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マチネの終わりに の商品レビュー

4.1

658件のお客様レビュー

  1. 5つ

    253

  2. 4つ

    204

  3. 3つ

    127

  4. 2つ

    28

  5. 1つ

    9

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2019/07/26

今日から読み始める。 でも、映画化されるとのことで、有名な俳優さんの写真が配された帯がまかれていて 私の頭の中では、登場人物がその人の顔になってしまった。。 文章から想像して、自分なりに人物を創造していく楽しみが、奪われてしまった。とても悔しい気分だ。

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2019/07/26

平野啓一郎さんの本は初めて読みました。 『マチネの終わりに』はずっと読みたいと思っていた本ですが… なんとか読み切りました。 ちょっとしんどかった…

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2019/07/22

四十歳に差し掛かっている大人な男女の恋愛小説です。 蒔野は、クラシックギタリストです。天才と言われてきましたが、自分の演奏に未来がないと感じたり、新しい才能の出現を見て、次の時代への影響力の欠如を感じて寂寥を湛えたりしている時期でした。 そして洋子は、国際ジャーナリストです。...

四十歳に差し掛かっている大人な男女の恋愛小説です。 蒔野は、クラシックギタリストです。天才と言われてきましたが、自分の演奏に未来がないと感じたり、新しい才能の出現を見て、次の時代への影響力の欠如を感じて寂寥を湛えたりしている時期でした。 そして洋子は、国際ジャーナリストです。内戦の起こっているイラクへ取材に行き、自爆テロに巻き込まれそうになりますが、わずかな差で助かります。その出来事から、PTSDになってしまいます。 そんな蒔野と洋子は、初めて会ったときからお互い惹かれ合います。当時、洋子には婚約者がいましたが、蒔野のため別れを決意します。 愛し合っている二人の恋愛は順調に進むかと思いきや、蒔野のマネージャー三谷が送ってしまったメール(p240)から、二人の運命は思わぬ方向に進んでいきます。ここからは、物語の続きが気になって、一気に読みたくなってしまうはずです。切なくて苦しくて、二人が幸せになってほしいと願わずにはいられません。 若い頃の恋愛とは違うけれど、二人はたった三度しか会っていなくても、本当に愛し合っていました。

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2019/07/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

初めて読む作家。男女との繋がりがテーマであるから恋愛小説というカテゴリーになるのだろうけれど、人の生き方、関わりの物語だと思う。読み始めた際は、これは最後まで読めないかなと思った、ありきたりの恋愛小説かなと。ただ作者の洋子と聡史、ソリッチらの心理描写の細かさ、丁寧さは次第に引き込まれていく。後半は、バッハを聴きながら読んだ。 「自由意志というのは、未来に対してなくてはならない希望だ。自分には何かができるはずだと、人間は信じる必要がある」。だから過去は悔恨となる。そう意味で確かに、未来を変えるという事は、過去を変えるという事なのだなと思った。 後悔のない人生はないと思う、人生において後悔なしというのは自分は嘘だと思う。どこまで行っても自己満足なのかもしれないが、人の将来の生き方によって過去を変えられるのであれば、希望を信じるべきなのだろう。

Posted byブクログ

2019/07/20

未来は常に過去を変えている という言葉がとても響いた。 こんなすれ違い、どうしてあの時、もしあの時、そんなことを思わずにはいられないことはきっと誰しもある。 そんな時を経て再会した2人の未来が素敵なものであってほしいと願う最後だった。 いろんな感情があるんだけど、そこから一...

未来は常に過去を変えている という言葉がとても響いた。 こんなすれ違い、どうしてあの時、もしあの時、そんなことを思わずにはいられないことはきっと誰しもある。 そんな時を経て再会した2人の未来が素敵なものであってほしいと願う最後だった。 いろんな感情があるんだけど、そこから一歩引いて見たような書き方が美しさを際立たせているなぁ、と感じた 2019.7.20 109

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2019/07/18

内容はさておき、前評判通り文体は好みだった。数年後に読み返した時には別の感触になりそう、長く付き合いたい作品。

Posted byブクログ

2019/07/17

とても切なくて、でもすごくロマンチックなお話でした。 主人公のふたりが魅力的で、だからこそすれ違う場面が寂しくなりました。 幸せになって欲しいなあと思いながら最後まで読みました。

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2019/07/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

