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社会学史 の商品レビュー

4.4

28件のお客様レビュー

  1. 5つ

    14

  2. 4つ

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  4. 2つ

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2025/01/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

◆マックス・ヴェーバーは「エディプス・コンプレックス」だった!? 社会学をドラマチックに読み解くと(ダ・ヴィンチWeb 2019/3/20) https://ddnavi.com/article/d526184/

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2024/12/15

著者の論理というか、問題意識がはっきりしているおかげで、歴史上のそれぞれの思想が驚くほど生き生きと頭に入ってきた。 以下、終盤のルーマンとフーコーの説明についての僕なりの理解。 ある要素は、システムを前提に他の要素との関係性によって相対的に構成される。システムの複雑化に伴い複...

著者の論理というか、問題意識がはっきりしているおかげで、歴史上のそれぞれの思想が驚くほど生き生きと頭に入ってきた。 以下、終盤のルーマンとフーコーの説明についての僕なりの理解。 ある要素は、システムを前提に他の要素との関係性によって相対的に構成される。システムの複雑化に伴い複雑性の縮減は進行し、アルシーヴの可能性の地平が拡張するとともに希少化し空間内での偏りが増す。偏ったアルシーヴ内で、可能性の地平が収縮して意味が選択されるとディスクールが立ち現れる。 一方、人間は社会を前提として他者との関係性によって相対的に構成される。社会進化に伴い生権力によるパノプティコン的支配が定着し、「告白」が常態化する。告白が蓄積され内面化され、他のあり得た可能性を否定して一つのアイデンティティが選択されると人間が立ち現れる。アイデンティティの構築には、告白だけではなく告白されなかった秘密も関与する。告白は選択されたディスクールに対応して、秘密はディスクールになり得たが否定された可能性に対応する。ディスクールが存在するためには、否定された可能性の地平が保存されている必要がある。 フーコーは権力を前提として人間が初めて立ち現れることを示したのち、人間が権力に抵抗する方法としてパレーシアに目を向けた。パレーシアは真実を語ることを表すギリシア語である。 パレーシアは、秘密のない告白、権力による監視を前提としない人間に対応するとみなせる。これはひいては、それでしかあり得ない必然的なディスクールを表すと考えられる。つまり、縮減していない空間内の全ての可能性がディスクールとして発現する場合にのみ、それらはパレーシアだとみなせる。しかしそれではカオス状態となりシステムとして機能しないためパレーシアは実現し得ず、人はレトリックを道具として利用し認識や表象を少なからず単純化せざるを得ない。 権力や社会システムがあることで初めて複雑性が縮減し、私たちは収縮したディスクールから成る制御可能な程度の複雑さをもつ秩序あるアルシーヴ(エピステーメー)を利用することができる。また、収縮した意味から構成される制御可能な程度の複雑さをもつ社会秩序がオートポイエーシス的に構築される。社会進化とは、社会システム内でその要素であるコミュニケーションの数の増加を指す。閾値を超えると本来カオス化するところ、その複雑性を縮減する方法が各段階に備わっており、たとえば近代社会ではそれが生権力である。複雑な社会に生きる人々は、物事をありのままに捉えたり発話したりすることはできない。

Posted byブクログ

2024/04/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

(編集中) 社会学とは一体どのような学問で、どのように発展して来たか?と問われた時に、明確な答えを示せる者は決して多くないように思う。というのも、社会学という学問自体が学際的な学問であり、抽象的かつ広義の意味を含んでいるからである。そして本書では、そうした社会学の性質を認めた上で個別具体的な領域に留まらず、それを学際的なままとして評価している。 本書における重要な点は、社会学が誕生してからの歴史を問いとしているのではなく、そもそも社会学はどこから来たのか?といったことから問いを始めている点である。 社会学という語がコントによって用いられるようになったのは、19世紀のことである。人間を構成する最も重要な要素のひとつであるはずの社会というモチーフが学術的に取り扱われるようになるまでにそれほどまでの時間がかかったのは一体なぜか? このような問いに対し、大澤は古代ギリシャから中世における神の存在をめぐる問題と啓蒙の時代、そしてフランス革命へと繋げることで返答している。私見を述べれば、社会学を評価する上でこの啓蒙の時代とフランス革命の存在への言及は避けられるものではない。しかし、一般に知られる社会学の入門書においてそれらが包括されているかと言われたら疑問が残るのが現状である。そのような点で、本書のような態度は貴重であるとともに賞賛できるものである。

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2024/01/18

社会学に興味があり購入。 とても興味深く読めました。素人なので難解な言葉もあり、読むのに時間がかかりましたが時折「ふふふ」と笑える著者のセンスある表現に救われる完読できました。 オススメです。

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2023/12/02

非常に面白い。社会学の歴史を、それぞれの理論の生まれた背景を含めて、的確に提示してくれている。そして、各学問には、固有の問があることを教えてもらう。 社会学においての基本命題は、社会秩序は、如何にして成り立つのか?である。 社会学初学習者である私にとって、社会学の外観と、それぞれ...

非常に面白い。社会学の歴史を、それぞれの理論の生まれた背景を含めて、的確に提示してくれている。そして、各学問には、固有の問があることを教えてもらう。 社会学においての基本命題は、社会秩序は、如何にして成り立つのか?である。 社会学初学習者である私にとって、社会学の外観と、それぞれの位置付けを知ることができ、自分の興味のある事柄や、今現在生きている理論がなんなのかも合わせて知ることができた。これから勉強を進める上での地図が得られた。 ルーマンの社会システム論を掘り下げつつ、社会学のアプローチと、地理学、システム論、法律、マーケティング、数理最適化などを合わせてみていく中で、土地利用の最適化や、認証系の有効性を検証して、自然環境保全に資する論理を立てられないだろうかと、夢想する。社会実装に向けたことわりを、探究したい。 大澤先生の研究室を訪ねてみようか?

