1,800円以上の注文で送料無料

死者の国 の商品レビュー

4.4

17件のお客様レビュー

  1. 5つ

    8

  2. 4つ

    4

  3. 3つ

    2

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2019/10/11

作中のグロいシーンにはなかなか馴染めなかったが、大好きな街が舞台であるという事と、何より勢いのある文章が最後まで読ませてくれた。いつもは犯人を探し探し読むのだが、この作品は複雑な構成すぎて思わぬ黒幕にやられた感が凄かった。

Posted byブクログ

2019/09/20

煉瓦である。 早川書房があまりに煉瓦レンガ言うので、 (https://www.hayakawabooks.com/n/n31ef5d7d4561) 内容そっちのけで手にしてしまった。 厚さ3.5センチ、重さ550グラム。 重ねれば赤い壁の出来る、まさしく煉瓦である。 (htt...

煉瓦である。 早川書房があまりに煉瓦レンガ言うので、 (https://www.hayakawabooks.com/n/n31ef5d7d4561) 内容そっちのけで手にしてしまった。 厚さ3.5センチ、重さ550グラム。 重ねれば赤い壁の出来る、まさしく煉瓦である。 (https://twitter.com/hayakawashobo/status/1134014586556837888) 今や、分厚い本を読むというのは、それだけでステイタスなのだ。 それだけの時間と、根気と、理解力、想像力etc.の要素を必要とする。 それだけのものを持ち得る人が、今の世にどれだけいるだろう? ハヤカワ・ポケット・ミステリは、装幀が凝っている。 題字の映える連続模様、選ばれし文言による帯、 丁寧にかけられたビニールカバー、 なにより、小口のこの黄色。 焼け、変色防止のためにあるこの黄色は、なんと手塗りだという。 想像してみよう。 電車の中で、カフェの席で、公園のベンチで、待ち合わせの場所で、 鞄からこの本をーー凝った装丁の美しく分厚い本を取り出して、 何気ない読み慣れた風で読み進める様を。 目的地に着いた時、待っていた相手がきた時、 ふと顔を上げて、ページにしおりを挟む様を。 かっこいいではないか! その為だけに、この550グラムの煉瓦を持ち歩く価値がある。 765ページのこの大作は、無駄に引き延ばされたものではない。 例えば「これは、なんだ!」と主人公が言い、そこで章が終わるとき、次の章はたいてい「その頃脇役Aは・・・」であって、読者が主人公の驚きの理由を知るのはずいぶん後になる。 それも読者をハラハラさせるには効果的な演出である。 ところがこの『死者の国』にはそれがない。 章改まって間もなく、どうかすると3行目には、読者は理由を知ることができる。 引き延ばし演出がなくとも、充分、読者をハラハラヒヤヒヤドキドキさせる物語なのだ。 読みながらつくづく感じ入ったのは、フランスだなあということだ。 「愛(アムール)の国」と謳われるが、生半可な愛ではない。 物語のすべてから、恋情、肉欲、性愛が溢れ、迫ってくる。 帯にある「グラン・ギニョール」とは、19世紀末から20 世紀半ばまであった、見世物小屋の怪奇芝居である。 登場人物は浮浪者、孤児、娼婦、そして殺人嗜好者といった面々で、客席で何人が失神したかが、出し物の成功を計る目安になったのだそうだ。 『死者の国』はたしかに今様グラン・ギニョールだ。 頁を紐解き、主人公ステファン・コルソとともに、 地下三階の劇場に脚を踏み入れよう。 いきなり550グラムはどうも・・・という方にはこちら。無料で100頁ほど試し読みができる。 (https://bookwalker.jp/series/207731/)

Posted byブクログ

2019/09/15

ちょっと今までに感じた事のない読後感。品が無いとも思うし、好きでもあり嫌いでもあるんが率直な感想かな。

Posted byブクログ

2019/08/30

グランジェ作品、最高です。『クリムゾン・リバー』は映画しかみてないけれど、『通過者』もめちゃくちゃ面白かったし。どの作品も主人公や出てくるひとが普通じゃなくてそういうのが、人間的。いや、変な人ばっかり出てくるんだけども、これも絶対絶対映画になったらみたいかもと思うくらいに人間関係...

