墨の香 の商品レビュー
理由も告げられず離縁され、出戻った岡島雪江は、書家として生きていくため、実家で筆法指南所(書道教室)を開く。 扱いにくい弟子たちとの日々の交流、仏蘭西国への発砲事件や弟子たちのいざこざに巻き込まれたり、目をかけてくれ、可愛がってくれた師匠の死に直面したり、かつて慕っていた兄弟子...
理由も告げられず離縁され、出戻った岡島雪江は、書家として生きていくため、実家で筆法指南所(書道教室)を開く。 扱いにくい弟子たちとの日々の交流、仏蘭西国への発砲事件や弟子たちのいざこざに巻き込まれたり、目をかけてくれ、可愛がってくれた師匠の死に直面したり、かつて慕っていた兄弟子の嫉妬に心を曇らせたりと、何かと騒がしい日々を送る。 そんな中で、豪快な師匠の、雪江に向ける和かなまなざしや、姉を支えようとする弟の愛が、とても心に染みてくる。 特に、男前なのだが、なにかと軽い言動のある弟、新之丞とのやり取りは、時にはユーモアにあふれ、時にはあたたかな空気が流れ、とても心地よい。 しょっちゅう、遊びに出かけている母親、吉瀬も味がある。 書という静謐な世界の中に、女性の位置や役割、国交問題といった不穏な空気も入り込み、するすると読めた。
Posted by
初めての梶よう子さん。 時代物だけど、ミステリー要素もあり、面白かった。読みやすく、3時間くらいで読了。 突然、理由もなく嫁ぎ先から離縁された女流書家の岡島雪江は心機一転、筆法指南所(書道教室)を始める。しかし大酒飲みの師匠・巻菱湖や、かまびすしい弟子の武家娘たち、奥右筆の弟・...
初めての梶よう子さん。 時代物だけど、ミステリー要素もあり、面白かった。読みやすく、3時間くらいで読了。 突然、理由もなく嫁ぎ先から離縁された女流書家の岡島雪江は心機一転、筆法指南所(書道教室)を始める。しかし大酒飲みの師匠・巻菱湖や、かまびすしい弟子の武家娘たち、奥右筆の弟・新之丞に振り回される日々。そんなある日、元夫の章一郎が「ある事件」に巻き込まれたことを知り――。 江戸時代に生きる「書家」とその師弟愛を描いた、感動作。
Posted by
突然故もなく離縁されてしまった主人公、雪江。 書道の道に進み、近隣の娘たちを弟子にして過ごしているが、色々と事件に巻き込まれていく。 結果ハッピーエンドで良かったけれど、脇役の登場人物の描かれ方が中途半端だった様な気がした。
Posted by
江戸時代の新しい開拓しようと探す。梶よう子さん良さそうだと思って。文体も優しくて読みやすいけど、出だしの卯美、汐江、涼代と何故に毎回の出だしが意地の悪い女なんだろうか。新しいページにはヨシっ次だという気持ちが働くのに、気持ちが萎える。昔の職場で性格悪の年下のリーダーがいたけど、敵...
江戸時代の新しい開拓しようと探す。梶よう子さん良さそうだと思って。文体も優しくて読みやすいけど、出だしの卯美、汐江、涼代と何故に毎回の出だしが意地の悪い女なんだろうか。新しいページにはヨシっ次だという気持ちが働くのに、気持ちが萎える。昔の職場で性格悪の年下のリーダーがいたけど、敵意を持たれて何かと嫌味に悪口に怒声を受けて、思えばあそこまで我慢する必要がないし、訴えてもよかったし、同情する周りもなんだかわからんし。こういうの思い出す小説ってダメじゃね。
Posted by
婚家を理由も告げず離縁された嫁が、書道家として頑張ってゆく話しに、推理小説的な要素が加わってゆく。 多数の娘たちが書道塾にやってくるが、その中には離縁されたことを悪し様に聞いてくる意地悪娘もいるが、たしなめるでもなく、淡々と対応してゆくのが歯痒くなる。 昔、恋心を持っていた兄弟子...
婚家を理由も告げず離縁された嫁が、書道家として頑張ってゆく話しに、推理小説的な要素が加わってゆく。 多数の娘たちが書道塾にやってくるが、その中には離縁されたことを悪し様に聞いてくる意地悪娘もいるが、たしなめるでもなく、淡々と対応してゆくのが歯痒くなる。 昔、恋心を持っていた兄弟子の変心にもあうが、頼りないと思っていた弟にも助けられて、最後は全て上手くいってしまったので、読了感としては後味が良く終われた。
Posted by
武家の女性それも、凛とした筋のある女性を描いている作者 梶よう子氏。 理由もなく、離縁されて、出戻った岡島雪江。 筆法指南書、、、言ってみれば書道教室を開くことに。 師匠の巻菱湖や、岡島の家督を継いだ雪江の弟の奥右筆を務める新之丞の人間の温かみある人達に恵まれている。 書道教...
武家の女性それも、凛とした筋のある女性を描いている作者 梶よう子氏。 理由もなく、離縁されて、出戻った岡島雪江。 筆法指南書、、、言ってみれば書道教室を開くことに。 師匠の巻菱湖や、岡島の家督を継いだ雪江の弟の奥右筆を務める新之丞の人間の温かみある人達に恵まれている。 書道教室の門人たちは、若い女性ばかりだが、、、、やはり、一癖も二癖もある子もいる所が、面白い。 儒教の五徳「仁、義、礼、智、信、」を稽古の手本とする。 書は、精神を鍛えるもの、雑念を捨て、技巧におごることなく筆を揮う。 雪江のお稽古の時に、庭から、一輪、いつも、活ける所が良い。 しかし、涼代が、思い切った事をする。 涼代が、卯美の顔に墨の磨った木箱を逆さに・・・・ 墨を被る卯美の着物、どう墨を落とすのだろうか? 悉皆屋にしても、墨を消すのには、どうするのだろう、、、と、余計なことまで、考えてしまった。 異国船の話や公金横領などの事件があったが、最後は、森高章一郎が、迎えに来てくれて、元の鞘に戻れるという結末で、良かった良かった! 読み易く、又、若い女性の、雀のような口さがない言い合いも、どう対処していくのか、、、が、興味深かった。 アッという間に読めてしまった。
Posted by
- 1