1,800円以上の注文で送料無料

栗本薫と中島梓 の商品レビュー

4.3

8件のお客様レビュー

  1. 5つ

    2

  2. 4つ

    5

  3. 3つ

    0

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2021/06/05

栗本薫(中島梓)。自分の青春時代に全盛期でいらした作家である割には『グイン・サーガ』は未読だったりしますが、やはり自分的には外せない作家なので読了。 彼女が重度障害児で24時間介護を要する弟さんを持つ、所謂「きょうだい児」であったことはこの本で初めて知りました。また、恐らくその状...

栗本薫(中島梓)。自分の青春時代に全盛期でいらした作家である割には『グイン・サーガ』は未読だったりしますが、やはり自分的には外せない作家なので読了。 彼女が重度障害児で24時間介護を要する弟さんを持つ、所謂「きょうだい児」であったことはこの本で初めて知りました。また、恐らくその状況が彼女の孤独感を深め、独自の底知れぬ深さを持つ物語世界の醸成につながったと思われることも。 実は彼女の生前の活動を横目で見ていて、 「小説(しかも複数ジャンル)、評論、エッセイ、音楽、演劇……。マルチかつハイレベルな才能の持ち主であることは疑いないけれど、どうしてここまで熱を持って駆り立てられたように実行してしまうのか? 加えてファンもどうしてあんなに熱狂的について行っているのか」 と正直訝しさを覚えたのも確かです。 しかし本書を読み終え、彼女の活動の全てには本能に基づく必然性があっただけでなく、彼女自身の精神と生命を維持するためには欠かせない活動であったのだと認識するに至っています。 しかも、ご家族やお友達、近しい編集者やクリエイター、スタッフの方々の証言が、生前にあれだけ彼女に振り回されたにも関わらず、皆様実に優しく愛情深い! もちろん本当にしんどい思いをさせられて決裂した相手は取材を受けなかったのかも知れませんが、彼女がいかに関わった人々を強く惹きつけ引き込む存在であったか、そして彼女がとりわけ波長の合った相手といかにとことん絆を深めたか、が伝わってきました。 没後11年。グイン・サーガの物語世界を本当は自身で書き続けたかっただろうと思いを馳せると同時に、別の書き手に引き継がれ終わりなく続いていく物語世界もまた彼女の一つの理想であったのかも知れない……いや、本当にそうだったんだろうか? と複雑な思いを抱きながら本を閉じました。

Posted byブクログ

2020/05/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

20200320借りる。 20200501読了。 図書館が開館していないのでまだ返してません。 でもじっくり読めました。 これもまた、数少ない読み終わってしまう、 終わって欲しくない本の一つでした。 特に2000年代初頭に、 運転手兼お手伝いみたいなことを していた若い男性、 羨ましい! 私もギリギリ、 そのくらいに上京していれば そのチャンスがあったかも?! …なんて嘘です。 これは異性で男性でちょっとイケメンだったから 温帯が気に入ったのもあるかもしれない。 そういえば私も、2ちゃんの栗本薫板よく見てたことがあり、 温帯って言われてたの思い出したw 懐かしいな… mixiもやってたけど、 栗本薫先生がそんな下々のファンにまで コメント書く人だったとは知らなかった! 検索していればなあ!と。 それと母親と同い年の人ということで 親近感がわき、小説も読んでおりましたが、 性格的には真逆でありまして、 私も超しっかり者の母親に 漫画ポンチばかり読んで、描いて! と怒られていたので… この辺りは母親と同世代なのに、 感性はずっと若いので、 吃驚でありました。 あと弟が身体障害者で、 だから、この人は母親から受けたかった愛を こんなにも孤独だったから それをぶつけるために小説を 書いているのだなと理解しました。 どちらかと言うと、 私寄りの発達障害、しかも 酷い方のもので、 神が降りて来ちゃうのか、 あちらの世界にトリップしてしまうのか で小説を書いていて、 その最中に、大きな音があったら 心の恐慌になるくらいに 吃驚してしまうのだなということも 理解しました。 そのような人だから、 このような旦那さんは天の采配。 いなくては精神が持ったかどうかだったかも。 いろいろ書きたいのですが、 また今度、思いついたら書きますが、 書かないかもしれない。 手塚治虫に、最大のエンターテイナーと言われていたのが、物凄いなと思いましたね。

Posted byブクログ

2019/11/19

やばい本を読んでしまった。こんなの書かれたら、否が応でも栗本薫・中島梓作品を読みたくなってしまうではないか。そもそも、『ぼくらの時代』をむかーし読んだような…といううっすらした記憶しかない作家さんの評伝をなぜ読んでしまったのか。(新聞の書評欄で気になったからですが)。困ったことに...