グランジェ作品、最高です。『クリムゾン・リバー』は映画しかみてないけれど、『通過者』もめちゃくちゃ面白かったし。どの作品も主人公や出てくるひとが普通じゃなくてそういうのが、人間的。いや、変な人ばっかり出てくるんだけども、これも絶対絶対映画になったらみたいかもと思うくらいに人間関係が複雑で、第三部はじまったら怒濤の展開でめちゃくちゃ読むスピードあがります。ちょっと長いし、本が持ちにくいのが難点ですが。アーナルデュル・インドリダソンとグランジェがワタシの好きなミステリー作家さんやなーとしみじみ思いました。

Posted byブクログ

2019/07/10

700ページ強! バッグの中で重かったぜ… パリにて、頰を耳まで切り裂かれ、喉に石を詰められ、下着で縛られたストリッパー連続殺人に始まる第1部。アウトロー刑事が暴力と強引な操作で追い詰めた「犯人」が、第2部で有罪判決を受けて収監されてから、怒濤の展開の第3部という…気の抜け...

700ページ強! バッグの中で重かったぜ… パリにて、頰を耳まで切り裂かれ、喉に石を詰められ、下着で縛られたストリッパー連続殺人に始まる第1部。アウトロー刑事が暴力と強引な操作で追い詰めた「犯人」が、第2部で有罪判決を受けて収監されてから、怒濤の展開の第3部という…気の抜けない作り。 いやー、英米ミステリを読み慣れてると、ヨーロッパ大陸の捜査官たちの行動は破天荒だなあ。ネスボの「ハリー・ホーレ」もだけど、不法侵入から証拠破棄までなんでもあり。そのワイルドさにグイグイ惹きつけられて、ページを繰ってしまうけれども。 絵画・歴史から日本の緊縛まで、JCの豊富な知識と美学が、背景また道具立てとしてよく生きてる。バイオレンスに満ちていながら、殺伐としすぎないのは、そういった局面のおかげか。主人公の幼い息子への曇りなき愛情は、JCの末っ子へのそれと重なるしね。お人柄だな。 彼の作品は、最終的には「血」のつながりに行きつくことが多い。「それが目的だったなら、もうひとり、狙われるべき人物がいるじゃん!」と思いつつ、でもそのおかげでラストに希望があるんだよね。 質量ともに重いけど魅惑的読書体験でした

Posted byブクログ

2019/06/24

 ポケミスの愛称で知られるハヤカワ・ポケット・ミステリだが、年々ポケットという名が似つかわしくない厚手の本が増えている。もともとポケミスは、海外のペーパーバックを真似た洒落たオトナのデザインを身に纏っている。ペーパーバックは、海外ではハードカバーよりは下に見られていて、安い原稿料...

