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三鬼 の商品レビュー

4.3

92件のお客様レビュー

  1. 5つ

    33

  2. 4つ

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  3. 3つ

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2026/03/30

三島屋変調百物語の第四巻である。思えば前巻「泣き童子」を読み終えてから、ずいぶん間が空いてしまった。気がつけば続く第五巻「あやかし草子」まで出ている。少々のんびりしすぎた感は否めない。 本書には「迷いの旅籠」「食客ひだる神」「三鬼」「おくらさま」の四話が収められている。いずれも...

三島屋変調百物語の第四巻である。思えば前巻「泣き童子」を読み終えてから、ずいぶん間が空いてしまった。気がつけば続く第五巻「あやかし草子」まで出ている。少々のんびりしすぎた感は否めない。 本書には「迷いの旅籠」「食客ひだる神」「三鬼」「おくらさま」の四話が収められている。いずれも人の情が引き金となって、怪異へと転じていく。 亡き者への執着が、禁を越えさせる「迷いの旅籠」。取り憑かれながらも、したたかに生き延びる「食客ひだる神」。嫉みや恨みが積もり、ついには鬼へと変じる表題作「三鬼」。そして、守り神でありながら祟りもなす「おくらさま」。どの話も、怖さの芯が人の内側にある。 このシリーズの面白さは、怪談でありながら人情話としても読めるところにある。化け物が恐ろしいのではない。そこに至る人の心のありようが、じわりと効いてくる。 さらに今回は、三島屋の次男・富次郎が顔を出し、新たに瓢箪古堂の若旦那・勘一も加わる。物語は少しずつ広がりを見せ始めた。 怪異は一話ごとに完結する。だが、世界は確実に続いている。そう思わせるあたりが、このシリーズの抜け目のなさである。

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2026/02/14

抜群に面白い。シリーズ最高傑作!(前の作品の熱は忘れてしまっているが……) 稀代のストリーテラー、宮部みゆきの本領発揮の作品だ。 迷いの旅籠では、生者の未練が亡者の姿を借りて人を迷い恐怖させる。 食客のひだる神は、とりついた神が肥えてゆく話で、人と神のホッコリする交流が魅力。 三...

抜群に面白い。シリーズ最高傑作!(前の作品の熱は忘れてしまっているが……) 稀代のストリーテラー、宮部みゆきの本領発揮の作品だ。 迷いの旅籠では、生者の未練が亡者の姿を借りて人を迷い恐怖させる。 食客のひだる神は、とりついた神が肥えてゆく話で、人と神のホッコリする交流が魅力。 三鬼はあの世の鬼が、人の役目を肩代わりする。 おくらさまは、新たなキャラ二人を加えて、おちかの人生の覚悟を諭す。 おくらさまの最後に勘一が上手いことを言う。「生身の人の語りは、生ものだけにあたる。読み物は生身の人からはもう離れていて枯れているので、あたりません。故に、読み物から知識を得られれば、肝っ玉が強くなり、語りにあたりにくくなり一石二鳥。」人の言葉に一喜一憂することはよくあるが、本から知識や経験を取り込んでいれば、強くなれる。

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2026/02/02

今作の怪異譚も、怖さ、微笑ましさ、温かさ、おぞましさ、色々と感じられる一冊だった。 毎回怖い話とほっこりする話の緩急があるシリーズだけど、今回はとにかく表題作『三鬼』の痛ましさとおぞましさが突き抜けていたように感じる。ただの不思議な存在の話ではなく、人間の業と相まって、読み進める...

今作の怪異譚も、怖さ、微笑ましさ、温かさ、おぞましさ、色々と感じられる一冊だった。 毎回怖い話とほっこりする話の緩急があるシリーズだけど、今回はとにかく表題作『三鬼』の痛ましさとおぞましさが突き抜けていたように感じる。ただの不思議な存在の話ではなく、人間の業と相まって、読み進めるほどに感じる薄ら寒さが強くなる。 全体的に、個人の力ではどうにもできない社会構造やしきたりの柵に関わる話が多かったのも、もどかしさを感じつつ今までと違う楽しみ方ができた。人間関係も少しずつ変化していて、次回作も楽しみ。

Posted byブクログ

2026/01/25

三島屋おちかの黒白のまでの百物語、4巻。 鬼が出てきたり、生き霊が出てきたりと、怪しさが増してきてますが面白い! 読み始めたら気になって止まらない。 別れもあった4巻。でも新しい出会いもあり、今後が楽しみです。

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2026/01/04

安定の4作目、良い意味で落ち着いて、かつワクワクして読み進められる。決して難しい言葉遣いはしていないのに、江戸の空気が感じられる文章表現が毎度見事。 ◆迷いの旅籠 やや冗長な感はあったし、全体的にちょっと強引なこじつけがあったようにも思えるが、人間ドラマを含んだ味わい深い話だっ...

