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猫をおくる の商品レビュー

3.5

12件のお客様レビュー

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2024/10/21

猫を弔う人たちの物語。 タイトルの「おくる」は、見送るの「送る」なんだな。読む前、何となく「贈る」かと思っていた。 猫寺と呼ばれるお寺の住職、真道(こちらは人の法事も行う)。真道が開いた霊園で猫専門の火葬をする藤井。愛する猫をここで弔ってもらった瑞季。 三人の視点で語られる、...

猫を弔う人たちの物語。 タイトルの「おくる」は、見送るの「送る」なんだな。読む前、何となく「贈る」かと思っていた。 猫寺と呼ばれるお寺の住職、真道(こちらは人の法事も行う)。真道が開いた霊園で猫専門の火葬をする藤井。愛する猫をここで弔ってもらった瑞季。 三人の視点で語られる、猫たちを中心とした世界。 猫たちがたくさんいる風景が愛らしくて(愛想はないのだけど)、彼らのためにいろいろしてやる人間たちが微笑ましい。 心痛むエピソードもあるけれど、あれもこれも猫が癒してくれる気もする。 個人的には別に猫派ではないけど、猫いいなぁと思わず感じてしまう、猫だらけの本。

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2022/10/27

初読み作家さん、図書館で出会った本。 猫たちがいつも過ごすお寺の住職を中心に猫好きの人々の暖かくて少し不思議な物語。 淡々と日常が過ぎてゆく描写が心地よく彼岸と此岸が入り混じると言うと大袈裟だけど、猫寺と呼ばれている場所の心地良さを感じた。いつ来るともわからない終の時まで生きな...

初読み作家さん、図書館で出会った本。 猫たちがいつも過ごすお寺の住職を中心に猫好きの人々の暖かくて少し不思議な物語。 淡々と日常が過ぎてゆく描写が心地よく彼岸と此岸が入り混じると言うと大袈裟だけど、猫寺と呼ばれている場所の心地良さを感じた。いつ来るともわからない終の時まで生きなきゃなぁと思った。

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2021/11/13

思っていたのと違っていて肩透かしの印象。 1話目のようなお話が続く連作短編かと思っていたのだけど、タイトルのような猫をおくる話は1話目のみ。 この話はすごく好きで、泣きそうになりながら読んでいて、その分その先への期待が高くなりすぎたかな。 あとは、その猫の葬儀屋を営むお寺の人たち...

思っていたのと違っていて肩透かしの印象。 1話目のようなお話が続く連作短編かと思っていたのだけど、タイトルのような猫をおくる話は1話目のみ。 この話はすごく好きで、泣きそうになりながら読んでいて、その分その先への期待が高くなりすぎたかな。 あとは、その猫の葬儀屋を営むお寺の人たちの人生のお話だった。 ちょっと軽い哲学っぽい雰囲気。 でも、色々中途半端な印象でよくわからなかった。 猫がたくさん出てきたのはよかったけど。

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2021/07/23

猫は身体のある部分にに星を持っている (初めて知りました) 猫専門の霊園の住職とセレモニースタッフが紡ぐ、心穏やかな連作短編集 猫のしなやかな肢体と透明な目、神秘と不思議がつまっているみたい 生活の中にとけ込んで癒されていく、読んでよかったなぁと思える作品です

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2021/06/15

死の連鎖について・・・考えさせられる作品でした。「猫寺」を中心に猫の死とそれがもたらす周囲の人々への影響。 主人公の女の子の考えが少し浅いように感じ、よみにくかったです。 死しても尚、残る影響、その”人柄”が伝えたいこと。 やんわり読むと、見えてくるものがあると思います。 個...

死の連鎖について・・・考えさせられる作品でした。「猫寺」を中心に猫の死とそれがもたらす周囲の人々への影響。 主人公の女の子の考えが少し浅いように感じ、よみにくかったです。 死しても尚、残る影響、その”人柄”が伝えたいこと。 やんわり読むと、見えてくるものがあると思います。 個人的に再読。

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2020/08/08

これまで3匹の猫を送ってきました。田舎なので庭に埋めて。ムーンライトセレモニー、こんなに丁寧に送ってくれる人がいるならば、そこで送ってあげたかった。猫の隠す星を見てみたかった。猫を送りながら、猫と暮らす、しんみりと優しいお話。

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2020/05/15

実家で、いま飼っている猫、むかし飼っていた猫たちを思い出しながら読みました。 猫専門のムーンライト・セレモニーで弔ってあげたかったなぁ。 猫が隠し持っている星を見てみたいなぁ。 などなど、しんみりしながら読みました。 実家では、居ついたのら猫を飼っていました。その猫が歳をとり弱...

実家で、いま飼っている猫、むかし飼っていた猫たちを思い出しながら読みました。 猫専門のムーンライト・セレモニーで弔ってあげたかったなぁ。 猫が隠し持っている星を見てみたいなぁ。 などなど、しんみりしながら読みました。 実家では、居ついたのら猫を飼っていました。その猫が歳をとり弱ってきた頃から、そっくりなのら猫が姿を見せるようになりました。そして、先代に頼まれたかのように、その猫が実家で暮らすようになりました。 猫って本当に不思議なところがあるんです。 わがままで勝手に暮らしているようで、飼い主さん達のことを大切に思ってるんでしょう。 猫好きの戯れ言ですが…。

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2020/04/11

猫専門の葬儀社と霊園を営む通称〈猫寺〉の木蓮寺。 猫の骨を丁寧に火葬する藤井、住職の真道、客だった縁で事務スタッフになった瑞季。 猫寺には今日もたくさんの名前のない猫たちと、少しの人々がやってくる。 てっきり、亡くなった猫にまつわるエピソードが描かれるのかと思っていたら、全然違...