やばい本を読んでしまった。こんなの書かれたら、否が応でも栗本薫・中島梓作品を読みたくなってしまうではないか。そもそも、『ぼくらの時代』をむかーし読んだような…といううっすらした記憶しかない作家さんの評伝をなぜ読んでしまったのか。(新聞の書評欄で気になったからですが)。困ったことになったぞ、とニヤニヤ笑いが止まらなくなるほど、栗本薫・中島梓さんの魅力を四方八方から語り尽くしている作品でした。

Posted byブクログ

2019/10/13

僕は『グイン・サーガ』を知らない。栗本薫といえば『ぼくらの時代』である。中島梓は「クイズ ヒントでピント」の女性チームキャプテン。この二人が同一人物だと知るのは高校生になってからのことだった。その意味で、僕は栗本薫・中島梓の熱心な読者ではない。 にもかかわらずめちゃくちゃ面白か...

僕は『グイン・サーガ』を知らない。栗本薫といえば『ぼくらの時代』である。中島梓は「クイズ ヒントでピント」の女性チームキャプテン。この二人が同一人物だと知るのは高校生になってからのことだった。その意味で、僕は栗本薫・中島梓の熱心な読者ではない。 にもかかわらずめちゃくちゃ面白かった。 評伝といえばいいのか、この分野は評される人に魅力があって書き手がしっかりしていれば、めちゃくちゃ面白くなる。取材力と文章力のなせる技だと思う。 そして、僕が『ぼくらの時代』を読んだのは、恩田陸が面白いから、と言ったからだったような気がする。あの終わり方は、恩田陸に通ずるものがある、と感じるのは僕だけか。 https://amzn.to/2B8bz1e

Posted byブクログ

2019/09/03

栗本薫さんへ思いのたけをぶつけるレポートです。もはやレビューではありません。 僕が本を読むようになったきっかけは完全に「グインサーガ」のおかげです。忘れもしないスキーで行った富山の駅の本屋で、友人に「たまには本でも読んで見なよ」と言われて手に取ったのがグインサーガ28巻でした。...

栗本薫さんへ思いのたけをぶつけるレポートです。もはやレビューではありません。 僕が本を読むようになったきっかけは完全に「グインサーガ」のおかげです。忘れもしないスキーで行った富山の駅の本屋で、友人に「たまには本でも読んで見なよ」と言われて手に取ったのがグインサーガ28巻でした。15歳の冬でした。 何故グインサーガだったのかと言えば表紙が大好きな天野喜孝だったから。何故28巻だったのかと言えば、表紙がとってもかっこよかったから。まさかそんなに長い小説なんて有るわけないと思っていたので、どれ読んでも一冊で完結するんだろうと漠然と思っていたからです。 話が途中からって気がつかなかった理由として、導入部にグインが颯爽と登場して木から落ちた少年を馬上で受け止めるというシーンが印象的で、途中からで初めての読書なのにかっこよさに打ちのめされたんですよね。どうも続き物らしいと気がついてからはまさに怒涛の読書人生が始まりました。 グインサーガ、魔界水滸伝、ロードス島戦記、アルスラーン戦記、銀河英雄伝説、幻獣少年キマイラ、創竜伝と今でいう所のライトノベルの走りのような本に大嵌りしました。そしてその本たちを入口に無限に広がる本の世界に入場する事が出来たのであります。 まさに人生の恩人とも言うべき作家、それが栗本薫でした。 とにかく書くのが早くて次から次へ読めるので他の作家さんがサボっているんじゃないかと疑う位でした。描写が細やかで(細かすぎるという所も有る)頭の中に情景から風景から思い浮かんで、愛好者の人は本当にその世界が有るんじゃないかと錯覚するくらいの書き込み具合でした。頭の中に浮かんでいるこの風景が本当は無いなんて信じられないという状況でありました。おかげで他の本が書き込み足りなく無い?なんて思っていました。無知とは恐ろしいものです。 あの熱に浮かされたような読書体験は他の本ではありえなかったので、いい経験させてもらったなあとしみじみ思います。 そして道半ばでお亡くなりになり、我らグインサーガワールドの住民は、現世に取り残されて永遠の迷子になってしまったという訳です。結構な年かと思い込んでいましたが56才なんてこれからまだまだという年だったんですね。 プロットも特に残していなかったようなので、お弟子さんが書き進めていますが栗本薫という天才の閃きを望んではいけないですよね。せめて大まかな筋書きだけでも残してくれていれば・・・。 10年前お亡くなりになった時、文字通り腰が抜けるくらいびっくりしました。有名人がお亡くなりになってもそれほど悲しくなる事はありませんが、彼女の場合はグインサーガの世界そのものの終焉を意味していましたから、創造主を失った世界がどこかへ流れて失われてしまう恐怖を感じました。 僕は本そのものにしか興味ありませんでしたので、この本にあるような色々な事は知りませんでした。難しそうな人だなとは思っていましたがそれ以上でしたね。伴侶の今岡さんもさぞ大変だった事でしょう。 ちなみに彼女の書く本で同じ話を繰り返したり、明らかに前と言っている事が違ったりするのは、推敲をしないという事と、校正で直すことを認めなかったという事だったようです。後年、何故周囲の人は訂正しないんだろうと疑問に思っていましたが、本人の問題だったんですね。 もっと主線に絞って書いてくれていればもっと先まで読めたのになと悲しくなりますが、そもそも筆の速さだけは日本有数の人だったのでここまで書けたこと自体が奇跡だったのかもしれません。 ちなみに魔界水滸伝に関しては20巻で一応完結しているので、満足は出来ませんが許せるという気持ちです。この本もメチャクチャ影響受けて、もしかしたらこういう妖怪や古い神や宇宙生物が暗躍しているんじゃないかと思ってしまいました。すぐに同性愛に流れていくのがどうにも閉口しましたが、この本読んで納得しました。完全な形の恋愛表現を求めるがゆえに同性愛というものを求めたのですね。 彼女の本を色々読んで皆思ったと思うのですが、とにかく男同士が惹かれあう事が非常に多い印象です。というか殆ど男同士です。 グインサーガに出てくるロベルトという盲目の貴族を使って、自らやおい小説を書いた時には当時流石に・・・でした。自ら二次創作に勤しむとはさすが腐女子のパイオニア。 未だに130巻以降のお弟子さんが書いたグインを読む気がしなくて買うだけ買っています。いつか読む日が来るのでしょうか・・・。

