あなたの右手は蜂蜜の香り の商品レビュー

片岡翔(著者)

2024/02/05

⁡自分のせいで檻の中に入れられてしまった⁡
⁡｢あなた｣を助けるために1人の少女が頑張るお話。
⁡と思ったらとんでもない。⁡なんて表現したらいいか…。⁡
まさに⁡帯にある、究極の愛の物語です。⁡⁡
⁡
ひとつの誓いの為に猪突猛進な、｢少女の雨子｣
⁡様々な想いに触れ⁡誓いに疑問を抱く、｢大人になった雨子｣
⁡一体どんな決断をするのか。
⁡
⁡⁡そしてこの物語のラスト
⁡どう受け止めましょうか…？⁡
⁡⁡
⁡⁡タイトルと表紙の雰囲気からは想像できない⁡⁡衝撃的な作品です。⁡ただ、この物語の中の人は⁡みんな誰かを想っていて⁡
⁡ふんわりとあたたまる1冊でした。

2023/11/16

これは…なに小説なんだ…。創作をカテゴリ分けするなんてナンセンスかもしれないけど、読み終わった後に「なんだったんだ…」と考えてしまう小説。恋愛？動物愛護？青春？

エモい邦画みたいにふんわりした雰囲気なのに、雨子の発言や行動、思考に触れるとざらざらしている。正しさ、答えって何だろうと思ってしまう。

雨子も那智くんも純粋すぎて、現代社会の常識(大人目線？)から見ると「病んでいる」、那智くんは対象が同じ人間の異性だから「一途だなあ」で済むかもだが、雨子は狂気的とも言える。あなた以外は瑣末なことだと自分に言い聞かせてる感じはちょっと切ない。愛情って一方通行で思い込みで、それで他人を変えることはできない。成長して、周りの人々の優しさや信念を理解した上で最後の決断をした雨子の姿に、愛するって極限まで磨くと崇拝になるのかなと思った。分からん。

2023/05/07

何が相手にとって幸せなのか
そのことを考えながら大切なものと接するけれど、それはあくまでも自分の憶測、思い込みでしかない

2023/04/18

この終わり方だからこそ、こんなにもこの一冊にひっぱられてるんだろうなぁ。
私の中ではバットエンドだった。「あなた」がフェリーの中で暴れ出したり、誰かを襲ったりするようなわかりやすいバットエンドじゃなくて、もっと曖昧なむしろ「あなた」にとってはハッピーエンド？
本当に？ハッピーエンドなの？？
雨子の思い込みが激しくて、それにプラスして行動力が半端ない。
小３で１人で俱知安から仙台の動物園に「あなた」に会いにいっちゃうんだよ。すごい行動力。札幌で乗り換えて新千歳空港駅だよ。すごいよ。困ったもんだ。
「あなた」の母熊を自分のせいで射殺させたと思い込み、「あなた」を動物園から羊蹄山に戻す事だけを考えて雨子の人生は進む。
私は、雨子のどうしてには答えられない。命の平等はどこで線引きされているのか。
猫や犬は罰せられるのに、鼠だと駆除対象になる。同じ命なのに。ずっとそんな問いかけをしてくる一冊でした。
重い。表紙はかわいいのに。

2023/03/25

ダメだ好きすぎる。読み終わって瞬間そう思った。久しぶりにここまでの本に出会った。

感動するってこういう気持ちなの?今まで感動したと思っていたの気持ちは何だったの？
このお話は愛する相手が、自分が苦手な人間じゃなくてクマだから、こんなに心が揺り動かされるのかな？としたら、普通に人間が好きな人は、普段からこういう種類と大きさの感動を感じているのかな？

興奮して一気に色々な思いが込み上げてきた。

　小学生の雨子の住む住宅地にクマが現れた。子グマを可愛いと思い近づいた雨子だったが、不意に母グマが現れる。そして、母グマは猟銃で射殺されてしまう。
こうして出会った子グマのために、雨子はその後の人生全てを捧げる。

現実にはあり得ない事が山積みなのだけれど、そんな事はどうでもいいと思える程、引き込まれた。これは、あたし（雨子）のあなた（クマ）への大きな大きな愛の本です。しかも、雨子の子供時代のところでは、吹き出してしまうくらい笑えるところも…

片岡翔さんの本は「さよなら、ムッシュ」を以前読んで、2冊目。「さよなら、ムッシュ」もかなり好きでした。

調べると、文庫も出ているようですが、何と表紙がクマの絵から人間の写真になってる……
あり得ない。読後にこの表紙のクマの絵が、とてつもなく大きな愛と感動を引き起こしているのに。

私は少し特殊なので、他の方が同じように感じるかは分からないけれど、暫く他の本を読みたくないと思ってしまうほどに、心酔してしまう力のある一冊でした。

2023/03/24

私が雨子だったら
もう二度とクマは見れない

幼い頃不注意で
あなたの母を死なせた雨子

「あなた」とは子グマの雪の介

動物園に入れられたあなたを
絶対に救い出すと決めた

「この世のあらゆることは
全部思い込み」

正しさなんて関係ない
そう言い切る雨子の思いも
思い込みかもしれない

2022/09/02

北海道の田舎でクマが現れた。
そのクマに主人公は近寄って母クマに襲われそうになる。
そのせいで母クマは猟銃で撃たれて殺されてしまい、子熊は宮城の動物園に引き取られることになる。
私があなた（小熊）を故郷から追いやってしまった。お母さんを殺してしまった。
そう考える主人公は飼育員になり宮城の動物園に就職する。
子熊を故郷の羊蹄山に帰す計画を胸に秘めて・・・。

すべては思い込み。
と何度も出てくる言葉が印象的で結末を読んだ後もその言葉と共にストーリーを反芻してしまう。
すべては思い込み。

2022/05/22

これは久々にすごい本だなと思った。
純粋な心のまま大人になった主人公。小熊を救うこと以外は全て瑣末なことであるかのように全てを否定していくような、、、
読んでてもどかしかった。
命は平等ではないっていつから身に染みつくのだろうか。

でも自分の願いを叶えたという点ではこの子の信念は感じた。

2022/02/19

何につけても納得できず何をとっても気に入らない主人公は思春期そのもので、思春期特有の矛盾しながら一貫したような思考をそのまま書きつけたものを読まされている感じ。
好きだけど理解できない。
理解できないけど、好き。
でも、理解できない。
私もレバーを引く人間だけど、それでも理解できない。
答えのない命題に、主人公が主人公なりの唯一無二の答えを無理やり叩きつけているせいかもしれない。
場面の切り替えや画面のカットの映像センスを感じる文章で、言語センスも相まって文体にも詩や芸能のような特有のリズムがあった。

2022/01/30

自分のせいで動物園に入れられたクマの「あなた」を救い出すための14年間。純粋すぎるよ雨ちゃん、那智くん。誰かが誰かをそれぞれに想うことの切なさ。