クーデターの技術 の商品レビュー
「クーデター」と聞くと、時の政権に不満を持つ者が(とりわけ軍部)、武力行使して政権を掌握するというイメージがある。確かに物理的な力で政府を打倒するのが基本的なパターンであるが、一方で別の手法で政府を乗っ取るパターンもある。本書では、近代以降に発生したヨーロッパ諸国のクーデターを...
「クーデター」と聞くと、時の政権に不満を持つ者が(とりわけ軍部)、武力行使して政権を掌握するというイメージがある。確かに物理的な力で政府を打倒するのが基本的なパターンであるが、一方で別の手法で政府を乗っ取るパターンもある。本書では、近代以降に発生したヨーロッパ諸国のクーデターを紹介する。 先ほど物理的な力以外のクーデターが存在することに言及したが、それは国家の既存のインフラ(鉄道や通信手段など)を掌握するという手法であり、その典型がレーニンによる社会主義政権の樹立である。著者によると、ボリシェヴィキによるクーデターは、トロツキーの戦略のおかげで成功したと指摘する。また臨時政府の首相ケレンスキーが、警察によってのみ、国家を防衛することができなかった点にも注目する。このように、既存のインフラをうまく利用して達成できる場合もある。 また巻末の解説によると、本書の優れたところは、『クーデターの技術』が刊行された当時、すなわちイデオロギーが強かった1930年において、イデオロギーとテクニックを分けて分析する手法だという。この手法のおかげで、現代人がこの本を読んでも、クーデターや独裁者のあり方に関して考えさせられる。
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クーデターは普遍的な手順を経つつ、独裁者が法の枠内であろうとする内容は興味深い。法の支配とは大衆に対する重要な構成なのであろう。
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こうも続けざまに権力掌握の話を読んでいると、カンタンに体制を変えられるようなそんな気がしてしまう。 こうして僕は毎日が革命前夜のような気がして、いつでも情勢を見誤ってしまう。
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読みづらい訳。トロツキーが、政府機関でなく、国民生活に必須の主要な機関を、組織された精鋭で攻撃した事実に感心した。
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いかに国家権力を奪取し、いかにそれを防御するかについて歴史的分析を行うとともに、引き起こす人間の人物論や心理状態の描写も豊富に含んだ古典的名著。
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- ネタバレ
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タイトルに何となく惹かれて購入(惹かれるようなタイトルか?)。 クーデターという政治手法のノウハウを歴史とともに論じているが、読み物として純粋に面白い。内容の性格上、歴史的に『禁書』とされることが多かったというのも、なかなかユニークな存在であろう。また、同時代人としてのヒトラー評(ムッソリーニ評も)はなかなか興味深い。 因みに本書を刊行したせいで、著者はかなり散々な目に遭っている。まぁ、焚書坑儒の対象になる本の著者がどういう目に遭うか……という歴史を考えてみると、『この本が嫌いだ、憎い』と公言したくもなるだろう。読んでる方はお気楽なものだが……。
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