落陽 の商品レビュー
うだつのあがらない東都タイムス記者の瀬尾亮一から始まる明治天皇崩御から明治神宮建設の時代を描く。 なかなか中盤あたりまでは、非常に読み進めづらく何度も読むのをやめようかと思ったが、読後は心に残る一冊になった。 瀬尾亮一が、明治神宮建立に直接関わったわけではない。が、中盤から徐...
うだつのあがらない東都タイムス記者の瀬尾亮一から始まる明治天皇崩御から明治神宮建設の時代を描く。 なかなか中盤あたりまでは、非常に読み進めづらく何度も読むのをやめようかと思ったが、読後は心に残る一冊になった。 瀬尾亮一が、明治神宮建立に直接関わったわけではない。が、中盤から徐々に湾曲的に明治天皇の生き様、また関わってきた国民の気持ちの移り変わりの さりげない描写が明治天皇のための人工林造営と重なりふわっとした優しい輪郭で“その時代”が描写されてあった。 人工林がゆっくりと150年後、自然林となるように明治天皇の存在も作中では、序盤から中盤、終盤に至るなかで自然に存在感を増していった。 これまで明治神宮とは、単に“名所”としての認識だったが、全国から献木が集まってきたあたりから静かに感動した。 読後は、とにかく『明治神宮に行きたい!』これに尽きる。 また読み終わってから、冒頭の明治天皇が東幸する冒頭シーンを読み返すとさらに感動する!
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2020/7/3 おちゃらけられない話なので仕方ないけど、真面目に淡々と進行してるから睡魔に襲われ進まなかった。 それでも最後は感動的に終わるし、神宮の森見てみたいなぁとか京都のお墓、伏見桃山陵も行ってみようかなと思った。 日本の神社、美しいよねぇ
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明治という時代を生きた人々の気持ちを想像しながら読める作品でした。 読み終えてから、冒頭部分を読み返しました。 もう一度読みたいと思う作品。
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明治天皇の崩御から明治神宮の設営、特にその森を形成する工夫などを興味深く読んだ。しかし浅井まかてさんにしては軽妙さにかけじんわりと湧き上がる思いも少ないのは、現在にあまりに近い題材だからか。落陽は明治という紀元で時代を分けようとする日本の「落陽」を暗示している。
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今まで読んだことがない種類の歴史小説だった。明治が終わり、大正の時代に生きる若者が明治という時代を考える作品。 一番の感想は作者はこの時代に生きてきたのではないかと感じさせるほどのリアル感があったこと。銀座や新橋あたりは近代化の中心で華やかに、そして人々は洋装に身を包み、麦酒...
今まで読んだことがない種類の歴史小説だった。明治が終わり、大正の時代に生きる若者が明治という時代を考える作品。 一番の感想は作者はこの時代に生きてきたのではないかと感じさせるほどのリアル感があったこと。銀座や新橋あたりは近代化の中心で華やかに、そして人々は洋装に身を包み、麦酒を飲み、政治を語る。一方で本作の中心にある明治神宮(神宮林)のある原宿、代々木は未だ荒野であるし、木場など下町が残るところは未だに和装の庶民が住んでいる。このコントラストが急進する近代日本を色濃く映し出し、作品自体に色合いを与えていると思う。 そして、本題は明治神宮に祀る明治天皇とはどんな人物だったのか、ということ。瀬尾が言う通り、明治天皇は御一新以前の日本の伝統・心を引き継ぎながらも外面は西欧列強と比肩する近代国家としての立ち振る舞いをせざるを得ない、そんな苦悩の人生だったのだと思う。これまであまり語られず、考えたことのない明治天皇という存在への言及がとても新しく感じられた。 明治神宮は150年をかけて完成させていく一大事業、挑戦であるという。この令和という時代に想いを馳せるにはぴったしの小説であると思う。東京に住みながら明治神宮に参詣したことがない私はまずは一歩踏み入れたいと思う。
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大正に年号が変わった頃、決して勝ち組とは言えない人の眼から明治を振り返る物語。 背景に描かれるのは、明治神宮の森の造林ばなし。自分の命が尽きてなお完成しない事業に携わる姿が、心に残りました。
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去年、NHKの明治神宮の森という番組や 昆虫写真家の佐藤岳彦氏の 写真展 「 明治神宮の森 」を見に行って、明治神宮の森の豊かさに驚いた。そこには何千、何百種もの昆虫や粘菌、きのこが存在していて、観て観たいと思った。しかも、原生林ではなく、全て人工林でできていると知って、この森...
去年、NHKの明治神宮の森という番組や 昆虫写真家の佐藤岳彦氏の 写真展 「 明治神宮の森 」を見に行って、明治神宮の森の豊かさに驚いた。そこには何千、何百種もの昆虫や粘菌、きのこが存在していて、観て観たいと思った。しかも、原生林ではなく、全て人工林でできていると知って、この森の成り立ちにすごく興味を持った。明治神宮の森の成り立ちや、歴史をもっと知りたいと思っていた時に、平成から令和へ時代が移り変わり、そういえば明治天皇や大正天皇の時の代替わりはどんなだったか知らない、当然生まれていないからだけど、いろんなことが知りたくなってたときにこの本 落陽 に出会った。 明治天皇の人となりをうかがい知ることがなかったが、読んでみてほんの少しでもどういう天皇だったか、触れてみると、だから、日本の皇室が今ここにまで発展し慕われているんだなという思いになった。明治神宮の森がなぜあんなにも豊かな森なのか、見えない力が存在する感じがするのは、明治時代とゆかりがあるからだ。 明治維新の頃の激動や、大正、昭和へと激動の時代を経て今日の新しい時代を迎えた時、天皇という国の象徴がどれだけ偉大で崇高であること、いい国だと思った。 さすが、朝井まかてさんだなと思った。
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明治天皇の崩御にともなって、明治神宮が出来る。 神聖な人口の森(杜)を作る為の、ストーリーが楽しめる。 日本という国が、江戸という共和国からから脱却して一つの国になった。 その初代元首の苦悩と人となりが軸となり、本書が進んでいくのが良く分かる。 自分自身、どんな元首になるべき...
明治天皇の崩御にともなって、明治神宮が出来る。 神聖な人口の森(杜)を作る為の、ストーリーが楽しめる。 日本という国が、江戸という共和国からから脱却して一つの国になった。 その初代元首の苦悩と人となりが軸となり、本書が進んでいくのが良く分かる。 自分自身、どんな元首になるべきなのかに一人で悩み、考え、口を出さず、態度と詞華でもって政治に接し、明るかった人となりが、日露戦争を境に寡黙になっていく。 自身のことを二の次にして、国務に精励する。 日本をひとつにし、世界と対等になる為に駆け抜けたのが明治時代。 伝統と風習を守りつつ、欧州の近代国家を目指すという、ジェットコースターな統治。 模倣する国もなく、誰にも教えてもらえない舵取りと、戦争という心痛ましい政治外交にも対処していかないといけない。 「国のため たふれし人を惜むにも 思ふはおやの こころなりけり」 詠み人~明治天皇 落陽 (明治の終焉、日が沈む) 落葉 (明治神宮の杜、落葉樹) 洛陽 (都の異称、つまり京都) すべて本作品の明治天皇に対する隠語になっている。 門井慶喜氏の言葉で、すっきりした読後感でした!
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今読むべき、と言う帯の言葉通り 時代を天皇という存在から描く 明治から大正への移りかわりだが、現在にも十分通じる。 天皇という存在をもう一度 いろいろな角度から考えてみたいと思う
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