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セレモニー の商品レビュー

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2024/04/04

フォーウェイの締め出し。中国におけるBATH(Baidu、Alibaba、Tencent、Huawei)4社への警戒感が何故必要か本小説を読めば良くわかる。ポリティカル・フィクションでもあり、サイエンス・フィクションでもある。 テクノロジーと独裁者は相性が良い。いや、独裁者はテ...

フォーウェイの締め出し。中国におけるBATH(Baidu、Alibaba、Tencent、Huawei)4社への警戒感が何故必要か本小説を読めば良くわかる。ポリティカル・フィクションでもあり、サイエンス・フィクションでもある。 テクノロジーと独裁者は相性が良い。いや、独裁者はテクノロジーを使いこなせなければならない、正確には存在を知悉しつおく必要がある。それはプロパガンダや扇動ラジオ放送のような類もそうだし、インターネットの規制、盗聴やサイバーに限らず兵器類もそうだ。本書で主に取り上げられるテクノロジーは、GPS。そう、どこに居ても足跡が辿られ、何をしているかさえ見抜かれてしまう。 ここで描かれた世界は実際に起こり得るだろうか。独裁国家では、実現してもおかしくない世界観だ。人を監視し、監視した相手を操作する社会。まるで人間たちがゲームのキャラクターのように、生殺与奪も自由自在。どんな展開かは記載しないが、そのスリリングな攻防、逃亡と、中国だからこそかのリアリティ、臨場感がたまらない。性描写も過激で、攻めた小説、面白いエンタメでもあった。

Posted byブクログ

2022/10/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

共産党の建党記念行事と北京万博というふたつの式典を控える中国。ある下級役人が出世を狙って、インフルエンザの突然変異によるパンデミックの危険性を訴える陳情を国家主席に送った。官僚の粛清に利用できると考えた主席は、大々的な防疫運動を実施する。しかしWHOの調査の結果、ウイルスの変異は認められなかったことがわかった。 運動を主導した国家安全委員会の蘇主任は、責任を取らされることを悟り、腹心の部下たちとともに主席の暗殺をして権力の掌握を目論む。しかし、政治局常務委員のメンバーによって阻まれてしまう。もたもたしていると、真相が暴かれてしまいかねない。追い詰められた蘇主任は建党記念行事で、三年後に民主化することを宣言するのだった。 これをきっかけに中国全土が大混乱に陥った。地方自治を口実に、各勢力が力を拡大しようとしはじめる。首相暗殺に協力させられた李博は逃亡先で捕まってしまい、家族に被害が及ばないように、ドリーム・ジェネレーターを使って自らの記憶を消してしまうのだった。 2017年に書かれた小説だが、ITによる監視網、パンデミックとその防疫を口実にした規制や政治闘争など、現在の状況ともリンクするのは、よくシミュレーションされたからだろう。役人たちは権力闘争と自己保身に汲々とするばかりで、誠実な人間がほとんど出てこないのは滑稽ですらあるが、本国で暮らす人たちからすると笑うどころではないのかも。 靴にナノマシンを埋め込み人間の行動を監視するIoS、性欲を刺激したり記憶を消すことができるドリーム・ジェネレーターなどが登場する。

Posted byブクログ

2022/04/15

中国共産党主席の暗殺が成功してしまった後、関係者がどう動くのか、手に汗握る展開と、救いのない結末 面白い。

Posted byブクログ

2022/04/03

独裁国家がITを駆使した管理により永続し得ることが実感としてわかった。プーチンがIT音痴であって不幸中の幸い。 登場人物の行動原理がすべからく利己主義であることは、「やはりそうなんだ」と思わされた(中国人はたいへん資本主義的と言われてます)。 「電子の蜂」は『ルパンの娘』のて...

独裁国家がITを駆使した管理により永続し得ることが実感としてわかった。プーチンがIT音痴であって不幸中の幸い。 登場人物の行動原理がすべからく利己主義であることは、「やはりそうなんだ」と思わされた(中国人はたいへん資本主義的と言われてます)。 「電子の蜂」は『ルパンの娘』のてんとう虫△号を思い出させて笑えましたし、「ドリーム・ジェネレーター」は是非とも使わせていただきたいと思いました(笑)。エンタメとしても良くできた作品だと思います。

Posted byブクログ

2021/06/25

SF小説としては、前半が面白い。靴のインターネット、ドリームジェネレーター、電子の蜂、ガジェット満載で、使い方も最高! 後半は中国特有?の権力闘争で、面白くもあり前半に比べてつまらなくもあり。 作者あとがきで、テクノロジーによる独裁は内部からの破局が不可避であることを描きたかった...

SF小説としては、前半が面白い。靴のインターネット、ドリームジェネレーター、電子の蜂、ガジェット満載で、使い方も最高! 後半は中国特有?の権力闘争で、面白くもあり前半に比べてつまらなくもあり。 作者あとがきで、テクノロジーによる独裁は内部からの破局が不可避であることを描きたかったとあり、作者が目指すのはテクノロジーによる民主主義であることが記されている。少数の人間が多数の人間を支配することが可能になるテクノロジー(監視技術)は独裁を産むが、このような独裁は本小説が例示するように壊れやすく、破綻しても後に続くものは本書後半部の様に新しい革袋に古い酒を注ぐことになるだけ。小説としては救いようがない結末だが、これを避けるためにも多数の人間がテクノロジーで少数の行政執行者を監視・管理できる仕組みが必要であるとの主張には同意できる。そのような明るい未来のSFが読みたいものである。

Posted byブクログ

2020/09/06

ちょっと空想的なストーリーではある。が、何らかの問題が発生した時に、トップの何人かに責任を取らせて共産党の解散を宣言する、というクーデターはありえるかも、と思わせる。

Posted byブクログ

2020/07/25

最後まで心が明るくならない小説。事実ではないところも多いものの、伝えられる今の中国を思い浮かべながら読むと、さもありなんとも思える。テクノロジーで他国を凌駕しつつある中国の怖さが十二分に描かれている。あとがきで作者は、テクノロジーによる独裁は外部からの崩壊は不可能であり内部から崩...

最後まで心が明るくならない小説。事実ではないところも多いものの、伝えられる今の中国を思い浮かべながら読むと、さもありなんとも思える。テクノロジーで他国を凌駕しつつある中国の怖さが十二分に描かれている。あとがきで作者は、テクノロジーによる独裁は外部からの崩壊は不可能であり内部から崩壊したとしても実質は変わらないが、それに対抗するには民主主義を求める側もテクノロジーを駆使すべきだという。独裁はテクノロジーによって少数で多数を支配するが、民主主義が多数によって少数を支配できないことがどうしてあろうかと。そうであることを祈るばかり。 こんな小説がよく出版できたなと思ったら、やはり中国本土では無理で国外での出版を検討した結果、日本語への翻訳が実現したらしい。作者が紹介している『黄禍』も読みたくなってきた。

Posted byブクログ