おなかがすいたらおともだち の商品レビュー
こういう、ズドンッ、と全力でボディをぶん殴ってきてくれる漫画に、いきなり、出会えるから、漫画読みは止められないのですよ 面白そうだ、と書店で直感したからこそ、購入して読んだんですが、予想以上の大当たりでした、この『おなかがすいたらおともだち』 作品の内容に掛けている訳じゃないん...
こういう、ズドンッ、と全力でボディをぶん殴ってきてくれる漫画に、いきなり、出会えるから、漫画読みは止められないのですよ 面白そうだ、と書店で直感したからこそ、購入して読んだんですが、予想以上の大当たりでした、この『おなかがすいたらおともだち』 作品の内容に掛けている訳じゃないんですが、おぐり先生の中には、間違いなく、怪物がいますね 他の漫画家の中にもいる、多くの戦いを経て、成長し、凶暴性を増している同種の怪物と比べれば、まだまだ、幼いです けれど、デカくなれたら、間違いなく、危険だ、と直感できるだけの潜在能力が、絶対にあります 私自身も、漫画読みとしても、感想書きとしても、未熟ですけれど、このおぐりイコって漫画家は、要注目の存在、と断言できます 仮に、他の漫画読みから、どんな内容でも構わないから、君が「良い」と思う物をお勧めしてくれ、と言って貰えたら、今の私は、間違いなく、これを推薦するでしょう ジャンルで言えば、ホラーに属するのは確かです ただ、どこか不思議な温かさが、ストーリーの中にあるのも事実です メインテーマは、友情だ、と私は思いました おぐり先生が、「友達の定義」、何をしたら友達なのか、を自分の頭と心で考え、この『おなかがすいたらおともだち』を、自分の全部を傾けて描いたのが、しっかりと伝わってきました ホラーやグロテスクな表現を用いたのは、自分が言いたい事を誤魔化さないために必要だったのでしょう 読み手に受けるのか、その葛藤はあったでしょう けれど、おぐり先生は、そのままに描いてくれたのかも知れませんね そうでなければ、私の心は、ここまで揺さぶられません 人でない存在が、人間を餌として喰らう描写が、かなり、過激なので、血や痛みが苦手な人は読めない、いえ、読まない方がイイでしょう お勧めはしたいですが、他の漫画読みの気分を悪くさせるのは、さすがに、私も気が咎めます なので、ある程度なら大丈夫って方は、ぜひ、読んでください ネタバレになってしまうかもしれませんが、ハッピーエンドは期待しないでください かなり強いほろ苦さが、口の中に残る終わり方です ベタな円満解決を求めている人は、やっぱり、このラストが受け入れられないかもしれません 私も、基本的には、ハッピーエンドで終わって欲しい、そういう作品が読みたいタイプです しかし、この終わらせ方だからこそ、『おなかがすいたらおともだち』の良さは成立しています このラストでなければ、私は、レビューを書く気にならなかったと思います 他の回が良い事は否定しませんが、やはり、私の中で、断トツにグッと来た、特に、おぐり先生の芯を感じられたのは、最終話「はじめてのともだち」 友達になってほしい人の為に起こした、この行為は、正しくはないけれど、間違ってはいない、と私は思ってしまいます 自己犠牲が人間らしさ、なんて言う気は微塵もないんですが、食欲や親に逆らわない、と言った、この手の生物が持つ、シンプルな本能を凌駕するほどの理性、月並みな表現をするならば、友情パワーで、自分の命を誰かの為に使った彼女は、おぞましい虫ではなくなったのかも知れません 彼女が最期の瞬間まで、幸せを感じていたのか、それは判りませんが、そうであったなら良いな、と甘っちょろい事を願ってしまいます ただ、身も蓋も無い言い方をすると、初めての友達、と思えた相手が、こんな姿で発見されたら、絶望しかないですよね 本当に、次回作が楽しみでしょうがありません この『おなかがすいたらおともだち』のようにビターな作品でしか、自分らしさが出せないなら強要は出来ないんですが、ただただ、カップルがイチャついて、周囲に幸せをお裾分けするような、甘い作品も読んでみたい、それも本音です もしくは、冷徹な心理戦が繰り広げられる、優しさや温かさなんて一欠けらもない、将棋やカードゲームなどのデスゲーム系も読んでみたいです この台詞を引用に選んだのは、特に、私の心に響いたからです このように、決意表明が出来るヒロインは、本当にカッコ良いですよね 自分は、こうしたい、と親に言う勇気を、この作品から貰えた、中高生の読み手が一人でもいたら、お勧めした身としては嬉しい限りです
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