トロイメライ の商品レビュー

3.9

21件のお客様レビュー

  1. 5つ

    7

  2. 4つ

    5

  3. 3つ

    4

  4. 2つ

    2

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2019/06/01

表題作「トロイメライ」は初出2007年とのこと。 ひまわりが春に咲く近未来の日本で、少女が「戦争」を身近に知ってしまうお話。 こんなに短いお話なのに、SFと戦争と子ども時代のきらめきと、家族の愛と・・・警鐘と大切なものの両方がぎゅっと詰まっている。 「ロボットが戦場にいくという...

表題作「トロイメライ」は初出2007年とのこと。 ひまわりが春に咲く近未来の日本で、少女が「戦争」を身近に知ってしまうお話。 こんなに短いお話なのに、SFと戦争と子ども時代のきらめきと、家族の愛と・・・警鐘と大切なものの両方がぎゅっと詰まっている。 「ロボットが戦場にいくということは、日本のいろんな家にいるロボットたちが戦場に出ていくということだった。」 「学校帰りのわたしの手を引いてくれるシロウさんの優しい手が武器を持つ。」 二十数ページ読んだところですでに、この世界のロボットが戦争に行くなんて悲しいことだと心から思うのに、これが現実だったら、人間だったら、と考えるだけでもう・・・。 シロウさんがベッドのそばで、見えない弦をつまびいて音楽を奏でる絵がとてもきれい。 そこに至る経緯もふくんで、もの悲しさもあるけれど、それも丸ごと包み込む優しさに満ちている。

Posted byブクログ