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隠された奴隷制 の商品レビュー

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2019/12/14

p.142 「自由な労働者」は、雇用されて働く以外に選択肢がなく、失業したら生きていけない、という経済的な「間接的強制」を受けているのである。しかも、「自由な自己決定」の結果については、必然的に「自己責任」が問われることとなる。 このような状態こそ「隠された奴隷制」なのである。そ...

p.142 「自由な労働者」は、雇用されて働く以外に選択肢がなく、失業したら生きていけない、という経済的な「間接的強制」を受けているのである。しかも、「自由な自己決定」の結果については、必然的に「自己責任」が問われることとなる。 このような状態こそ「隠された奴隷制」なのである。そして、それは「隠された不正」にほかならない。 p.210 新世界の奴隷制がなければ、資本主義はなかったし、近代世界システムも生まれなかった。 p.212 「自由な労働者」というヴェールに覆われた「隠された奴隷制」がなければ、資本主義は成り立たない。 ○最後の章では、資本主義の崩壊という状況を踏まえ、社会的な混乱と無秩序な世界が支配するという悲観的予想や、協働型ビジネスモデルなどへの転換というポスト資本主義を紹介している。 ☆全く働く必要のない資産家以外は、奴隷にほかならない。ほとんどの人がそうではないか?じゃ、なぜ圧倒的多数の奴隷は奴隷制度から自ら解放できないのだろうか? ☆自らを自由人とみなす、マインドコントロールなのか?錯覚なのか? ☆協働型ビジネスモデルは本当にポスト資本主義と言えるのかどうか?どうもわからない。 ☆タイトルは、「埋め込まれた」奴隷制ではないな。

Posted byブクログ

2019/11/10
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※このレビューにはネタバレを含みます

この本の「隠された奴隷制」というタイトルは、マルクスの『資本論』の「ヨーロッパにおける賃金労働者の隠された奴隷制は、新世界での文句なしの奴隷制を踏み台として必要としたのである」という文章に由来している。「隠された奴隷制」とは、黒人奴隷の「むき出しの奴隷制」に対して賃労働で働く「自由な労働」を指している。マルクスが何故に自由人の賃金労働を「隠された奴隷制」と呼んだのか。著者は啓蒙思想からアダム・スミス、ヘーゲル、マルクスを経て、新自由主義まで、この「隠された奴隷制」という言葉の謎を解くために奴隷制の思想史を丹念に追っている。 アダム・スミスもヘーゲルも資本主義経済が発展する中で、今でいうところのワーキングプアやマイナス成長や経済格差といった問題の多くを知っていた。知っていたにも関わらず、「自由な労働」に基づくものであるからと黙認をしている。これに対してマルクスは「自由な労働」を「隠された奴隷制」として批判した。「自由な労働」が「公正」であること、その”「公正/不正」という判断そのものが「自然的」なものではなく、歴史的・社会的に制約されたもの”であること、これこそがヴェールに隠された秘密なのである。 終章で著者は、ヘーゲル、マルクスに倣って私たちにも自らを解放する絶対的な権利がある。しかしそのためには自らが闘わなければならないと言っている。”私たちが自分の時間の主人公になること、「自由な時間」を手に入れることができるようになること”こそが大切だと締めくくっている。 マルクスの考えていたことは私たちから決して遠くない。確かに一つ一つの論理は難しいところもあるが、マルクスが考えたこと、マルクス後のことを丁寧に書いている。ミステリー・ストーリーのようにも読める本だ。

Posted byブクログ

2021/08/23

近代資本主義における奴隷制について紐解く一冊。 明確な結論はなく難しく感じたが、勉強にはなった。

Posted byブクログ