安定の4作目、良い意味で落ち着いて、かつワクワクして読み進められる。決して難しい言葉遣いはしていないのに、江戸の空気が感じられる文章表現が毎度見事。 ◆迷いの旅籠 やや冗長な感はあったし、全体的にちょっと強引なこじつけがあったようにも思えるが、人間ドラマを含んだ味わい深い話だった。最後も悪くない。あちら側から戸を閉める…閉めた人はその後どうなるのか。「先の光景」を想像してしまう。 小屋全体が灯籠となる景色や、あの世の人々が光となってふわふわゆらゆら歩いてくる場面など、嗚呼、実際に見てみたいなと思わせられる刹那が随所にあった。 ◆食客ひだる神 可愛くてほっこりする話。挿話としてこういうのもいいよね。もののけなのか妖なのか神様なのか。なんとも判じ難い存在と、とくに説明を求めるわけでもなく共存していく日常が楽しかった。 ◆三鬼 最初に整えられた設定としては一番興味をひかれた話。深山の警備に当たる山番士、前任者は謎の死を遂げたり気が触れてしまったりしていて、更に、日々の業務を記録したはずの日誌も見当たらない。一つにまとまっていた方が何かと便利なはずの村はなぜか上村と下村に分かれている…気になる布石だよねぇ。 面白かったけど、これまたちょっと、「ん?だとしたらあれは何?」と少しすっきりしない点も残った。例えば、利三郎とみねに赤子ができたとき、なぜ村人は全く喜ばなかったのかとかね(妊娠した時点では別に難産になるかどうかなんて分からないし、普通に生まれれば働き手が増えて村にとっては良いことだろうに)。 鬼に自分を見る、というのも、ややありがちな結論のような気もした。もう少し、深淵が覗き込めたら楽しかったなぁ。 ◆おくらさま いつもとはちょっと違う趣向で全体的に面白かった。過去と今とを繋ごうとする謎解きみたいな展開もよし。香具屋さんの話だったので、読んでいる最中にふわっと良い香りがする気がした。登場人物のキャラクターのおかげか、明るく楽しい雰囲気は維持しつつも、要となる部分にしっかり恐ろしさを含んでいたのも良かった。 毎回そうなのだけど、このシリーズを読むと自分も怪談を集めたくなる。百物語の会をしたくなる。この誘う力もまた、一つの怪異なのかもしれない。

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2025/11/12

恐ろしい、切ない、微笑ましい、悲しい。 読む度にいろんな感情が引き出されて、結構な頻度で泣かされる三島屋シリーズ第四弾。 怪異の真相や各話の結末に驚かされる事も多い。 読み始めると先が気になって「今日はこのへんで止めておこう」がなかなかできない。 収録作全て面白いのが凄いよねえ。...

恐ろしい、切ない、微笑ましい、悲しい。 読む度にいろんな感情が引き出されて、結構な頻度で泣かされる三島屋シリーズ第四弾。 怪異の真相や各話の結末に驚かされる事も多い。 読み始めると先が気になって「今日はこのへんで止めておこう」がなかなかできない。 収録作全て面白いのが凄いよねえ。 表題作のような悲しくて恐ろしい話も良いし、笑って泣ける《ひだる神》の話も好き。 《おくらさま》の話は趣向が違って新鮮。 この話は怖い気持ちと切ない気持ちを抱えながら読んだ。 初期の塞ぎ込んでた頃のおちかを知っているせいか、年相応に振る舞う彼女を見れたのが切ないやら嬉しいやら。