猫専門の葬儀社と霊園を営む通称〈猫寺〉の木蓮寺。 猫の骨を丁寧に火葬する藤井、住職の真道、客だった縁で事務スタッフになった瑞季。 猫寺には今日もたくさんの名前のない猫たちと、少しの人々がやってくる。 てっきり、亡くなった猫にまつわるエピソードが描かれるのかと思っていたら、全然違う話だった。 三人とも身内を亡くしているという共通点と共に、不思議ちゃん? 夢? 妄想? という話が綴られる。 そんな中で、瑞季の彼氏の瀬戸は妙に人間くさい。そして両親の離婚により妹と離れることになった少年も。 『猫は誰の世話になろうが、誰のものにもなりません』 これが猫を表現する全てだろう。 猫のしっぽの骨にこんな秘密があるとは。そこから宇宙にまで話は飛躍し、亡くなった人々へ思いを馳せ、そして今生きている猫たちや通ってくる少年や少女や女性、更に瑞季や藤井や真道の話に戻ってくる。 亡くなった人々と、お寺にやってくる猫たちと人々と、程よい距離感での交流は心地好い。 序盤は取っ付きにくいのかと思っていたが、読み進めるうちにいつの間にか猫寺ワールドに入り込んでいた。

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2020/03/23

最近いろんな事に忙しく、夜読み始めるとコックリといつのまにか寝てしまう。 そんな繰り返しで読むのに時間がかかってしまった。 でも内容的に優しい時間が漂う内容だったので、私の気持ちもいつも穏やかなゆっくりとした時間が流れていたのかも。 猫専門の霊園。そこを営んでる猫寺木蓮寺。 住...

最近いろんな事に忙しく、夜読み始めるとコックリといつのまにか寝てしまう。 そんな繰り返しで読むのに時間がかかってしまった。 でも内容的に優しい時間が漂う内容だったので、私の気持ちもいつも穏やかなゆっくりとした時間が流れていたのかも。 猫専門の霊園。そこを営んでる猫寺木蓮寺。 住職真道や猫の亡骸を優しく扱ってくれる元教師の藤井。そして愛猫を看取ったばかりの瑞季。 彼らはそれぞれ心の奥底に孤独を抱えている。そういった人は他人に優しいのかもしれない。猫にも。

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2021/07/28

――日向の床で横になって、間近で目を合わせているうちに、どちらからともなく目を閉じて、それが別れになった―― 菜々さんは親猫とはぐれたらしく、ひとりぼっちでゴミ捨て場でうずくまって震えているところを、瑞季の父に拾われてきた。瑞季は当時、高校に入学したばかり。 以来18年。瑞季の...

――日向の床で横になって、間近で目を合わせているうちに、どちらからともなく目を閉じて、それが別れになった―― 菜々さんは親猫とはぐれたらしく、ひとりぼっちでゴミ捨て場でうずくまって震えているところを、瑞季の父に拾われてきた。瑞季は当時、高校に入学したばかり。 以来18年。瑞季の人生の半分以上の年月――その間に両親は相次いで亡くなった――を、菜々さんと一緒に暮らしてきた。そして今、菜々さんは死んでしまった。 菜々さんを荼毘に付すために訪れた猫専用の霊園ムーンライト・セレモニー。いつからか自然と猫が集まり、「猫寺」と呼ばれるようになった曹洞宗のお寺「木蓮寺」に併設されたセレモニーホールで、瑞季は丁寧に猫のお骨を扱う火葬屋・藤井と、猫を胸に響く読経で見送ってくれる住職・真道に出会う。 10代のうちに両親を亡くし、猫の菜々さんと長いこと暮らしてきた瑞季は恋人と呼べる相手がいるにもかかわらず、いまいち距離を縮めることができないでいる。猫の火葬を担当する藤井は、猫だらけの家で無人宇宙探査機・ボイジャー2号の旅を追い続ける母の気持ちを思う。真道は若くして亡くなった母のことは覚えていないが、母の代わりのように、夜、寄り添って眠ってくれたハチワレの猫がいた。一枚の写真に写る母の面影は、自分が年を経るごとに、姉のように、妹のように、やがて他人のものになっていく――。 瑞季、藤井、真道。それぞれに思い出の猫がいる。その猫を思うとき、懐かしい人の記憶もまたよみがえる。父親、母親、兄弟、遠くへ行ってしまった、もう会うことのできない人たち。いつかの過去で、寄り添って生きていた温かいいのちのぬくもり。ともに過ごしてきた猫を喪うということの悲しみ。新たな猫と不意に出会う、畏れと期待。それはそのまま、人と人との出会いや関係、人生、そして別れとかさなってゆく。「猫をおくる」とき、きっと人は猫と生きてきた時間を思い、同時に、人と生きることを考えるのだ。 「猫寺」に集まる猫の登場シーンが印象的。すっかり日が暮れた頃に、薄闇の中から何匹も何匹も現れる。まるで闇から生まれたものたちのように、静かに。そしてそっと脛や膝や手元に、からだをこすりつける。 メインとなる登場人物3人はそれぞれに孤独を抱えている。猫たちはその孤独をそっと埋める存在なのかもしれない。気まぐれで、静かで、温かくて、いつのまにか寄り添ってくれている。 猫を飼ったことのある読者にとって、本書は共感の連続であるに違いない。虹の橋のたもとに行ったあの子のことを思う。まだまだ、一緒に暮らしていきたいこの子のことを考える。そのどちらの読者の心にも優しくしみこんでくる。そんな連作短編集。

Posted byブクログ