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2023/07/07

社会学の始まる前から、丁寧に解説している素晴らしい本。 今まで社会学の流れを知るには、最適な一冊。 紹介されている人物の、考えの本質を整理している。

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2023/06/20

 社会学がどのような学問であり、どのような思想を辿って発展してきたのかを主要な人物と学説を用いて紹介していく内容である。600ページ以上と長いが、微妙な解釈の違いや世界の動向を簡潔にまとめられていると思う。大きなテーマとして、社会学の誕生、社会の発見、システムと意味に分けている。...

 社会学がどのような学問であり、どのような思想を辿って発展してきたのかを主要な人物と学説を用いて紹介していく内容である。600ページ以上と長いが、微妙な解釈の違いや世界の動向を簡潔にまとめられていると思う。大きなテーマとして、社会学の誕生、社会の発見、システムと意味に分けている。根底にあるのは、「社会秩序はいかにして可能か」という問いであり、これを基に読み解いていくと分かりやすいと思う。  社会学者は、一見何を考えるのか分かりにくい学問分野だと思う方にはぜひ読んでほしい。どの人物も社会が出来上がる方法、移り変わる法則、平和への方法を中心にあらゆる角度から物事を見ようとしていることが理解できるだろう。  本書を読んで、社会学に大きな貢献をもたらしたのは、マルクス、ヴェーバー、パーソンズだと思う。マルクスは価値形態論、ヴェーバーは予定説やプロテスタントについて、パーソンズは構造-機能主義を用いて功利主義で解決できないホッブズ問題を説明しようとした人物である。  本書以外にも様々な考えや現象について考察されていると考えると、人間同士の関わり方は数多の種類があり、それもフレームワークごとに異なるので、その複雑性に驚かされる。

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2023/03/05

「本書は、講談社の会議室で実際に行った講義を基にしている。」と「おわりに」であるように、いわゆる話し言葉に近い文章で、社会学の歴史について記述されている。 各研究者の理論や著作を紹介するという入門書であるが、大澤自身の見解も述べつつ、研究者間の関係性についても解説している(たとえ...

「本書は、講談社の会議室で実際に行った講義を基にしている。」と「おわりに」であるように、いわゆる話し言葉に近い文章で、社会学の歴史について記述されている。 各研究者の理論や著作を紹介するという入門書であるが、大澤自身の見解も述べつつ、研究者間の関係性についても解説している(たとえば、ホッブズの社会学における意味など)。 新書であるということの意義としての読みやすさは高い。反面として、参考文献や注がないために、興味をもった著作については、本文を読みながらメモをしていくのがオススメ。

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2022/08/25

・デュルケーム「自殺論」 →なぜ人は自殺するのか。失恋や仕事がうまくいかない。そういったものが積もりに積もって自殺してしまう。これは個人の内面状態が大きく変わる。しかし、それとは別に外部状態も大きく関わっている。大きな要因は他人とのコミュニティ、絆の度合い。やはり、他社とのつなが...

・デュルケーム「自殺論」 →なぜ人は自殺するのか。失恋や仕事がうまくいかない。そういったものが積もりに積もって自殺してしまう。これは個人の内面状態が大きく変わる。しかし、それとは別に外部状態も大きく関わっている。大きな要因は他人とのコミュニティ、絆の度合い。やはり、他社とのつながりが大きいと自殺は起きにくい。今の日本はというか世界はこの時代に移っている。だから、自殺が一定数あるのは仕方がないのではないか。 ・第三者の視点が現れて、初めて認識される。つまり社会性が生まれる。自分が何かを生み出したいと思ったら所属しているコミュニティだけでなくガブにも発信することが大切。 ・最近あの人はなんであんなことでお金をかせいでいるのだろう、俺のやり方のほうが絶対いいだろと思うことがある。しかし、貨幣は人間を自由にしている。つまり、その人にしかできないことでお金を稼いでいる。そこに無理して首を突っ込む必要はない。 ・読みきれなかった

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2021/11/22

『社会学史』大澤真幸 読了。 アリストテレスから、ルーマン、フーコー、カンタン・メイヤスーまで。大変にアクロバティックで楽しい本でした。 この本の大きなテーマである『偶有性』。今の社会はこうでなければならない必然性はない、他にも可能性があったのにこうなった、ということ。社会学の...

『社会学史』大澤真幸 読了。 アリストテレスから、ルーマン、フーコー、カンタン・メイヤスーまで。大変にアクロバティックで楽しい本でした。 この本の大きなテーマである『偶有性』。今の社会はこうでなければならない必然性はない、他にも可能性があったのにこうなった、ということ。社会学の大きなテーマはどうしてこの社会は可能なのか?という問いを持つことである。 マルクスやウェーバー、フロイトのあたりは本当に読み応えがあります。アメリカの社会学史の変遷もパーソンズを中心に本当によくまとめられている。ルソーの透明性、ソクラテスのパレーシア、フーコーの権力、ルーマンの根源的構成主義、、、 見逃せない重要な概念のオンパレードです。私はこれから先に速読できるよう、通勤の時間をかけてすべて線引をして二ヶ月半で読みましたが、大変に濃厚な読書体験でした。 ありがとうございました。

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