ひとの気持ちが聴こえたら の商品レビュー
アスペルガーの著者が、治療のため先進的脳科学治療を受けた体験を書いたもの。 それまでわからなかった人の気持ちや感情がわかるようになる。 それで良かったこともある反面、妻の鬱々した気持ちが伝わってきたり、過去にされた自分への悪口の意味に気づいたり、辛い面もあった。 治療で生きづらい...
アスペルガーの著者が、治療のため先進的脳科学治療を受けた体験を書いたもの。 それまでわからなかった人の気持ちや感情がわかるようになる。 それで良かったこともある反面、妻の鬱々した気持ちが伝わってきたり、過去にされた自分への悪口の意味に気づいたり、辛い面もあった。 治療で生きづらい人生が変わると思っていたが、 感情や気持ちを手に入れていわゆる普通の人になれたところで、普通の人も実は生きづらい環境であったことに気づく。 当たり前なんだけど、どちらがいいとか、どちらが悪いとか生きづらさの問題は、そういうことじゃないんだと感じた。
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軽度のスペクトラム障害を持ちながら、音楽エンジニア、自動車修理工場経営などで、成功してきた著者が、中年になって、脳の一定の箇所に電圧をかけるというTMS療法の実験台となり、他人の感情を理解する能力を得ることができ、その療法の効果は短期間で消えたものの、その後もひとの感情を気にかけ...
軽度のスペクトラム障害を持ちながら、音楽エンジニア、自動車修理工場経営などで、成功してきた著者が、中年になって、脳の一定の箇所に電圧をかけるというTMS療法の実験台となり、他人の感情を理解する能力を得ることができ、その療法の効果は短期間で消えたものの、その後もひとの感情を気にかけるという能力が残ったことにより、その後の人生が豊かになったという実録。 もっとも、同時期に同じ療法を受けた彼の息子は、TMSの効果が消えたあと、特段のプラスはなかったようなので、うまくいったのは、特殊事例なのかもしれない。 なぜ、アメリカの本は、この程度の内容なのにこんなにページ数が多いのか、不思議だ。
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作中にも出てくるが「アルジャーノンに花束を」思い出した。 アスペルガーであることのメリットには考えさせられる。 認知神経科学への興味がわく。
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非常に面白かったし、興味深かった。 現在、知っているADSDやASDについての知識が、いかに表面的なもので、中途半端なものか、わかったし、未知の領域なのだ。
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字数が多く、読むのにとてつもなく時間がかかった。 リアル版アルジャーノンに花束をという感じ。 自閉症について勉強になった。 文章が論理的で難しい話もいっぱい出てきて読むのが大変だったけど人生の悩みやら色々書かれていて心動かされるものがあった。
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注意して読んだのは、TMSを施されたあとのジョンを含む被験者の変化がどのように現れ、それらが彼らの言葉でどう表現されるかということ。 この表現に使われる言葉が抽象的であればあるほど私の想像はクリアになっていく様に感じたし、それを脳科学的に解析するアルバロをはじめとする医師たちの...
注意して読んだのは、TMSを施されたあとのジョンを含む被験者の変化がどのように現れ、それらが彼らの言葉でどう表現されるかということ。 この表現に使われる言葉が抽象的であればあるほど私の想像はクリアになっていく様に感じたし、それを脳科学的に解析するアルバロをはじめとする医師たちの言葉はその想像を実際に脳の構造を描きその機能を理論だててくれた。 既に観た映画『アルジャーノンに花束を』は本書を映画化したものと思って読み始めたがそれは違った(よくある原作と映画化の相違みたいなものかもしれない) どちらも良い作品であるだと思うが。 やはりこの本の優れているのは何と言っても、日本語訳。ジョンのTMSの受け入れ揺れに動く切ない心情や、アスペルガーとしてもって生まれた過敏な感覚が更に研ぎ澄まされていく様子がジョン自らが語る言葉の繊細さで見事に伝えてくれているところにある。 TMSを受けた自分を想像して、自己の感覚の拡張世界に入り込んでみたり、逆にアスペルガーになった自分が、失うことになった感覚で生きる世界に入り込んでみたりしながら読んでいる自分がいた。現実にいながら、隔絶したカプセルの中の時空を味わった。映画でなく本でこんなトランス状態になれたのは久しぶりだ。 素晴らしい時間をくれた 本。
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「普通の人」の定義ってなんだろう。 そう考えさせられるお話。 病気は治すことが良いとされていて先天的な精神障害もその例外ではない。しかし、筆者の体験からは必ずしもそうではないと思い知らされた。 もっとも、筆者は病気という認識はなくひとつの個性として受け入れてきた時間が長いことが功...
「普通の人」の定義ってなんだろう。 そう考えさせられるお話。 病気は治すことが良いとされていて先天的な精神障害もその例外ではない。しかし、筆者の体験からは必ずしもそうではないと思い知らされた。 もっとも、筆者は病気という認識はなくひとつの個性として受け入れてきた時間が長いことが功を奏していたのだろうけども、自閉症と診断された子供はかつての筆者のように学校や親からはそれは悪いもので治さなければいけないものとして認識しなければいけなくなる。 病気として定義づけることはマイナスの要素を孕んでいて、治療することはその人の個性を奪う可能性もあることを周りの人間は知っておかなければならない。 試しにこの治療をやってみました、「普通の人」みたいに人の心が分かるようになりました、ハッピーエンドです、で終わらないのはノンフィクションの良いところ。 様々なことを考えさせられるこの作品は多くの人に読んでもらいたい。
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自閉症者が求める「他者との共感面」を改善できる期待をもってTMS臨床実験に挑んだ被験者の記録として、とても興味深かった。著者がとても前向きで治療を絶賛する面が、かえってASD特有の思い込みのようで効果には懐疑的に感じる面も感じた。文章が上手くてとても読みやすかった。
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電子工学に強い自動車修理工場を営むアスペルガー症候群の患者が、経頭蓋磁気刺激(TMS)による治療に興味を示し、自ら協力者となることを承諾。実験に参加したところ、思わぬ効果があったという実話に基づく話。
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※このレビューにはネタバレを含みます
「アルジャーノンに花束を」で行われたことと 似たような実験が現在では行われており、 経頭蓋磁気刺激(TMS)治療により、 自閉症と診断された著者が大学で行われている 実験に参加し、自分自身に起こった変化が 詳細に綴られている。 「電磁石を介してパルスを送って、人の脳に ごく少量のエネルギーを注ぐ」(P28)によって 「脳内の神経ネットワークに電磁エネルギーを くわえると、ネットワークが新たな回路を作り、 強化したい回路を強固にします。」(P29)という。 治療を受けて著者は人の心が理解できるように なったりするが、それは今までうまく行っていた 人間関係が悪くなったり、世の中の悪いニュースを 知って不快な思いをするという、マイナス面も 出てきたりする。 この治療法は自閉症に対してはいまだ研究中である。 永続的な変化があった人がいるかどうかを著者が 研究者に尋ねたところ、「TMSの影響と脳本来の 可塑的変化のプロセスを、それ以上区別できなく なってしまいます。」(P252)という回答だった。
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