美しい。言葉が美しい。シーンが美しい。人物が美しい。物語が美しい。さすが平野啓一郎。 珠玉の言葉の数々に出会うと、もっとゆっくり噛み締め味わいたいという思いと、先が気になって早く読みたいという思いに引き裂かれながらの読書だった。 「『展開を通じて、そうか、あの主題にはこんなポテンシャルがあったのかと気がつく。そうすると、もうそのテーマは、最初と同じようには聞こえない。花の姿を知らないまま眺めた蕾は、知ってからは、振り返った記憶の中で、もう同じ蕾じゃない。音楽は、未来に向かって一直線に前進するだけじゃなくて、絶えずこんなふうに、過去に向かっても広がっていく。』」p.33 「『人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えてるんです。変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。過去は、それくらい繊細で、感じやすいものじゃないですか?』」p.33 「幸福とは、日々経験されるこの世界の表面に、それについて語るべき相手の顔が、くっきりと示されることだった。」p.181 「この世界は、自分で直接体験するよりも、一旦彼に経験され、彼の言葉を通じて齎(もたら)された方が、一層精彩を放つように感じられた。」p.252 「『自由意志というのは、未来に対してはなくてはならない希望だ。自分には、何かが出来るはずだと、人間は信じる必要がある。そうだね? しかし洋子、だからこそ、過去に対しては悔恨となる。何か出来たはずではなかったか、と。運命論の方が、慰めになることもある。』(略) 『そうね。……よくわかる、その話は。現在はだから、過去と未来との矛盾そのものね。』と頷いた。」p.426 「『誰も行動しなければ、この世界が動かないのは事実だけど、お父さんが言うみたいに、人間が自分で考えて行動しなくても良いようにこの世界はどんどん自動化されていっているから。車の運転が完全に自動化されれば、乗っている人間のすることは、みんな"余計なこと"になるでしょうね。或いは、織り込み済みのエラーか。(略)でも、すべてはコミュニケーションそのものが自己目的化されたシステムの中で起きる、予想可能な些細なトラブルに過ぎなくて、そこで人の心が傷つこうと、誰かと誰かとの関係が絶たれてしまおうと、システムそのものの存続までには影響を及ぼさない。幸福や不幸を、誰のお陰で誰のせいだって考えようとしても、途方に暮れるところがあるわね。自分自身も含めて。……』」p.428-429 「蒔野は、生まれてきた子供のか弱い健康に強く心を打たれた。 自分たちが世話をしなければ、生存することさえままならないというその頼りなさと、やがてはその生存を自らのものとすることとなる肉体の精緻なシステムとが、彼の内側に、新鮮な興奮を喚起した。」p.435 「優希(ゆき)と名づけられたその子供は、蒔野の生活を数々の新しい音で満たした。 泣き声はもちろん、寝息や微かな発声、ちょっとした衣擦れやベッドのきしみ、子守歌のCD、鳴り物のオモチャ、そして、母親としての早苗のやさしい声、……そうしたすべてが、彼が日常の中で知る初めての音であり、例えば今、自宅でジョン・ケージの《四分三十三秒》を演奏するならば、その楽器編成は一年前とはまるで違ったものとなっていた。」p.435

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2019/07/14

素晴らしい文章力で、冒頭から惹きつけられた。これまでとは違った読書の醍醐味を感じながら読み通した。四十歳になった男女の恋愛小説だが、世界が舞台で、歴史的な背景や、音楽の趣味嗜好について幅広い教養にも満ちている。特に、音楽の文章表現について感嘆する場面が多かった。「過去は変えられる...

素晴らしい文章力で、冒頭から惹きつけられた。これまでとは違った読書の醍醐味を感じながら読み通した。四十歳になった男女の恋愛小説だが、世界が舞台で、歴史的な背景や、音楽の趣味嗜好について幅広い教養にも満ちている。特に、音楽の文章表現について感嘆する場面が多かった。「過去は変えられる」ことについても深い洞察で、最後の余韻もいい。

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2019/07/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

とにかく作品が重厚。 それでありながら、ストーリーや会話、地の文に至るまで、随所にチャームや作者ならではの新しい視点があって、飽きさせない。 重厚であるがゆえに、作品に横たわっているテーマをひと言に表すのは困難だが、あえてその難題に取り組んでみたなら、それは、過去は変えられる、ということだろうか。 作品を通して様々な関係性が語られていくが、そのすべてが、現在や未来の出来事を通して、過去を巻き込んで新しくなっていく。 そして、終章、マチネの終わりに。 マチネという終わりを表すことばの、さらに終わり。終わりの終わり。 その終わりの際にたったときに、ふたりは何かを変えられただろうか。 40歳前後という年齢設定も、過去と現在と未来、そのすべてに対して等しく平等な、それ故に不安定な心理を表現する上で、作品としてのメタファーか、人間の人生における必然か、いずれにせよ非常に効果的なものとなっているような気がしてくる。 先ほどの問い。 ふたりは何かを変えられたのか。 きっと、間違いなく何かが変わった。 それが良いのか悪いのかは、わからないけれど。 そして、これからも変わっていくだろう。 マチネの終わりに、その際であっても、変わらず世界は変わっていく。変えられる。 そのメッセージは、この作品の中に流れる、どこか神秘的な救いめいたものに包まれながら、優しく今を生きる読者の心に勇気を与えてくれるのではないだろうか。

Posted byブクログ