風を繍う の商品レビュー
縫箔屋の娘、おちえ。針の腕より剣の腕が凄い。旗本の息子が、父親に弟子入りを願ってきたのだが…。 縫箔屋という、職人一家をめぐる物語。 恥ずかしながら、「縫箔」という言葉に初めて出会った。 この作家さんの描く、江戸の事件帖では、 まず「おいち」シリーズを楽しんでいる。 明る...
縫箔屋の娘、おちえ。針の腕より剣の腕が凄い。旗本の息子が、父親に弟子入りを願ってきたのだが…。 縫箔屋という、職人一家をめぐる物語。 恥ずかしながら、「縫箔」という言葉に初めて出会った。 この作家さんの描く、江戸の事件帖では、 まず「おいち」シリーズを楽しんでいる。 明るくて、おきゃんで、頑張り屋でな女主人公は、好きなのだが、 この作品の、おちえでは、なかなか感情が寄り添っていかなかった。 どうも、うるさい。 心の声が、しょっちゅう、ダダ洩れしている。 それも、気持ちが上がったり下がったりで、 それに付き合っていると、疲れる。 年頃の女の子の心の中は、こんなものかと思うのだが、 「おいち」はそれでも、もう少し、落ち着いている。 ま、ワタシがもう、おばあちゃんの年齢だから、 孫の言動に疲れを覚えるのと、似たようなものだろう。 こういう時は、主人公を取り巻く、周囲の人物に心が魅かれる。 父親の仙助、母親のお滝は、なかなかのつわもので、 さらに、「おいち」シリーズにも登場する岡っ引きの仙五朗が、 こちらでも顔を見せてくれるのは、嬉しい。 個人的には、こういう、渋い人物たちに心がついていく。 縫箔屋「丸仙」に、旗本の息子が、弟子入りを願って通ってくる。 同じころ、市中では、若い娘を斬殺する事件が続いていた。 剣術の達人だというおちえのキャラ設定で、 今後も、剣が絡んだ事件が起きてゆくのだろう。 シリーズ化されて、すでに三作出ている。
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おちえの描写が若干鼻につくのが気になるけれど、それも含めて上手いなぁと思わせる。世話物的な話を想像していたが、サブタイトルのとおり捕物帖だった。好みなのでかえってありがたい。
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面白いシリーズが始まりました。 弥勒シリーズは面白いけど 女の子を主役にしたものは 好きです。 剣術の好きな おちえ と武家の若様をやめて縫箔職人になろうとする 一居 ふたりとも美形なのも楽しみ 針と剣 ふたりを表すいい題名です。 次のお話しも楽しみです。
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縫箔と表紙の紹介文にあって、思わず手にした本。 とはいえ、あさのさんの作品を読むのは、実はもしかしてはじめてかもしれない。 あの名作『バッテリー』も何も、恥ずかしながら、読んじゃいない。 化政期の江戸。 深川の小規模な縫箔屋、丸仙が舞台だ。 その家の一人娘、おちえは、「今かぐ...
縫箔と表紙の紹介文にあって、思わず手にした本。 とはいえ、あさのさんの作品を読むのは、実はもしかしてはじめてかもしれない。 あの名作『バッテリー』も何も、恥ずかしながら、読んじゃいない。 化政期の江戸。 深川の小規模な縫箔屋、丸仙が舞台だ。 その家の一人娘、おちえは、「今かぐや」と言われるほどの美貌の持ち主。 けれど、女性ながら剣道の道場に通う活発な少女だ。 父の仙助は、名人と呼ばれる縫箔の職人。 その技に魅了され、吉澤一居という武士が弟子入り志願に訪れる。 剣の才に恵まれた吉澤がなぜ身分を捨てて、縫箔職人になろうとするのか。 しかし、この話の中心となる謎は、そちらではなく、連続少女殺人事件の方だ。 そして、仙助に許されて弟子となった一居が、おちえらと下手人を探し出す。 一居が信じられないほど切れ者で、謎をすいすい解いていくのに、驚く。 最初一居が犯人なのかと思ったくらい。 万能すぎる一居は、いささか便利な存在になっていはしないかという気さえする。 もうちょっと、縫箔のことが出てくるとうれしかったな。
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202109/縫箔屋の娘で勝気なおちえと、おちえの父に弟子入り志願してきた若侍・吉澤一居の物語。縫箔・刺繡の説明や描写は見事でひきこまれたけど、事件帖(江戸中を震撼させる娘斬殺事件)パートのほうは序盤でひっぱったわりには意外性もなくあっさりめで事件モノとしては物足りない。事件・ミ...
