ソーシャルメディアの生態系 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
この本のここがオススメ 「ソーシャルメディアは人間のコミュニケーションのための高度に進化した配信システムであるだけでなく、前述したように、「人間とはいかなるものか」を定義するような感情の交換を糧に生き、呼吸している総体だ。」
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特に事前情報もなく、書店で目に付いたので購入しましたが、思った以上に面白かったです。日本語のタイトルからも想像できるように、本書はソーシャルメディアについて、生物学の視点からその「生態」を紐解く、というアプローチをとっています。まずこの視点自体が興味深いのですが、私は説得力もかな...
特に事前情報もなく、書店で目に付いたので購入しましたが、思った以上に面白かったです。日本語のタイトルからも想像できるように、本書はソーシャルメディアについて、生物学の視点からその「生態」を紐解く、というアプローチをとっています。まずこの視点自体が興味深いのですが、私は説得力もかなり高いと思いました。冒頭にも書かれていますが、生物は「細胞による構造」「代謝」「成長と複雑性」「ホメオスタシス(内的環境のバランスをとる)」「刺激への反応」「繁殖」「適応/進化」という7つの特徴を持っている。そしてそれぞれの特徴についてソーシャルメディアではそれがいかに機能しているかを論証していくという内容です。 本書で重要なキーワードの1つが「ホロン(全体子)」という概念です。これはアーサー・ケストラーが提唱した概念で、人間の細胞のように、それぞれは個であるが全体の一部でもある、ということです。これをソーシャルメディアに当てはめると、各ユーザー(人間)は個でもあるが全体の一部でもあるということで、かなり飛躍しますが私は密教の(胎蔵)曼陀羅を思い浮かべました。曼陀羅図が示しているのは、すべての生きとし生けるもの(如来から閻魔、餓鬼、畜生まですべて)は大日如来が姿を変えてあらわれているものであり、大宇宙の一部であるということです。 翻って、近代社会は主体と客体を明確に分離することで科学を飛躍的に発展させてきましたが、ソーシャルメディアの役割が重要になればなるほど、主体と客体の区分があいまいになり、ホロン的、あるいは仏教的な世界観が広まるのではないかという期待感を得ました。またソーシャルメディアの発展のためにはポジティブな栄養素をどんどん各人が送り込むことだ、という主張も強く共感できます。仏教でも「相手の心は自分の心の鏡だ」と言いますが、ソーシャルメディアの世界に多くの人が慈悲と知恵を注入し続ければ、それは非常に強力なインパクトを世界に引き起こすだろうと思います。これは理想論でも願望でもなく、リアリズム的な視点からそう感じました。
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https://kinoden.kinokuniya.co.jp/shizuoka_university/bookdetail/p/KP00022535/
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ツイッターやフェイスブックなどが社会にもたらした影響の本質的な要素を生物学の観点から分析するとともに、社会自体を有機的な生命体と考えることで、ソーシャルメディアと社会のより良い関係構築に向けた課題と解決策を提示した一冊。 著者は、細胞から構成される生物が、必要な栄養素を吸収・代...
ツイッターやフェイスブックなどが社会にもたらした影響の本質的な要素を生物学の観点から分析するとともに、社会自体を有機的な生命体と考えることで、ソーシャルメディアと社会のより良い関係構築に向けた課題と解決策を提示した一冊。 著者は、細胞から構成される生物が、必要な栄養素を吸収・代謝しながら外部環境の変化に適応・進化するのと同様に、我々の社会も個人の脳を最小構成単位として、必要なアイディアやミームを含む情報コンテンツを作成・取捨選択・共有しながら社会全体として成長しており、この営みを爆発的に加速化したのがインターネットとソーシャルメディアであると分析する。その過程で社会構造は階層型・集中管理型から水平・分散型へと移行しつつあり、コンテンツの作り手と受け手の境界が曖昧となった結果、社会は基本的により良い方向に進む一方、一部で悪意のあるヘイトやデマ、炎上といった弊害も生まれているが、それらはむしろ生命体が細菌やウィルスに対する免疫力を高める機会と考え、検閲という抗生物質のような手段に頼るよりも、人々の共感や思いやりから生まれるポジティブなコンテンツによって自律的に平衡状態を維持すべきであり、中央集権に代わるテクノロジーとしてのブロックチェーンやゲーミフィケーションにその実現可能性があると主張する。 社会を生命体と捉える視点自体はそれほど新しいものではないが、ここまで突き詰めて分析した論考は初めて目にした。著者のスタンスはあくまでポジティブな性善説に基づくものであり、”情報リバタリアニズム”とも言えるような、ある意味で「振り切った極論」にも思えるが、フェイスブックのような巨大プラットフォーマーとの今後の付き合い方も含め、納得感の高い示唆が数多く得られる良書。
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ソーシャルメディアをソーシャルオルガニズム。社会有機体としているんな視点で分析した本。これまでのソーシャルメディア上での出来事などがたくさん紹介されてとても読み応えがあるとおもう。ちゃんと読んでないけど^_^ ソーシャルメディアは生き物 適者生存。 プラットフォームの生存競争。...
ソーシャルメディアをソーシャルオルガニズム。社会有機体としているんな視点で分析した本。これまでのソーシャルメディア上での出来事などがたくさん紹介されてとても読み応えがあるとおもう。ちゃんと読んでないけど^_^ ソーシャルメディアは生き物 適者生存。 プラットフォームの生存競争。 つねにつながりたい。 アイデアの広がり。 荒らしにエサを与えるな。 アルゴリズムの罪と罰。招かねざる脅威への対策。 教官で免疫を強化。 検閲からの脱却。中立性。 巨大生物化するソーシャルメディア。
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検閲を抗生物質になぞらえ、徹底的に外部からの規制よりも自浄作用とオープン性を主張するなどかなり楽観的。 生態系とソーシャルメディアの共通点を看破する展開には唸らされる部分もあるが,結論的にはありきたりで凡庸なのが惜しい。
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ソーシャルメディアを生物として捉え「ソーシャルオーガニズム」と称しそのメカニズムを解す。国家や宗教に代表されるヒエラルキー型は極めて人工的なものであるから、分散型の増殖と進化を取ることは自然回帰といえなくもない。著者であるオリバー氏&マイケル氏は生物学の7つの法則「細胞による構造...
ソーシャルメディアを生物として捉え「ソーシャルオーガニズム」と称しそのメカニズムを解す。国家や宗教に代表されるヒエラルキー型は極めて人工的なものであるから、分散型の増殖と進化を取ることは自然回帰といえなくもない。著者であるオリバー氏&マイケル氏は生物学の7つの法則「細胞による構造」「代謝」「成長と複雑性」「ホメオスタシス(恒常性)」「刺激への反応」「繁殖」「適応/進化」をソーシャルメディアの出来事と変遷になぞって分析をしており、いまの「Hate xx」も過渡期の一現象なのかもしれない。本書内でたびたび語られる「現」トランプ大統領も、大統領選のレイシスト具合は多少鳴りを潜め、賛否両論あるもののTwitterを使って刺激を与えまくりつつ世界を「進化」させているのは間違いない。良し悪しは別としてソーシャルオーガニズムにおけるホメオスタシスなのかもしれない。
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ソーシャルメディアを生物学的な視点で解説 未来展望の考察での真新しさには少しかけるが、ソーシャルメディアを生物学の法則を当てはめての分析は面白かった
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