ベスト・エッセイ(2019) の商品レビュー
私にとってはエッセイとは色んな人のものを読むのではなくて、特定の作家をより深く知りたい時に読むものなんだなと気付いた。
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■収録作品&筆者(五十音順) 「俵のネズミ」 彬子女王 「何を喜び,何を悲しんでいるのか」 朝井まかて 「わが勲の無きがごと」 浅田次郎 「ソクラテスとポピュリズム」 東浩紀 「大海原のオアシス」 足立倫行 「『わかりやすさ』への苛立ち」 荒井裕樹 「『先生...
■収録作品&筆者(五十音順) 「俵のネズミ」 彬子女王 「何を喜び,何を悲しんでいるのか」 朝井まかて 「わが勲の無きがごと」 浅田次郎 「ソクラテスとポピュリズム」 東浩紀 「大海原のオアシス」 足立倫行 「『わかりやすさ』への苛立ち」 荒井裕樹 「『先生』から『センセー』まで」 五木寛之 「トカゲとキツツキ」 伊藤亜紗 「国境をこえなかった招福の狸」 井上章一 「金子兜太さんを悼む」 宇多喜代子 「歳月について」 内田樹 「本に連れられて」 内田洋子 「ここがどん底」 王谷晶 「モーニング」 岡本啓 「ホームソング優しく新しく」 長田暁二 「湯たんぽ,ふたつ」 小山内恵美子 「伸びたTシャツ」 落合恵子 「書店という文芸共和国」 小野正嗣 「律儀な桜」 角田光代 「民―字と眼差し」 華雪 「師匠,最期の一言『ハゲだっつうの,あいつ』」 桂歌蔵 「アンデルセンさん」 角野栄子 「高畑勲監督を悼む」 金澤誠 「猫は人生」 岸政彦 「お婆さんのパン」 岸本佐知子 「裏の街」 北大路公子 「電車のなかの七面相」 くぼたのぞみ 「七時までに」 黒井千次 「共働きだった両親の料理」 鴻上尚史 「K子さんには言えない夏の庭」 小暮夕紀子 「孤独を楽しみ孤立を避ける50歳からの社交術」 齋藤孝 「郵便」 酒井順子 「飛梅・詩島・伊能忠敬」 さだまさし 「ニューヨークのボートの下」 佐藤究 「上野の守り神」 佐藤賢一 「ゴールはどこ?」 沢木耕太郎 「呪文の使いどき」 ジェーン・スー 「ノムラの鍵ハモ」 砂連尾理 「サバイバル正月」 朱川湊人 「山椒魚の味」 周防柳 「『好き』が世界との勝負だった頃」 杉江松恋 「創造と老年」 瀬戸内寂聴 「音楽が生まれる」 高木正勝 「寝る前に読む本,目覚めるために読む本」 高橋源一郎 「ウインター・ハズ・カム」 高山羽根子 「憧れのSという街」 滝沢秀一 「夏の夜の講談」 千早茜 「私たちの心包んだ人の世の華」 ドリアン助川 「過去は変えられる」 鳥居 「職業と肩書き」 鳥飼玖美子 「『ごちゃごちゃ』にこそ」 永田紅 「無限の可能性」 橋本幸士 「西郷どんの親戚」 林真理子 「フィールドレコーディング」 原摩利彦 「手は口ほどに物を言う」 広瀬浩二郎 「猫の鳴き声」 深緑野分 「翻訳の楽しみ 満ちる教室」 藤井光 「五月雨」 藤沢周 「継ぐということ」 藤代泉 「静かな分岐点」 星野概念 「ジョン・レノンとプルードン」 細見和之 「禁断のラーメン」 穂村弘 「校舎内の異界について」 マーサ・ナカムラ 「さよなら立て看」 万城目学 「捨てられた魂に花を」 町田康 「『夢中』ということ」 三浦しをん 「日本語の外の世界」 村田沙耶香 「方向音痴ばば」 群ようこ 「無駄なく,シンプルに。『日日是好日』の心」 森下典子 「AI社会 新たな世界観を」 山極寿一 「人間の奥深さ 演じた凄み」 行定勲 「身の程」 吉田篤弘 「仮面の来訪者」 吉田憲司 「玄冬小説の書き手を目指す」 若竹千佐子 「本当の幸せ」 若松英輔 「まっさーじ放浪記」 綿矢りさ
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2021年9月 よかったものをいくつか 東浩紀さんの「ポピュリズムとソクラテス」 小野正嗣さんの「書店という文芸共和国」 荒井裕樹さんの「『わかりやすさ』への苛立ち」 周防柳さんの「山椒魚の味」
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その年に書かれたエッセイを一冊の本にまとめたベストエッセイ。今回図書館で偶然2019年のものを手に取りましたが、2012年から10年も続いている企画なんだそうです。 ほとんどのエッセイが2、3ページと短いものですが、その人が体験したこと、研究していること、考えたことのエッセンス...
