「助けて」が言えない の商品レビュー
認知症のある人と援助希求の章が特に良かった。 認知症患者の暴力暴言、妄想に対して薬で鎮静させる前に当人の困り事(体の痒み、耳が聞こえにくい.孤立しているetc)が前提にないか模索しそれを解決することで穏やかになることは、他の精神疾患の事例にも当てはまると考えられる。
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子どもの問題から認知症、薬物依存といった様々な分野でそれぞれの専門家によって書かれた、「助けて」が言えない人々の背景や対応に関する考察と、日々の取り組みを集めた一冊。 自分には難しさを感じる箇所も、もう少し詳しく知りたいと思う箇所もあったが、全体を通して広く様々な分野の支援につ...
子どもの問題から認知症、薬物依存といった様々な分野でそれぞれの専門家によって書かれた、「助けて」が言えない人々の背景や対応に関する考察と、日々の取り組みを集めた一冊。 自分には難しさを感じる箇所も、もう少し詳しく知りたいと思う箇所もあったが、全体を通して広く様々な分野の支援について知り、関心を持つきっかけになった。 参考文献が巻末にまとめて章ごとに記載されているので、もっと詳しく知りたいと感じた領域は、他の文献にもあたりやすくなっているように思う。 最後の座談会が印象的で、「助けて」と周囲に言える環境が必要なのは、支援をする人も支援が必要な人も一緒なのだと、はっとした。 「なぜ助けを求めないのか?」と本人にフォーカスするだけではなく、その周囲や社会の構造に目を向けることも大切だと感じることができた。
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「SOSを出せる子に」 最近、子どもの支援の現場でもキーワードのようによく聞くフレーズだ。 SOSが出せない人(大人、子どもに限らず)は苦しい。そして、そんな人は決して少なくない。 しかし、弱音を吐く人、助けを必要とする人は落伍者であり負け組であり弱い人間だと考える人々が多い...
「SOSを出せる子に」 最近、子どもの支援の現場でもキーワードのようによく聞くフレーズだ。 SOSが出せない人(大人、子どもに限らず)は苦しい。そして、そんな人は決して少なくない。 しかし、弱音を吐く人、助けを必要とする人は落伍者であり負け組であり弱い人間だと考える人々が多い社会でためらわず援助要請を出せる人が果たしてどれだけいるだろうか。 「SOSを出せる子に」 言うまでもなく大切なことだ。 私たちは助けたり助けられたりしながら生きているのだから。 けれど、本書で松本先生も触れておられる通り「SOSを出すこと」を本人に求めるだけでいいのか。そんなふうに、確かに思う。 SOSを出せるのは、SOSを受け止めて助けられた経験というしっかりした土台があるからであり、土台もないのに「SOSを出さないといけないよ」なんて言われたらたまらないのである。 「SOSを出せる子に」 私たちは発せられたSOSを受信しているだろうか。 自然に、当たり前に、喜んで助けているだろうか。 本書はさまざまな立場の方たちが「"助けて"を言う」ことについて論じている一冊だ。支援者も当事者もさまざまな領域、ポジション、背景の中でメッセージを発しているからこそ見えてくる「助けて」の立体的なイメージは大変学びにもなり、自らを省みる手引きにもなるだろう。 「SOSを出せる子に」 これは正しい。けれど、SOSを出せない子/人のつらさを自己責任に帰するような文脈でこのフレーズが用いられるのは本末転倒なのだ。 私たちはこのフレーズを発する時、この社会が「SOSを出した人」にためらわず、施しやお情けでなく手が差しのべられるものになっているかを検証しなければならないのだろう。 ※本書はだいぶ前に紙の本で買ったものだが、電書がkindle unlimitedの対象になっていたので入れてみたら実は積読になっていたことがわかったのだった。「持ってるからいいよね」でスルーしなくて本当によかった。
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座談会(岩室紳也×熊谷晋一郎×松本俊彦)が特によかった。血圧上昇の方に「あの人は姑さんと関係が悪いからその話をきいてあげればいいのよ」という田舎の診療所の事務員さん優秀!