Posted byブクログ

2025/10/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

三島屋百物語 その四 迷いの旅籠 鶴見川の北小森村の 13歳の女子おつぎが、名主さまに言われ語りにきた。 村の田畑を守る神あかり様のための行燈祭りを領主のお殿様の喪中のため禁じられた。田畑の凶作を恐れる小作人達と領主の怒りを恐れる名主、村長。間に入るふりをして自分の望みを叶えようとする絵描きが、あの世との道をあけてしまう。 食客ひだる神 三島屋の花見でとるお料理やの話。 秋から春の間だけ商いをするというだるま屋に興味を持ったおちかは、だるまやに話を聞く。 料理人を目指す房五郎は、旅の途中食い意地の張った「ひだる神」に憑かれてしまう。ひだる神を抱えて商売を広げる房五郎。 三鬼 取り潰しになった大名の江戸屋敷の家老を務めた村井清右衛門が語り手。 かつて藩主の栗山藩で小納戸役端という半端な役目を務めていた村井清右衛門は、妹を襲われてた恨みを晴らすための狼藉で、謎の山村洞ヶ森村の番役山番士として3年の役務につく。貧しい農村で訳ありの住人を須加利三郎とまとめる。 前任の番役の記録が一切なく、村長の欣吉からは何も聞き出せない。 そして前任の気のふれた番役の残したこの村には鬼がいると言う言葉。 3年目に鬼の姿を見て後をつけ、対峙する。 おくらさま 三島屋の時間富次郎が奉公先で怪我を負い三島屋に戻る。 久々の百物語を別室でお勝と聞くことに。 芝の香具屋の3人娘お藤、お菊、お梅は蔵座敷にて代々伝わるおくらさまの為に香をたく。おくらさまに店を守ってもらえると言う。 話し終えたところでおちかは目を回し気がつくと誰も居ない。幻だったのかを確かめる為に読んだ貸本屋の勘一の協力で香具屋の美仙屋を探す。 真違を確かめて落着したところで、おちかの思いを寄せる青野利一郎が藩もとの那須に戻ることになる。

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2025/08/31

三島屋百物語第4段。 迷いの旅籠では、あの世とこの世を繋ぎハリボテの死人を甦らせ亡くなった大切な人を受け止められなく前に進めない人の心情が描かれ、ひだる神では、餓鬼に憑かれ食糧の代わりに商売繁盛のきっかけをつくる神との和やかな日々を見る。三鬼は山奥の村で植林を行う2つの地域で起こ...

三島屋百物語第4段。 迷いの旅籠では、あの世とこの世を繋ぎハリボテの死人を甦らせ亡くなった大切な人を受け止められなく前に進めない人の心情が描かれ、ひだる神では、餓鬼に憑かれ食糧の代わりに商売繁盛のきっかけをつくる神との和やかな日々を見る。三鬼は山奥の村で植林を行う2つの地域で起こる働けない物が死んでゆくその事実にゾッとし、殺しを行う人の業が鬼になることを感じる。おくらさまは香物を営む店で起こる災いから守ってくれると引き換えにその店の娘がおくら様となり命が失われる。 次男富次郎登場。飄々としてて良いキャラ そして切ない恋の進展。 おちかも大人になったなと感じるし青野先生と結ばれるものだと思ってただけに胸がつまり切ない4巻だった。

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2025/06/12

三島屋百物語の4巻目。このシリーズは 3巻目まで読んで止まっていたのだが、先日ふと9巻目を読んでしまい、物語の展開に驚いて続きを手に取ったもの。客が三島屋の黒白の間を訪れて怪奇を語る…というと各話の最初と最後はマンネリになりそうなものだが、稀代のストーリーテラー宮部みゆきがその愚...

三島屋百物語の4巻目。このシリーズは 3巻目まで読んで止まっていたのだが、先日ふと9巻目を読んでしまい、物語の展開に驚いて続きを手に取ったもの。客が三島屋の黒白の間を訪れて怪奇を語る…というと各話の最初と最後はマンネリになりそうなものだが、稀代のストーリーテラー宮部みゆきがその愚を犯すはずもなく、「おくらさま」ではあっと驚く仕掛を見せる。孤立して暮らす村の不気味な雰囲気が何とも言えない表題作「三鬼」も佳作だが、怪奇談らしくない明るさと何とも美味しそうな料理の数々が魅力的な「食客ひだる神」が秀逸。

Posted byブクログ

2025/06/07

再読。どの話も心に沁みる。最後の青野先生の言葉は現代の私たちにも通じる言葉だと思う。タイトルが「三」だったのでシリーズ3作目だと思っていたら4作目だった。とんだ勘違いだった。

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