Posted byブクログ

2019/07/08

安井かずみ、森瑤子に続いて読んだ評伝。前二編とは趣が異なるのは著者が違うからはもちろん、作り出した作品の方向性とご本人方のキャラクターの違いだろう。 中島梓の本は少し読んでいるが、栗本薫のほうはほとんど読んでないといっていいだろう。評論は面白かったが、小説のほうはなにやら読みづ...

安井かずみ、森瑤子に続いて読んだ評伝。前二編とは趣が異なるのは著者が違うからはもちろん、作り出した作品の方向性とご本人方のキャラクターの違いだろう。 中島梓の本は少し読んでいるが、栗本薫のほうはほとんど読んでないといっていいだろう。評論は面白かったが、小説のほうはなにやら読みづらいというか、あまり魅力を感じなかった。ごめんなさい。 ずらずらと長文を書きなぐるエネルギーは驚愕の一言。また他方面にも活躍されていたようだが、エッセイ面でのみのファンでありました。漫画やダイエットに関する論考はすごかったなぁ。 と、本の感想になっていないね、これでは。

Posted byブクログ

2019/07/01

「息をするようにものを書く人間」というのは、なんだかんだでフィクションの中にしか登場しないキャラクター像だと思ってましたが、実在しました。あまりにもその生き方が物語・表現と不可分で、ある意味やっぱりフィクションの中に生きる方だったんだなと思いますが。 思春期に『終わりのないラブ・...

「息をするようにものを書く人間」というのは、なんだかんだでフィクションの中にしか登場しないキャラクター像だと思ってましたが、実在しました。あまりにもその生き方が物語・表現と不可分で、ある意味やっぱりフィクションの中に生きる方だったんだなと思いますが。 思春期に『終わりのないラブ・ソング』を回し読みしたり、学生時代に『我が心のフラッシュマン』の文庫(表紙絵は出渕裕!)を愛読した程度で、『グイン・サーガ』は手付かずのままですが、このルポを読んだらますます手を出すのが怖くなったり、それでもこれは是非読まねばとも思ったり。 晩年の著作からの引用部分が特に印象的でした。 「ただひとつ確かなのは 、私は生きている限り 、生きていることをとても好きだろうということです 。だけれども 、死ななくてはならないときには 、 『まあ 、しょうがないから死ぬしかないな 』ということです 。」

Posted byブクログ

2019/06/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

グイン・サーガで有名な栗本薫(中島梓)の伝記。グイン・サーガ以外の活動はよく知りませんでしたが、とにかくエネルギーの赴くままにありとあらゆる芸術に手を染めていたんですね。やっていなかったのは絵画ですが、漫画という形で子供の頃に挑戦していたそうですが才能がないということで諦めたということであれば、その殆どに挑戦していたということ。とにかく私含めグイン・サーガの愛読者にとっては涙なしでは読み終われない、そして面白くて一気に読んでしまう、それはグイン・サーガと同じぐらいの面白さでした。

Posted byブクログ