方丈の孤月 ―鴨長明伝 の商品レビュー
純粋でプライドも高く、嫉妬深く、褒めてもらいたがりな人間臭く、そしてそれ故に都の貴族社会、神職社会で人付き合いが下手くそで報われない人物として鴨長明が描かれている。 だからこそ辿り着く「方丈記」境地。
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なんだかイベントが去年の大河ドラマ(鎌倉殿の13人)と被るなあ…と思ったら、鴨長明って1155年生まれなんですね(北条義時は1163年生まれ)。 もっとも、こっちは市井の長明視点だから、安元の大火、治承の大辻風、養和の大飢饉、元暦の大地震の扱いは全然大きいが。 てんこ盛りの人生だけど,読後いちばん印象に残っているのは、高松院に迫られてビビる青年時代だったりする(笑)。
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たんたんと、淡々と。 本当に行きては戻る、波のように。 物語がゆっくりと、ゆっくりと。 目の前に長明が居て、長話をしてくれる。 そんな気持ちにいつの間にかなっていた。 そのまま、最後まで。 物語る声まで、ふと聴こえた気までした。 「わが人生最後の執念もこれで消えてくれるであろ...
たんたんと、淡々と。 本当に行きては戻る、波のように。 物語がゆっくりと、ゆっくりと。 目の前に長明が居て、長話をしてくれる。 そんな気持ちにいつの間にかなっていた。 そのまま、最後まで。 物語る声まで、ふと聴こえた気までした。 「わが人生最後の執念もこれで消えてくれるであろうか。そうであることを願うが。はて。」 この「はて」が愛おしくてたまらない。 良き人生!
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鴨長明伝。ながあきら、と読むのは初めてかな。 賀茂御祖神社(下鴨神社)の禰宜の鴨長継の次男として生まれる。 凝り性というか、興味のあることにはひたすらだが、 世事にうとく、人付き合いが下手。 『新古今和歌集』に10首が入撰されており、 琵琶の名手でもあった。法名は蓮胤。 『方丈記...
鴨長明伝。ながあきら、と読むのは初めてかな。 賀茂御祖神社(下鴨神社)の禰宜の鴨長継の次男として生まれる。 凝り性というか、興味のあることにはひたすらだが、 世事にうとく、人付き合いが下手。 『新古今和歌集』に10首が入撰されており、 琵琶の名手でもあった。法名は蓮胤。 『方丈記』の方丈とは、晩年暮らした庵を指す。 一日で読んだけど、 主人公以外の登場人物にあまり魅力を感じなかった。 山東図書館から借りた本。
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書き下ろし 方丈記を読んでからの方が面白く読めたはず。 鴨長明の生涯の随所に、生き方の葛藤、迷い、自分と世の中への不満が満ち溢れていて、なかなかに面白い。 不遇な前半生ではもがいては拗ねる。後鳥羽院の歌所に召され、有頂天で新古今和歌集の編集に没頭するが、拗ねて途中で放り出す。...
書き下ろし 方丈記を読んでからの方が面白く読めたはず。 鴨長明の生涯の随所に、生き方の葛藤、迷い、自分と世の中への不満が満ち溢れていて、なかなかに面白い。 不遇な前半生ではもがいては拗ねる。後鳥羽院の歌所に召され、有頂天で新古今和歌集の編集に没頭するが、拗ねて途中で放り出す。この性格よくわかるなあ。 鎌倉に招かれて、3代将軍実朝に「人真似をせずに自分しかできない歌を作るべき」「自分を隠して自分を出し切っていない」と直言するが、逆に「そこもとこそ自分を出し切っていない。法体は自分と世間を欺く擬態だ」と指摘されてぐうの音も出ずに帰る。 方丈庵での人生の末期も、「方丈記」を書いて充実感を得るが、自分を格好良く見せたい気取りに気づいてしまう。「発心集」で赤裸々な人間を書いて、やっと人間の醜さ弱さを愛おしいと思う。 いさぎよくなくてよい。
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