その根拠はある人の証言だったという。そして、その人物は、工藤の父親、加藤の義父だった。大笑いのオチ。 このようなデタラメさ、あまりの稚拙さを証明する証拠は枚挙にいとまがないが、問題は、こういうデタラメ主張の一部がネット上で出て拡散してしまうことである。中身もよく分からずに切り貼りして拡散する大ばかか、ヘイト目的の連中がすることなど、放っておけばいいことだと思うが、「嘘も百回言えば真実になる」現象により、こうした戯言がいつのまにやら“説”として扱われるようになることが一番恐ろしい。著者はそれを一番恐れている。 確かに、その通り。実に嘆かわしい現象ではあるが、2003年に内閣府の中央防災会議が出した専門調査報告書が、一時、内閣府のホームページから削除されるという事態が起きた。そこには朝鮮人暴動はなかったこと、朝鮮人殺傷を災害時の反省点としなければいけないことなどがちゃんと書かれているためだ。デタラメな戯言も、段々“力をつけて”きて、こういう事実をなきものにしたい人たちからの圧力が働き始めているという証拠だ。 ご存じのように、東京都立横網町公園で毎年行われる「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼碑」前での追悼式典に、石原慎太郎知事ですら寄せてきた都知事による追悼文を、小池知事は送付しなかった。こういう動きが、もう堂々と行われ始めている。

Posted byブクログ

2021/10/04

「虐殺否定論なんて馬鹿げている。相手にしなくていい。」確かにそう思う。でも放っておいたらそうして広まった言説を見た人がうっすらとそんなこともあるのかと思い、いつしか居座っているのが本当に恐ろしい。 理不尽な事だが、分かっている人からしたら当たり前のことを、貴重な時間を使って一つ...

「虐殺否定論なんて馬鹿げている。相手にしなくていい。」確かにそう思う。でも放っておいたらそうして広まった言説を見た人がうっすらとそんなこともあるのかと思い、いつしか居座っているのが本当に恐ろしい。 理不尽な事だが、分かっている人からしたら当たり前のことを、貴重な時間を使って一つずつ丁寧に詳らかにしてもらう事で私のような無知っ子も納得できる。 声を枯らして主張してもらって申し訳ないがお陰様で知り考えることが出来る。 「否定論者は、論点が真っ二つに割れていて、自分たちがその"一方の立場"にあると認知されたいのである」 二つの意見が出てきた時点で、じゃあそちらの意見も聞いてみようかとなってしまうことがもう否定論者に利することになる。そのような説もあると、認められることになる。なんだろうね。理性的で、平等であろうとする事で暴論ですら一つの説に昇格させてしまうというジレンマ。 私は何よりこの朝鮮人も悪かったのだから仕方なかったのだというのが怖すぎ、気持ち悪い。 虐殺と相殺できることなどない! ぜひ読んで欲しい。

Posted byブクログ

2020/05/25

フェイクニュースの対処の仕方がわかる本である。 歴史で諸説あるは間違いであるということ。 フェイクの作り方では 1 フェイクの記事を取り上げること 2 言い伝えをそのまま書くこと 3 記事の都合がいいところだけをきりとること  である。

Posted byブクログ

2020/05/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

日本に都合の悪い事はあってもなかったことにしたいと思う人がいるようだ。あのてこの手を使って誤魔化そうとする。 トリックに騙されないようしたいが、上手な手品師のトリックには騙されてしまうに違いないとは思う。

Posted byブクログ

2020/05/07

これは今の日本における「シン・コロナ騒動」に見られる行動に通じるものがあると強烈に感じた。 関東大震災直後の混乱により、軍・警察・市民らの手により、多数の朝鮮人が虐殺されたことは、紛れもない事実というのが大前提である。 ・神奈川警備隊司令官 奥平俊蔵中将:「騒擾の原因は不逞日本人...

これは今の日本における「シン・コロナ騒動」に見られる行動に通じるものがあると強烈に感じた。 関東大震災直後の混乱により、軍・警察・市民らの手により、多数の朝鮮人が虐殺されたことは、紛れもない事実というのが大前提である。 ・神奈川警備隊司令官 奥平俊蔵中将:「騒擾の原因は不逞日本人にあるはもちろんにして、彼らは自ら悪事をなし、これを朝鮮人に転嫁し…。横浜においても朝鮮人が強盗強姦をなし…を耳にせるをもって、これを徹底的に調査せしに、ことごとく事実無根に帰着せり。」 また、以下普通の新聞で報道されたデマ(内務省社会局『大震災誌』) ・伊豆大島は水面下に沈降し、島影を認めざる ・秩父連山大爆発噴煙天に冲す ・山本首相暗殺、主義者の暴動による ・東京灼熱華氏150度(摂氏65度位)避難民死亡数知れず 等々、滅茶苦茶な記事が各新聞により大々的に報道されていた。そんな新聞には朝鮮人による暴動・犯罪報道も各種なされているが、ほぼ全てがデマであったことが確認されている。(これら新聞記事が、暴動あった派の根拠となっている) そして工藤美代子・加藤康男夫妻による著書の主張は大きく二点。 1.朝鮮人大虐殺は無かったし、有ったものは自衛。 2.朝鮮人こそ爆弾等による大規模なテロや放火・強盗・強姦を行ったが、日本政府がそれを隠蔽している。 この証拠として、当時の上記報道を事実とみなし、当時の書籍(デマであることを記した本からも)から意図的に自説に不利な部分を削除して引用という単純な手口が多い。 また、朝鮮人による暴動等が、公式にはデマとされている理由が笑える。内務大臣後藤新平が、警視庁官房主事の正力松太郎(後の読売新聞社主)に言ったのが「朝鮮人テロリストを追い詰めると、彼らは天皇や摂政宮を襲う」正力はこれに賛同し、以降朝鮮人暴動等の打ち消しに尽くした…この話を工藤は実父池田恒夫から聞き取った、というのがこの話の裏付けの全てである。この話を信じるにはどれ程自身の判断力を放棄すれば良いのか? 他にも「実際に朝鮮人の襲撃に心底怯えていた市民がこれほど居たのだから、朝鮮人暴動が実際に有ったことは常識的に間違いない」という論理を盛んに繰り広げる。 この人たちの常識レベルを推し量れないが、この様な思考回路の持ち主が、今の「シン・コロナ」において「これだけ多くの人達が、トイレ紙を買い求めているのだから、トイレ紙が絶望的に不足しているのは間違いない」と考え買い占めに走るのだろう。 さらに今、他県ナンバーの車に石を投げたりするなど、排斥活動が表面化している。2020年の同じ日本人の他県民に対してさえこの有り様。 認めたくはないが、民度が低すぎる。大正時代に朝鮮人虐殺活動が行われたのは、むしろ当然とすら思える。 まぁ、書いた本人や出版元の産経新聞は、以上の事を重々承知しているのだろうが、想定される購買層には十分通用する理屈だと考えたのであろう。

Posted byブクログ