その年に書かれたエッセイを一冊の本にまとめたベストエッセイ。今回図書館で偶然2019年のものを手に取りましたが、2012年から10年も続いている企画なんだそうです。 ほとんどのエッセイが2、3ページと短いものですが、その人が体験したこと、研究していること、考えたことのエッセンスが詰め込まれていて盛り沢山。よくお見合いパーティーでやる企画…二重の輪になって時間が来たらひとつずつずれていきどんどん違う人と話をするやつ。それをすごい文化人とやってるみたいな感覚で読み進めました。有名どころの作家さんから皇族の方、さだまさしさんまで本当に多種多様なバックグラウンドを持った方々が描いたエッセイなので自分が今までフォーカスしてこなかった分野に目を向ける機会となりました。 2019年のエッセイを次々に読みながら、じわじわと心の片隅で感じていたのは、「これはコロナ以前の世界観で書かれたものだ」ということ。コロナ禍の2021年ではありえないことが何の疑いもなくさらりと書いてあるのですよ。これが普通だったなと懐かしく思うほど、もう自分はコロナ禍の生活にどっぷり浸かっているのです。最早それ以前の生活に違和感を覚えてしまうのだなと切ない気持ち。月並みに「あの頃はよかった」なんて思ってしまうのでした。 2020年以降のベスト・エッセイはどうなんでしょう?2021年版は8月の終わりに出版されたばかりです?その年の空気感まで伝わってくるこのシリーズ。また読んでみたいです。
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箸休めのような感じでちょこちょこと読み進めたエッセイ集。 箸休みといえど、作り手は文章のプロたち。良質なエッセイに、新たな着眼点を得たり、涼風を感じたり、クスッと笑えたり、切なくも愛おしい気持ちになれたり、満足度の高い良質な時間を過ごさせてもらえた。 本棚で見かけ、不意に読みたく...
箸休めのような感じでちょこちょこと読み進めたエッセイ集。 箸休みといえど、作り手は文章のプロたち。良質なエッセイに、新たな着眼点を得たり、涼風を感じたり、クスッと笑えたり、切なくも愛おしい気持ちになれたり、満足度の高い良質な時間を過ごさせてもらえた。 本棚で見かけ、不意に読みたくなり手にした「昭和二十年夏、僕は兵士だった」。三国連太郎さんや水木しげるさんなどの戦争体験が書かれた本らしい。 エッセイの次に読もうと思いつつ、残りの数編を読み始めて、驚く。ラスト前の宇多喜代子さんの「金子兜太さんを悼む」。 兵士の本の書き手の一人が、金子兜太さん。 偶然だけど、必然。読むべきタイミングだったのだと思う。 読書は、本当に楽しい。
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※このレビューにはネタバレを含みます
2018年に新聞・雑誌・ネット等に発表された中から選出された76篇のエッセイ。 個人的に印象に残ったもの。 『ソクラテスとポピュリズム』東 浩紀 「おまえはなんかあやしい。嫌なことをいう、みんなの空気に水を差す。だから死ねというものである。」(P98) 2400年前から人間は変わっていない。『ソクラテスの弁明』を読みたくなりました。 『アンデルセンさん』角野栄子 「哀しみには力があります。贈り物があります。それはけっして小さなものではないと思います。見えないものではあるけれど、もしかしたら、喜びより大きい贈り物かもしれません。」(P103) かなりの大人になってからやっと理解できること、なのかもしれません。そしてこんなふうに思えるとき、人は幸せの中で過ごしているときだと思います。 『仮面の来訪者』吉田憲司 大晦日から正月にかけて訪れる異装の神がみは、現代では仮面のヒーローではないか、という。異界の力へのあこがれと来訪者への人びとの期待。現在、ネットでは「異世界もの」というジャンルの小説や漫画がとても流行しているが、その理由が分かった気がする。遠い世界への永遠のあこがれ。 『本に連れられて』内田洋子 イタリアの古書店のお話。 『書店という文芸共和国』小野正嗣 アメリカの書店のお話。 『「分かりやすさ」への苛立ち』荒井裕樹 個人的ベスト。 「「わかってもらおう」として「わかりやすい」言葉を重ねれば重ねるほど、単色の物語にはなり得ない生活実感からかけ離れていくもどかしさがある。」(P205) 「相模原事件」においてことばの使い方の難しさを実感したという内容。1つの単語をふと使ってしまった後の後悔し、学生は落ち込む。 『無限の可能性』橋本幸士 理系の人々にとっての無限とは。「それホンマに無限にしてええの?」(P240) 『本当の幸せ』若松英輔 自分の小さな人生を顧みても、幸福を告げ知らせる経験は、歓喜のうちに現れるとは限らず、悲痛をともなう出来事のなかで、その深みを知ることもあるように思われる。(P251) 『生きがいについて』神谷美恵子より「生きがいというものは、まったく個性的なものである。」(P250)(『生きがいについて』神谷美恵子より) 『生きがいについて』を読みたくなりました。この前、本屋さんで見かけたんだけどなぁ。 印象としては先に読んだ2020年版より軽妙でした。2020年版は2019年に書かれたものだとしても選んだのが2020年(コロナ禍)だとしたらそうなりますよね。 編纂委員さんも豪華です。角田光代,林 真理子,藤沢 周,町田 康,三浦しをん(敬称略) 2019と2020は図書館で借りましたが2021年は購入します。発売は7月か8月かな?楽しみです。
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マシンガンズ滝沢がTwitterで紹介してたの見て買ったこの本。2回目の読了。 2018年と言えば、与党の色んな疑惑が噴出して、みんなよく怒った年だと思う。そういう、自分の預かり知らぬところで悪い未来へ舵が切られる不安と、逆に自分にしかわからない感性を語る話のバランスがちょうど...