 ポケミスの愛称で知られるハヤカワ・ポケット・ミステリだが、年々ポケットという名が似つかわしくない厚手の本が増えている。もともとポケミスは、海外のペーパーバックを真似た洒落たオトナのデザインを身に纏っている。ペーパーバックは、海外ではハードカバーよりは下に見られていて、安い原稿料でノワールやアクションを書いて糊口を凌いでいた三文作家のことはペーパーバック・ライターと呼ばれて一段下に置かれていた時代があったと言う。ところがペーパーバックから多くのエンターテインメントの巨匠や天才が生まれ育つにつれ、世界の読者はペーパーバックこそが、名作の卵であったり雛であったりすること、そして何よりも面白く読めること、大衆小説としてのエンターテインメント性の確立という意味で、文学史に大役を果たしてきたこと等々、評価される部分も今の評価に繋がっている。  現在でも、日本では、ハヤカワ・ポケミスは翻訳も早く、日本の読者への永くベストなトランスポーターとしてのその役割は、誰もが認めるところとなっている。無論、ポケミスは装丁を真似るだけではなく、ペーパーバックにこだわらぬ良質な作品選びをやって来て、これは現在も続いている。今や古書店で小説という商品価値が事実上ゼロと帰している中、ハヤカワのポケミスだけは値段が付くそうである。そのくらい希少な出版価値、作品への拘りを見せてくれているのがポケミスと言えよう。  しかし最近は、ポケットに入らないポケミスが増え、ポケット・ミステリではなく、バッグ・ミステリとでも愛称を変えるべきではないかと個人的には思ったりしていると、いうところで、さて話は本題に戻りましょう。そのバッグ・ミスと言いたくなるのが、二段組で760ページ強の、弁当箱のような厚みを誇る本書。ポケミス史上最厚ではないだろうか? そしてその厚みに値する壮大な仕掛けに満ちた大掛かりなミステリであることから、こいつは今年の翻訳ミステリ界の注目を集めるに違いないとも予感させる、いわゆる「大物」なのだ。作者も、フレンチ・ミステリの巨匠である。グランジェの名を聞いても実はピンと来ない人にはあの『クリムゾン・リバー』の原作者であると言うと、おわかりだろうか。  全盛期の少し忘れかけていた作家というイメージであろうが、邦訳作品が少ないだけで、実は今も世界では30ヶ国で翻訳され作品を世に出し続けている現役作家として活躍を続けているらしいのである。昨夏『通過者』(このミス17位)という実に13年ぶりの邦訳作品がTAC出版から出ているらしいが、ぼくは見逃している。機会があれば是非読んでみたい。  さて、本作。主人公は、出生不明の孤児から、数奇の運命を経て、現在の上司に拾い上げられ、今はパリ市警の最優秀捜査官として名を馳せているステファン・コルソ。彼の存在自体が、不幸とサバイバルと暴力に育てられた、いわゆるノワールな存在なのである。キャロル・オコンネルのキャシー・マロリーに類似した境遇だが、よりエキセントリックに、状況をぴりぴりに尖らせたようなダーティ・ヒーローと言えば、少し想像しやすいだろうか。  一歩間違えれば犯罪者の側に回っていたであろうこの警視コルソの超弩級の動物的勘に、圧倒的な行動力を加え、時間軸を揺さぶりつつ、ヨーロッパ中を走り回らせると、この単独捜査が、狂気に満ちたこの連続殺人事件を真相に近づけてゆくことが何とか叶いそうに見えてくる。それ以外のどんな捜査でも不可能だろうと言えるほど、二重三重の間違った皮相に覆われた、とにかく仕掛けだらけの難事件が相手である。そして複雑な主要人物たちの中に犯人像が浮かび上がるかと思えば、さらに想像を絶する仕掛けで裏をかかれる。あるいは裏をかかれたと思えばそれも怪しい。さらなる想像力を掻き立てられつつ、警視コルソとともに読者は暗闇の危険水域へとめくるめく旅を強いられる。  圧倒的なプロットに、幾重もの想像力と罠に満ちた執筆力との闘いが期待される本書。分厚さに納得のゆくだけの質感を与えられる超大型ミステリである。簡易な言葉で綴られるページターナーでもあるゆえに、冗長さはまず無いのでご安心を。  推理、アクション、リーガルサスペンス、コンゲーム、サイコ、画家ゴヤとその作品群に纏わる歴史ゴシック、宗教と科学のぶつかり合い。あまりに多くの面白要素で溢れかえるこの作品は、分厚いお弁当箱というには、おそらく煮え滾り過ぎている。ミステリ好きの少年が持つ探求心や冒険心を満足させてくれるおもちゃ箱のような存在と言った方が適切であろうか。  現在フレンチ・ミステリをリードするピエール・ルメートルに比肩するこのグランジェ。この作家の復活に、心臓がばくばくするほど興奮を覚えつつ、是非最後まで挑んで頂きたいと思うほどの大作登場なのである。

Posted byブクログ

2019/06/09

久しぶりに『通過者』の邦訳が出て、『クリムゾン・リバー』の新版が出たジャン=クリストフ・グランジェ。最新刊はポケミスからの刊行だった。ポケミスからの刊行は初めて、というのは少し驚く。1冊ぐらい出ていても不思議じゃないと思うんだけど。 『通過者』もかなりの大作だったが、本書も700...

久しぶりに『通過者』の邦訳が出て、『クリムゾン・リバー』の新版が出たジャン=クリストフ・グランジェ。最新刊はポケミスからの刊行だった。ポケミスからの刊行は初めて、というのは少し驚く。1冊ぐらい出ていても不思議じゃないと思うんだけど。 『通過者』もかなりの大作だったが、本書も700ページを超えている。右往左往……というか、堂々巡りをしているようなストーリーで、ともすればダレてしまいそうなのだが、全く緊張感を失わないのは凄い。主人公の警察官も決して好人物ではなく、現実にこんな警官がいたらソッコーで懲戒食らって、良くて地方に飛ばされるようなキャラクター造形なのだが、妙に愛嬌があって憎めない。それに、バタイユやマンディアルグを生んだ国のミステリで、ここまでSM趣味が悪し様に罵られているのもなかなか面白いものがあるw 万人受けする作風かと言われると首を傾げざるを得ないが、好きな人は好きだろうなぁ、これ。一度、途切れてしまっていた邦訳が、ここに来て再開されたのも何かの縁、また途切れてしまわないことを祈りたい。あと、創元から出ていて、品切れになっている分の復刊も……。

Posted byブクログ