202109/縫箔屋の娘で勝気なおちえと、おちえの父に弟子入り志願してきた若侍・吉澤一居の物語。縫箔・刺繡の説明や描写は見事でひきこまれたけど、事件帖(江戸中を震撼させる娘斬殺事件)パートのほうは序盤でひっぱったわりには意外性もなくあっさりめで事件モノとしては物足りない。事件・ミステリ要素なしにお仕事・青春モノでもよさそうな感じ。
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剣才ある町娘と、刺繡職人を志す若侍。 一途なふたりの人生が交わったとき、事件が―― 深川の縫箔(刺繡)屋丸仙の娘・おちえは、 「弟子入りしたい」と丸仙を訪れた若侍・吉澤一居に心を奪われる。 娘斬殺事件が江戸を震撼させるなか、新たな事件が――。 あでやかな刺繡を生み出す職人技と、...
剣才ある町娘と、刺繡職人を志す若侍。 一途なふたりの人生が交わったとき、事件が―― 深川の縫箔(刺繡)屋丸仙の娘・おちえは、 「弟子入りしたい」と丸仙を訪れた若侍・吉澤一居に心を奪われる。 娘斬殺事件が江戸を震撼させるなか、新たな事件が――。 あでやかな刺繡を生み出す職人技と、その対極にあるような剣術。 ふたつの世界に生きるおちえと一居の葛藤と成長をみずみずしい筆致で描く、 一気読み必至の時代青春ミステリー!
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縫箔屋の娘・おちえと、剣を捨て、縫箔の道を選んだ一居。 まだ序章で今後どう進んでいくのか。 娘斬殺事件の謎解きなどは入れず、ふたりの葛藤と成長をじっくり丁寧に描いて欲しい。
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縫箔(刺繍)屋<丸仙>の娘でありながら、針仕事は全く出来ず、代わりに市中の道場で男の弟子を負かしてしまうほどの剣の腕の持ち主であるおちえ。 大身旗本の家に生まれ見事な剣の腕を持ちながら、武士の道を捨て<丸仙>に弟子入りを懇願する吉澤一居。 折しも四年前に起きた連続殺人事件が再び起...
縫箔(刺繍)屋<丸仙>の娘でありながら、針仕事は全く出来ず、代わりに市中の道場で男の弟子を負かしてしまうほどの剣の腕の持ち主であるおちえ。 大身旗本の家に生まれ見事な剣の腕を持ちながら、武士の道を捨て<丸仙>に弟子入りを懇願する吉澤一居。 折しも四年前に起きた連続殺人事件が再び起こり、そのことがおちえにも重要な転機として降りかかる…。 あさのさんの時代物は弥勒シリーズを始めいくつか読んでいるが、これはスルスルと読めてしまう。 弥勒シリーズと比べると年齢層が低いので青春物と言えるかも知れない。 また縫箔という職人技にスポットを当てたお仕事物の側面もあるかも知れない。 更にはおちえの一居に対する恋心、道場の兄弟子に寄せられる恋心を描く恋愛の要素もある。 そしてシリーズのタイトルでもある、殺人事件の真相を追う事件物の要素もある。 だがあさのさん特有の、心理描写にページを割きすぎて物語としては展開がもどかしく、その割にはアッサリと事件が解決してなんとも印象に残らない作品であった。 シリーズのタイトルが付いているし、多分シリーズとして続編を描いていくつもりでのアッサリ感なのかも知れないが、掴みとしては弱い気がする。 あれこれと要素を取り込んだもののどっちつかずでとっ散らかったままという感じだ。 この事件を機に、剣の道と縫箔屋の娘としてとの生き方の間にゆれるおちえと、武士の道を捨てて縫箔職人として厳しい修業に飛び込んだ一居のそれぞれの成長を描いていくのだろうが、続編が出たとしても読むかどうか、微妙なところだ。
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道場に通う勝気な町娘と剣の道を捨てて職人を志す青年のお話。 事件帖とはいうものの、探偵のようなことをするわけではなく、あっさり解決した感じがしました。
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