悪の五輪 の商品レビュー
まず、タイトルがいい。「悪の五輪」。有象無象のクズどもが五輪マネーのおこぼれにあずかろうとするさまを、これほど簡潔に示したフレーズはない。日本の過去の風景であり、目の前で起きている現実でもある。 それから、映画への偏愛がいい。アウトローの世界にすら違和感を抱えて、映画館の暗闇に...
まず、タイトルがいい。「悪の五輪」。有象無象のクズどもが五輪マネーのおこぼれにあずかろうとするさまを、これほど簡潔に示したフレーズはない。日本の過去の風景であり、目の前で起きている現実でもある。 それから、映画への偏愛がいい。アウトローの世界にすら違和感を抱えて、映画館の暗闇に居場所を得る主人公に自分を重ねる映画好きは多いだろう。 キャストがいい。児玉誉士夫、花形敬、永田雅一――戦後から高度経済成長期の日本を闊歩した化物が、次から次へと登場し、主人公を五輪をめぐる狂騒と陰謀と腐敗の渦に巻き込んでいく。 前作『東京輪曲』に続く昭和史物だが、本作の根底には日本社会への怒りがある。まったく同意だ。なにオリンピックなんて浮かれてんだよ。それにたかってるだけじゃねえか。
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オリンピックの記録映画に係わった映画好きのヤクザの話。実在の人物を交え、話は進んで行きますが、結果は苦いものに。オリンピックを控えたこの時期の出版であることに、作者の意図を感じる。作品としては東京輪舞の方が良かったかな?
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時は戦後、東京五輪開催前夜。戦災孤児、映画好きのやくざ稀郎は、オリンピック記録映画監督の人選をきっかけに興行界でのし上がろうとするが…。任侠団体、右翼、同和団体、宗教団体、大物政治家等の間を巧みに動き企ては成功するかに見えたが…。外れなしの作者さんのはずが本作品はただの失敗やくざ...
時は戦後、東京五輪開催前夜。戦災孤児、映画好きのやくざ稀郎は、オリンピック記録映画監督の人選をきっかけに興行界でのし上がろうとするが…。任侠団体、右翼、同和団体、宗教団体、大物政治家等の間を巧みに動き企ては成功するかに見えたが…。外れなしの作者さんのはずが本作品はただの失敗やくざ小説だった…
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実在の人物がたくさん登場するので臨場感がある。東京オリンピックの裏にこんな利権争いがあったんだな・・。今、「いだてん」見てるので悲しい気持ちになる。
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過去の東京五輪の記録映画を巡って繰り広げられる謀略を描いたクライムサスペンス。現代でも東京五輪で浮かれているけれど。当時も浮かれている裏側でこんなことが起こっていたのだと思うと……なんだか暗澹とした気分になってしまいます。実在の人物も多く登場するので、さあこれはどのあたりまでがフ...
過去の東京五輪の記録映画を巡って繰り広げられる謀略を描いたクライムサスペンス。現代でも東京五輪で浮かれているけれど。当時も浮かれている裏側でこんなことが起こっていたのだと思うと……なんだか暗澹とした気分になってしまいます。実在の人物も多く登場するので、さあこれはどのあたりまでがフィクションなのでしょう。 とにかく、スポーツマンシップのかけらもない利権争いの数々にはうんざり。ものすごーく皮肉な感じはします。でもこういうのはどこでもありそうな気がするなあ。
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翌年に東京オリンピックを迎える1963年。映画好きなヤクザ人見稀郎は親分よりあることを頼まれる。オリンピック映画を監督することになっていた黒澤明は降板し、その後釜として錦田という中堅の監督にさせようと。人見は映画興行界を一人爆進する。多方面より横やりが入る、利権が絡み合い、監督は...
翌年に東京オリンピックを迎える1963年。映画好きなヤクザ人見稀郎は親分よりあることを頼まれる。オリンピック映画を監督することになっていた黒澤明は降板し、その後釜として錦田という中堅の監督にさせようと。人見は映画興行界を一人爆進する。多方面より横やりが入る、利権が絡み合い、監督は誰の手に。 戦後の復興、昭和を舞台に、実在の人物も絡めていますね、それが真実味を帯びさせているし、オリンピックの影ドロドロ、目が離せませんでした。人見の映画愛、一人突き進む姿、ハードボイルドでなかなかヤクザっぽくないね。楽しめました。時代なのかなあ。私はその時は知らないけれど、そういう時代なんだと物語の世界だけれど想像しつつ味わえました。オリンピックには、悪が潜んでるんだって、今回はどうなんだろうね、
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月村了衛 著「悪の五輪」、2019.5発行。昭和39年でしたか、東京オリンピックの撮影に関して、ヤクザが、実業家が、政治家が、どのように絡んでいたかを描いた作品です。月村了衛さんのノンフィクション的小説、私には合わないみたいです!
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途中までは星5つだったけど… わかっちゃいても結末の転落は辛いわな、この話じゃ捲土重来もありないし。 しかし、「公案研究会」ってのは、どうなのよ。 立正佼成会と字数を合わせて、かつ、「公」の字を入れ込んだんだろうけど、現世利益とは程遠い禅宗にするのが、皮肉なのか逃げなのかよく判...
途中までは星5つだったけど… わかっちゃいても結末の転落は辛いわな、この話じゃ捲土重来もありないし。 しかし、「公案研究会」ってのは、どうなのよ。 立正佼成会と字数を合わせて、かつ、「公」の字を入れ込んだんだろうけど、現世利益とは程遠い禅宗にするのが、皮肉なのか逃げなのかよく判らないところですな。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「東京輪舞」と重なる時代を舞台としているが、輪舞が主人公が公安警察だったのに対して、今回は暴力団関係なせいか、はたまた当方が映画にまったく疎いせいかいまいち乗り切れなかったかな。 でも史実を踏まえて、実名もバンバン出して裏側を描くこの形は好みなので、これからも期待します。
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