未和NHK記者はなぜ過労死したのか の商品レビュー
NHKに勤務していた女性記者が過労死していたことを思い出し、本書を手に取る。 うろ覚えだった内容が、本書により次々と明らかになった。 「なぜ4年間も公表されなかったのか」 「NHK」という巨大組織の隠蔽体質の一端を知る。 この事案に対するNHKの消極的な姿勢、そして、この本に...
NHKに勤務していた女性記者が過労死していたことを思い出し、本書を手に取る。 うろ覚えだった内容が、本書により次々と明らかになった。 「なぜ4年間も公表されなかったのか」 「NHK」という巨大組織の隠蔽体質の一端を知る。 この事案に対するNHKの消極的な姿勢、そして、この本に対しても協力しない。協力どころか、取材に対し、「申し入れ」を行うのだ。 副題の「なぜ過労死したのか」という問いに対する答えは、非常に重い。 同時期、電通に勤めていた女性社員の痛ましい事件があった。 NHKも働き方改革と関連させて、大々的に報じていた。 しかし、である、自社職員の過労死、労災認定については、「ニュースォッチ9」で「二分一六秒」しか報道していない。 自分もこの時の「ニュースウォッチ9」は見ていた。内容は実にあっさりしたもので、特にコメントもなかった。 以後、それっきりである。 電通の事件は報じ続けるのに、である。 筆者の丁寧な取材によっり、佐戸未和という女性の人柄、記者としての優れた才能を窺える。 多くの事件(有名な事件も多く含まれる)に関わり、時には関係者に寄り添う姿も。 この取材姿勢、一人の記者としてでなく、人間として関わろうとした姿に感銘を受けた。 ただ、激務となった選挙報道(正確な当落予測、他局よりも先んじて正確な当確予測を出す)。それが原因の一つとなったことを考えると、あまりに切ない。 NHKの公表から約2年。 当時から、この案件については、幹部職員を始め、誰も処分を受けていない。まさに不可解だ。 そして、この本を読み終え、似たような事案はないのか、民放各局や新聞社でも似たような事案がないのか、不安になる。 “『働き方改革』のかけ声の下、ほら、同じ風景がみえないか。”(金平茂紀)
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