日本国勢図会 第77版(2019/20年) の商品レビュー
年金給付額も、豚肉の生産量も、アルゼンチンとの貿易収支も、各市の人口も、みんなわかっちゃう。 -------- 92年・77版にわたり刊行してきた資料集だ。 思えば学生時代、教科書類の中で、社会科資料集が圧倒的に長い時間開いていた本だった。 けれど、すっかりそんなことは忘れている...
年金給付額も、豚肉の生産量も、アルゼンチンとの貿易収支も、各市の人口も、みんなわかっちゃう。 -------- 92年・77版にわたり刊行してきた資料集だ。 思えば学生時代、教科書類の中で、社会科資料集が圧倒的に長い時間開いていた本だった。 けれど、すっかりそんなことは忘れているわけで。本書を見て思い出した。 オーストラリアからの輸入は石炭が多いとか、綿花の輸入先一番はアメリカ合衆国だとか。 みかんの生産量、一位は和歌山、二位は愛媛、三位は熊本…あれ? 静岡じゃないのか。 当然、統計は変化するのだ。 最高気温。三位までがすべて2018年。暑かったもんね。 こういう、政府統計とか理科年表にありそうなものばかりではない。 小売業売上高と経常利益。イオンとかセブン&アイとかヤマダ電機とか、そんなところの情報も載っている。 インターネットサービスの利用者数。 平均月間利用者の一位は、Yahoo! Japan。GoogleでもLINEでもないのだ。できる〇〇とかいう本などに、「Yahoo!をホームページに設定してみよう」とか書いてあるから、なのか? 文庫と新書の新刊出版点数。これは2010〜15年をピークに落ちてきてはいるが、それでも1990年とくらべて、2017年は文庫も新書も圧倒的に多く出版されている。 書店数。ご存知の通り激減である。激減ではあるが、売り場面積は減っていない、つまり大型店ばかりになってきた、ということがわかる。知ってたけども、こうみると辛いものがあるなあ…。 いわゆる、著者の思考を追う読書とはまったく違うが、違った読み応えがある。すでに何点か、ああそうだったのか、という情報に出会えた。 あるときは貿易不均衡に憂い、あるときはいじめの認知件数に憂う。そしてまたあるときは、がん死亡者数の増加に憂う。 あれ、憂いてばかりだ。 でも、そういう感情こそが、何かを変えようという原動力になるんじゃないかなあ。統計不正はいけないが、統計を読む側には、自由な誤読も許されている。とても覚えきれるものではないから、楽しんで何度も読もう。
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