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刑罰 の商品レビュー

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33件のお客様レビュー

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2026/02/19

『刑罰』 フェルディナント・フォン・シーラッハ 昨日に続けてシーラッハを読む、読んでから気づく。 この話は罰を与えられなかった者たちの苦しみの連続だということを。(もう少しタイトルとリンクして読む必要が私にはある気がする) 間違ったことには罰を与える、法的に罰する、社会的にも...

『刑罰』 フェルディナント・フォン・シーラッハ 昨日に続けてシーラッハを読む、読んでから気づく。 この話は罰を与えられなかった者たちの苦しみの連続だということを。(もう少しタイトルとリンクして読む必要が私にはある気がする) 間違ったことには罰を与える、法的に罰する、社会的にも罰せられる必要がある。  罰は苦しみにつながるが、しかし罪を犯したものの救いにもなりうる。罰せられることで救われる者はたくさんいるのだろう。 12の短編集からなる本作は、それぞれ物語の終わりに特徴がある。  罪を犯していても、なにも罪悪感を感じない者、寧ろせいせいしていて、自分は罰せられなくてよかったと心から安堵する者。または、直接的に自分が罪を犯していなくても近い者を亡くし、その罪悪感で自分も命を断つことを選ぶ者。 彼らにはどのような違いがあるのだろうか、やはりここでも、人間の複雑で曲がった特性が顕著に描かれているのだと気づく。 人間にはそれぞれの正しさが存在するのだ。自分にとって許し難いことを平気でやってくる者に対して、殺すことを躊躇しない正義。相手の弱さや不完全さを敏感に読み取って、自分までもが悪いのだと飲み込まれる、それもまたその人の正しさなのだ。 生きているとわかることは、正解のないもので溢れているということだ。ここで道を踏み外さないように生きるのも正しさであり、踏み外すのも正しさであり、そもそも道などないと考えるのも正しさなのだ。  それが正しいと当人が考えるのならば、それが正しさである。たまたま、世の秩序を守るために法律や規則が作られただけであって、やはりこの世には正解のない正しさで溢れているのだろう、と読み終わって思った。

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2024/10/07

1個1個の短編が程よい長さで丁度良く、面白かった。犯罪に手を染めてしまう人を冷静な描写をしている点が、なんだかとても考えさせられる感じがした。他のシリーズもあるので、読んでみようと思う。

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2023/10/27

前作『犯罪』に比べると罪を犯す人間たちの悲哀がこれでもかと伝わってくる。 いずれも短い話だが、極限まで削ぎ落とされた文体がグッと迫ってくるように感じた。それは時に怒りであったり、悲しみであったりと様々な感情を持っている。短い本だが、それ故にインパクトがある。

Posted byブクログ

2023/06/12

刑事事件専門の弁護士だった著者が実際の事件を題材にして書いたようだが、タイトルから受ける印象が最後に揺るがされるような、ブラックユーモア?というか皮肉?的な話に、「事実は小説より奇なり」と思わされてしまった。 どこまでが事実かということよりも、法律では裁けない、偶然の積み重なり...

刑事事件専門の弁護士だった著者が実際の事件を題材にして書いたようだが、タイトルから受ける印象が最後に揺るがされるような、ブラックユーモア?というか皮肉?的な話に、「事実は小説より奇なり」と思わされてしまった。 どこまでが事実かということよりも、法律では裁けない、偶然の積み重なりを数多く見てきたから、こういう風にリアリティを持ったものが書けるのかな…とても興味深く読めました。 教えていただいた、Riverside Reading Clubさんに感謝! https://book.asahi.com/series/11030854

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2023/05/21

どのお話しも読み終えた時になんとも言えない空虚さ、無情さを感じた。。犯罪を犯す人の心理、自ら死に向かう人の心理は、やっぱり私には想像もできないんだと思ったし、制度のむなしさも感じた。必ずしも条文が正しいわけではない。人が作って人が運用している以上完ぺきではないというのは法も同じだ...

