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五瓣の椿 の商品レビュー

4.4

7件のお客様レビュー

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2023/04/02

復讐物。好きで3回は読んでるかも。 序盤では、父親思いの優しい少女として書かれているのが、復讐を決めた途端、非情に徹する姿がなんとも物悲しい…

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2022/02/22

山本周五郎全集11(再読) この世には御定法で罰することのできない罪がある。 薬種・油売商むさし屋の寮で火事があり、焼け跡から主人と妻・娘とみられる3人の死体が発見される。 その後、一人の美しい娘によると思われる殺人事件が続き、その死体のそばにはいつも一枚の椿の花びらが落ちてい...

山本周五郎全集11(再読) この世には御定法で罰することのできない罪がある。 薬種・油売商むさし屋の寮で火事があり、焼け跡から主人と妻・娘とみられる3人の死体が発見される。 その後、一人の美しい娘によると思われる殺人事件が続き、その死体のそばにはいつも一枚の椿の花びらが落ちていた。 報われず死んだ父への思いと人の気持ちをもてあそぶ放蕩な母とその相手への恨みを晴らす復習劇。 スリリングなサスペンスドラマの趣。面白い。

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2021/12/07

銀のかんざし、椿の花弁、美少女というビジュアルがそのまま今アニメの設定にでもなりそうなくらい。手塚治虫の女性キャラしかり、筒井康隆の七瀬シリーズしかり、先達たちはわかってるよなぁ。ヒロインおしのと父の最期の無念のひと時を描く序章の濃度、そのあと5人の仇を一章で一殺ずつ果たしていく...

銀のかんざし、椿の花弁、美少女というビジュアルがそのまま今アニメの設定にでもなりそうなくらい。手塚治虫の女性キャラしかり、筒井康隆の七瀬シリーズしかり、先達たちはわかってるよなぁ。ヒロインおしのと父の最期の無念のひと時を描く序章の濃度、そのあと5人の仇を一章で一殺ずつ果たしていくという構成の巧みさ。その三章から現れる与力による追及のサスペンス、四章と五章での仇相手の配置などのアイデアも素晴らしい。茶屋の間取りの細かな描写や江戸の街並みの風景描写も簡潔ながら豊富に描かれて情緒も満点。文章のテンポもいい。

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2021/10/05

以前NHKでドラマをやっていたことがあって、興味を持ったので原作本を読んでみました。 残念ながらドラマのほうは若干オリジナル要素が多かったので、同じ作品とは思えなかったのですが、与力の青木さんがじわじわと犯人に近づいていくところなど喪服のランデブーを彷仏とさせ、これはこれでとても...

以前NHKでドラマをやっていたことがあって、興味を持ったので原作本を読んでみました。 残念ながらドラマのほうは若干オリジナル要素が多かったので、同じ作品とは思えなかったのですが、与力の青木さんがじわじわと犯人に近づいていくところなど喪服のランデブーを彷仏とさせ、これはこれでとても面白かったです。

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2021/04/24

主人公のおしのと同い年くらいの時に読んだのだと思う。 ラスト、そうなるかぁ…と思いつつも、いちばん救いのあるエンディングかもしれない。何よりも自分の中に流れる血が汚らわしく、さらに汚らわしい血に染まって行く自分…それを許せなかったのだろうと感じた。 2001年の国仲涼子主演のド...

主人公のおしのと同い年くらいの時に読んだのだと思う。 ラスト、そうなるかぁ…と思いつつも、いちばん救いのあるエンディングかもしれない。何よりも自分の中に流れる血が汚らわしく、さらに汚らわしい血に染まって行く自分…それを許せなかったのだろうと感じた。 2001年の国仲涼子主演のドラマをきっかけに手に取った。

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2020/08/30

山本周五郎としては異色の倒錯型ミステリー。淫蕩な母と自分の汚れた血。19歳の女性の潔癖と目覚め。この手の女性を描けるのはこの作家しかいない。 没後50年企画で改版が多い周五郎作品。この機会に未読の本書を初めて読む。「樅ノ木は残った」「赤ひげ診療譚」や多くの短編は読んだことがあった...

山本周五郎としては異色の倒錯型ミステリー。淫蕩な母と自分の汚れた血。19歳の女性の潔癖と目覚め。この手の女性を描けるのはこの作家しかいない。 没後50年企画で改版が多い周五郎作品。この機会に未読の本書を初めて読む。「樅ノ木は残った」「赤ひげ診療譚」や多くの短編は読んだことがあったが本作は異色の存在だろう。松本清張の作品を周五郎ばりにアレンジしたかのように思える。 周五郎作品に登場する女性の典型のような主人公のキャラクター。女の子から大人の女へ、ちょうどその狭間、母の淫蕩が生理的に認められない潔癖。 時代を超えて読み継がれる周五郎作品。多くの文豪の作品が絶版となる中、今でも読み継がれる魅力は何なのだろうか。殺伐とした世、人と人の関係が希薄になればなるほど、周五郎の哀しい人達に向けた優しい目が求められる時代なのだろうか。

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2020/08/02

半世紀後ぶりに読み返しました。初めて読んだ記念すべき周五郎作品なのですが、内容が強烈過ぎたのか、今一つピンと来ない印象が残っておりました。ところが、50年の歳月は自分自身も社会情勢をも変化させたのか、ちっとも古びていない今日の問題と言っていいものでありました。 なんで当時わから...

半世紀後ぶりに読み返しました。初めて読んだ記念すべき周五郎作品なのですが、内容が強烈過ぎたのか、今一つピンと来ない印象が残っておりました。ところが、50年の歳月は自分自身も社会情勢をも変化させたのか、ちっとも古びていない今日の問題と言っていいものでありました。 なんで当時わからなかったのか。18歳のみめうるわしい乙女が猟奇的な殺人を次々に犯すなんて!とヒロインが若すぎる、そして読むわたしが世間知らずで、ものを知らなかったのだと。 いつの世も片隅でまじめに苦しく努力する人々と、こずるく世渡り上手に得をするような人たちとで世の中はできているのでありまして、それを江戸時代の末期に置いてみて、ミステリー仕立てにグイグイ読ませる筆力はすごいし、構成がガタついていないというか、細かなところまで行き届いたストーリーはさすが! 許せない罪を犯されてもそれを罰するに、何をやってもいいということはないけれども、そうしなけらばならない悔しさとヒロインの気質を、見抜いたかのような周五郎さんの並々ならぬ人間性への洞察力。 ヒロインのつぶやき 「それは・・・・この世には御定法では罰することのできない罪がある、ということでございます。 倫」 現代でも理不尽な被害にあった人々の、悔しい解決されない嘆きがなんと多くあることか、と想いながら。「罪と罰」は永遠のテーマです。

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