支援者自身の限界を認め、自分が解決できない問題を周りに投げかけてアイディアや助けをもらうというスタンスは大事と納得 覚書 援助者は矛盾をはらんだ言動に対して正したい衝動を抑える 薬物依存症からの回復に必要なのは安心して「やりたい」「やってしまった」「やめられない」と言える場所、そう言っても誰も悲しげな顔をしないし、不機嫌にもならない、自分に不利益が生じない安全な場所 自殺リスクを抱えた人の所属感の減弱、負担感の知覚が主観的な感情 「死にたい」だけではなく「悲しい」「つらい」「一人でいるのが寂しい」という言動で表現する練習 ドタキャン考で、複雑性PTSDの「約束を守る」という社会的規範を学ぶ機会がなかった可能性、対人不信やネグレクトの後遺症という考察 相談するという訓練、相談する側の選択肢と相談を受ける側の選択肢を複数化 認知症のある人の支援で、自尊心が傷つきやすい状況、失敗を指摘されやすい状況、役割を失いやすい状況は、その理解や工夫で改善することが多い 支援者の燃え尽き症候群 安全、信頼、尊重、親密性、統制の五つの認知スキーマの歪み(マッキン、パールマン) 自分の感情へのメンテナンスを大事にすることが、支援者自身にとっても患者にとっても役に立つ 周囲につらさ、うまくいかなかったことを話せる関係が重要 自分の性体験を隣の人に話すことをイメージすると性犯罪で相談窓口での話をすることの負担が大きいことがわかる トラウマからくる恥と身体へのアプローチは必須(キャサリン・スコット・ドウジア)
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2021.1.22市立図書館 日本評論社「こころの科学」202号(2018年11月号)特別企画「「助けて」が言えない―援助と援助希求」の増補書籍化。こども、医療、福祉・心理臨床、民間支援団体といった各分野の第一線にいる支援者の報告+岩室紳也、熊谷晋一郎、松本俊彦の座談会。 「...
2021.1.22市立図書館 日本評論社「こころの科学」202号(2018年11月号)特別企画「「助けて」が言えない―援助と援助希求」の増補書籍化。こども、医療、福祉・心理臨床、民間支援団体といった各分野の第一線にいる支援者の報告+岩室紳也、熊谷晋一郎、松本俊彦の座談会。 「助けて」を言わせるのではなく、言う前になんらかの助けが得られるような関係性をつくれるのがいい、ということ。あれこれよくわかる。
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自分が自殺したいと思う気持ちを書きました。https://note.com/masakinobushiro/n/n636cbb121aad
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いきなり専門用語がたくさん出てきてあせりました。ちょっと欲しかった情報と違ったので、評価低いですが、支援者になりたいこの本の読者がみんな専門家でないことを考えたら、このくらいかなあと思います。
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依存症の方の支援に悩んでいたときに手に取った一冊。 「やめられない」気持ちを伝えても、否定されない場所や関係性が必要。
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助けてを言わせようとするよりも助けてとはなかなか言えないよねと愚痴をこぼせる関係をつくるという最後の対談。すごい。一対一で向き合って何とかするのではなく問題を共有できるようにして周りを巻き込んで改善する、という楽天性。 家族であっても外の人間でしかありえない。助けてとは言わない。理不尽な要求の形でしか出てこない。こういうときこの著者ならどうするんだろう、と想像し続けるのかなあ。できたりできなかったり。 助言や懸念を伝える前に、この件について当事者の考えや気持ちを引き出す試みをすでに十分行ったか、これから提供する助言や懸念は、当事者の安全や変わりたいという気持ちを強化することに重要か検討する。考えを述べる前に、さんはどう持っているのですかと尋ねる。本当に今ここでその助言や懸念を伝えたほうがよいか。相手の気分を害したり変わりたいという気持ちをなえさせることがないか。一般的には・・・。もちろん最終的にどう判断するかは、さん次第ですが。私の話を聞いてどう思いましたか。かかわりを継続することが重要。 痛みも閉じ込めることも改善にならない。安心して依存しながら通えるプログラム。望ましい行動に報酬を与える。繰り返し一番大事なのはプログラムからドロップアウトしないこと。依存を克服することよりも。プログラムの場を安全な場にする。依存を強める方向に働かない。渇望を刺激することをしない場に。秘密の保持。陽性反応が出たら、陽性が出るとわかっていながらプログラムにきたことを称賛する。
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主に医療関係者や当事者に関わる人向けに書かれたものだと思いますが参考になりました。 最後の対談がよかった。治療側にも孤立や苦悩や偏見、苛立ち等さまざまな壁があること、当事者と向き合うことを通して支援者が学ぶこともまた多いと思った。
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