どのお話しも読み終えた時になんとも言えない空虚さ、無情さを感じた。。犯罪を犯す人の心理、自ら死に向かう人の心理は、やっぱり私には想像もできないんだと思ったし、制度のむなしさも感じた。必ずしも条文が正しいわけではない。人が作って人が運用している以上完ぺきではないというのは法も同じだな。初めて読む著者さんでしたが、ぞわぞわする文体・話で、なかなか良かったです。。

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2022/10/13

初の短編集でデビュー作の「犯罪」(2009)から9年。12作を収録。「犯罪」よりはいくらか柔らかい雰囲気もただようが、やはり硬質でぎっしり詰まっていて、読んでるとつぶされそう。 「参審員」 アメリカや最近の日本での陪審員になった若い女性。その女性の生真面目な成育歴と、参審するこ...

初の短編集でデビュー作の「犯罪」(2009)から9年。12作を収録。「犯罪」よりはいくらか柔らかい雰囲気もただようが、やはり硬質でぎっしり詰まっていて、読んでるとつぶされそう。 「参審員」 アメリカや最近の日本での陪審員になった若い女性。その女性の生真面目な成育歴と、参審することになった裁判が描かれる。この裁判は、夫がことのほか細かく、ポストイットに、「すすいでおけ」「これはクリーニングする」など家庭内の事すべてに指図する。妻に暴力をふるい過去に4回有罪判決を受けている。・・陪審員の女性は妻に孤独な自分を投影し、泣いてしまう。被告の夫は拘留を解かれるが・・・ ああ、もう何たる・・ 「犯罪」に載っていた「フェーナー氏」とちょっと似ているが、こちらの方が結末は奈落。 「逆さ」 後ろから銃で撃たれた男。その事件の被疑者の国選弁護人になった弁護士の目線で進む。ある証拠が「逆さ」だ、と過去に弁護したゴロツキのヤセルから言われる。これは普通のトリックミステリーみたいだ。・・しかし最後に、どうしてわかったんだ? と聞かれた時の「ヤボなこと言うな」というヤセルの言葉の意味は? 「友人」 子供のころの友人リヒャルト。リヒャルトの人生の出来ごとが語られるが、静かだが、ゆったりと気持ちが沈殿するようだ。私は刑事弁護士になって20年、とあるので自身の回想もはいっているのか。 2018発表 2019.6.14初版 図書館

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2021/06/25

自分の背負っているものに耐えられなくなりそうな時、読みたい本。 どの短編も悲しみに満ちているが、心地いい読後感。

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2021/05/11

一気に読み終わった。無駄のない文体で、遡らなくても内容がすっと入ってくる。 思わず感情移入してしまうような事情や心のひだと、法の動かなさのコントラストが見事。法では裁ききれない罪を通して、人生の滑稽さや哀愁が浮かび上がってくるのが、すばらしかった。 とくに好きだったのは、「青...

一気に読み終わった。無駄のない文体で、遡らなくても内容がすっと入ってくる。 思わず感情移入してしまうような事情や心のひだと、法の動かなさのコントラストが見事。法では裁ききれない罪を通して、人生の滑稽さや哀愁が浮かび上がってくるのが、すばらしかった。 とくに好きだったのは、「青く晴れた日」「隣人」「湖畔邸」「友人」。

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2021/02/12

『刑罰』は、裁判について考えさせられました。  短編で、私が最初読んだ時本の内容を受け止める   のには体力が必要でした。  大人な話もありますのでそこも理解して読んでく   ださい。  あと、表紙がアレなので周りの目が気になる人は    カバーを外しておくのがオススメですよ^^

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2020/11/30

面白かった。 さすがシーラッハ。ドイツ屈指の現役弁護士の底力。 ミステリとも文学とも分類不能で、必ずしも法廷が舞台でもなく。「シーラッハ」一人で1つのジャンルみたいだ。 どの話も、シリアスな状況であまり楽しくない事件があって幸せとは言い難い結末がつくのに、淡々と語り進められて、...

面白かった。 さすがシーラッハ。ドイツ屈指の現役弁護士の底力。 ミステリとも文学とも分類不能で、必ずしも法廷が舞台でもなく。「シーラッハ」一人で1つのジャンルみたいだ。 どの話も、シリアスな状況であまり楽しくない事件があって幸せとは言い難い結末がつくのに、淡々と語り進められて、重いのに読み易い。翻訳にも恵まれているのかな。 ただ読後感は、我が身に引き寄せて考えさせられるという感じではなく、世の不条理さを突きつけられて諦観を強いられるといった感じ。どっちがいいとかじゃなくね。 その中でも「奉仕活動」の一遍は、現実を突きつけられて出鼻を挫かれそうな新米弁護士の話で、多少はセンチメントを感じられるかな。

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