マシンガンズ滝沢がTwitterで紹介してたの見て買ったこの本。2回目の読了。 2018年と言えば、与党の色んな疑惑が噴出して、みんなよく怒った年だと思う。そういう、自分の預かり知らぬところで悪い未来へ舵が切られる不安と、逆に自分にしかわからない感性を語る話のバランスがちょうどいい。 特に好きな話↓ 呪文の使いどき 「好き」が世界との勝負だった頃 禁断のラーメン ここがどん底 裏の街 憧れのSという街 「ごちゃごちゃ」にこそ ニューヨークのボートの下 本に連れられて 書店という文芸共和国 「わかりやすさ」への苛立ち 無駄なく、シンプルに。「日日是好日」の心 猫の鳴き声 伸びたTシャツ 静かな分岐点 無限の可能性 継ぐということ さよなら立て看 校舎内の異界について フィールドレコーディング 翻訳の楽しみ 満ちる教室 湯たんぽ、ふたつ 手は口ほどに物を言う 日本語の外の世界 猫は人生 民ーー字と眼差し ゴールはどこ?
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小野正嗣さんのエッセイが読みたくて手に取りました。 名前を知らなかった作家との出会いもあり楽しかったです。 個人的に桂歌蔵さん、内田洋子さん、鴻上尚史さん、高橋源一郎さん、滝沢秀一さん、群ようこさん、綿矢りささんのエッセイは人間味が溢れていて好きでした。ジーンとしました。 なぜ...
小野正嗣さんのエッセイが読みたくて手に取りました。 名前を知らなかった作家との出会いもあり楽しかったです。 個人的に桂歌蔵さん、内田洋子さん、鴻上尚史さん、高橋源一郎さん、滝沢秀一さん、群ようこさん、綿矢りささんのエッセイは人間味が溢れていて好きでした。ジーンとしました。 なぜ★5にしなかったかというと、選者のエッセイが肌に合わなかった点と(これ、自分で選ぶ?という気持ち半分)、出典メディアに少し偏りがあったなあと思った点でしょうか。エッセイを載せる媒体が限られているのかもしれませんが、それにしても京都新聞多くない?
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様々な書き手の数ページの文章が集められている。ベストエッセイ 2019なので最近話題になった人、ことが多いが、短いので、興味のない分野又は好きではない作者の文章も読めるので世界が広がる。九十ほどの中から印象に残ったものを挙げてみる。ドリアン助川が樹木希林について書いた「わたしたち...
様々な書き手の数ページの文章が集められている。ベストエッセイ 2019なので最近話題になった人、ことが多いが、短いので、興味のない分野又は好きではない作者の文章も読めるので世界が広がる。九十ほどの中から印象に残ったものを挙げてみる。ドリアン助川が樹木希林について書いた「わたしたちの心包んだ人の世の華」、町田康が石牟礼道子について「捨てられた魂に花を」、角野栄子 「アンデルセンさん」、内田洋子「ほんにつれられて」、高橋源一郎が我が子と絵本めっきらもっきら どおんどんの奇跡ついて書いた「寝る前に読む本、目覚めるために読む本」これは実によかった。
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※このレビューにはネタバレを含みます
最近はまっている、村田沙耶香さんのエッセイがのっていたので手に取ってみました。 さすが、ベストエッセイとうったているだけあって、どの方も面白かったです。 ふだん、目にしない作家さんも良かったですが、一番心に残ったのは、町田康さんかな。 石牟礼道子さんへの追悼の言葉が心にしみました。 今、苦海浄土読み直しています。
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