マーダーハウス の商品レビュー
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五十嵐貴久さんは、『リカ』で第2回ホラーサスペンス大賞を受賞し、デビューしている。それから現在に至るまでの数多い著作を見ると、ジャンルはものの見事にバラバラ。そのうち自分が読んだのは10作品くらいか。最初に大変失礼なことを書くのをご容赦願いたい。 これだけ著作があり、仕事も途切れないのだから、五十嵐さんは力量がある作家だ。しかし、これが代表作という作品が思い浮かばない作家でもある。ある日、ホラーの作品らしい新刊を目にし、そういえばデビュー作もホラーだったなあと、手に取ってみたわけである。 志望校に無事合格した藤崎理佐は、ネットで見つけた鎌倉市のシェアハウスに住むことにした。市内とはいえアクセスはよくないが、何より家賃が安いし、住んでいるのは美男美女ばかり。学生生活を楽しく過ごしていた理佐だったが、同居人の死亡が相次ぎ…。 タイトルが『マーダーハウス』であるから、どんな内容かは自ずと想像できる。プロローグから、いかにもな描写。ところが、読み始めると、思ったほどそっち寄りではない。むしろ、シェアハウスという空間の面倒臭さの方が印象に残ったくらいである。 事故と処理されたとはいえ、さすがに死亡が相次ぐと不安になり、引越しも検討する理佐。偶然上京してきた高校時代の同級生、高瀬弘に相談する。実は、理佐は入居後ほどなく違和感を感じ、今では確信に変わっていた。彼も何かを感じ取ったようだが…。 終盤近くまで、ラストの急展開は読めないだろう。真犯人も意外だったが、動機の面に注目したい。狂っていると言ってしまうのは簡単だが、本人にしてみれば大真面目なのである。なるほど、これは「サイコ」だ。この後味の悪さ、どうですか。読み終えて、引きつった笑いが込み上げたよ…。真犯人の望みが叶う日は、果たして来るのだろうか。 『リカ』と続編『リターン』を読んだとき、正直滑稽な印象を受けた。一方の本作。基本的にはグロ描写に頼らず、人間というものの怖さを演出している。低予算の大当たり映画を観たようだ。現時点で、本作は、自分が読んだ五十嵐貴久作品のNo.1と言える。 ところで、『リカ』シリーズは第4作まで出ているのか。
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初めての五十嵐さん。プロローグから、ホラー系に免疫のないわたしは、読み進めるのに大丈夫かな…と心配だった。…が、グロテスクさは然程感じず、まさにイッキ読み。途中からは若者の青春物語を感じさせるほど、爽やかだったが、やはり五十嵐さん。爽やかには終われなかった。いや、終わるのだろうか。この先。
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りかシリーズとはまた違った感じだったけど、サクサクと読みやすくて、ドキドキハラハラしながら読みました。五十嵐先生最高ー!!
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