ジニのパズル の商品レビュー
決して私にはわかり得ない世界で踠いている主人公だけれど、何故だかその踠きの原点にある葛藤には見覚えがあって、不意に心に留まる言葉が現れたりする。「宇宙のゴミがそれだけで輝くことができるのならば、社会のゴミである私にも輝くチャンスがあるのかなって」なんとも言えない表現に痺れた。
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日本の小学校、朝鮮の中学校、アメリカの高校といった異色の経歴を持つジニ。 僕自身在日韓国人で、中学まで朝鮮学校に通って高校から日本学校に通った。 だから、ジニの心情なり肖像画の違和感がとてつもなく共感できた。 ただジニの感受性の豊かさは僕より全然豊かで、「確かに言われてみれば、...
日本の小学校、朝鮮の中学校、アメリカの高校といった異色の経歴を持つジニ。 僕自身在日韓国人で、中学まで朝鮮学校に通って高校から日本学校に通った。 だから、ジニの心情なり肖像画の違和感がとてつもなく共感できた。 ただジニの感受性の豊かさは僕より全然豊かで、「確かに言われてみれば、あれっておかしかったよな?」って思うことが多々あった。 視点が鋭いだけでなく、非常に批判的見方である。 確かに僕の周りにも一定数、そういう子がいた。 しかし僕みたいな学生が大半であり、みんな「韓国人なのに、なぜ朝鮮学校に通っていたのか?」と聞かれると答えれなかったし、親が通わせたからという質問しかできなかった。 そのくらい、在日社会は伝統を重視していて、外者を排除する傾向が強いと思う。 一方でその分団結力も凄いし、それは今までの歴史をみればわかるし、現に僕らが未だ朝鮮学校に通えてることがそれを証明している。 また1990年代当時はまだまだ在日韓国人に対する、ヘイトがたくさんあった時代だった。 しかし、反骨精神丸出しの主人公はそれに屈することなく、大人や社会に立ち向かった。 それも中学生にしてだ。 どの国に行っても、在○外国人は存在していて、そこでその人達が、現地人から差別や不平等を被る。 しかし、その中で闘っていかないと、皆が結束して社会において地位、権利を得ないとその国における外国人のコミュニティはなくなるのだ。 そして、現に2023年の在日同胞社会は崩落寸前とも言われていて、生徒数も激減している。 だからこそ、どうにかしないといけないし、僕が通っていたからこそなくなってほしくない。 在日同胞社会の闘いはまだまだ続く。
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インパクトの強い作品でした。在日3世の少女が 見えない敵と闘う革命の作品です。歴史観の違いや 見えない差別との闘い、経験した人だけが、感じる想いなども読んでて伝わってきたし、自分に何ができるのかと、あらためて勉強になった作品でした。 著者も在日3世の方で、とてもリアリティがあって...
インパクトの強い作品でした。在日3世の少女が 見えない敵と闘う革命の作品です。歴史観の違いや 見えない差別との闘い、経験した人だけが、感じる想いなども読んでて伝わってきたし、自分に何ができるのかと、あらためて勉強になった作品でした。 著者も在日3世の方で、とてもリアリティがあって ノンフィクションかと思わせるほど、生々しさが読んでいくうちに、胸に刺さりました。テポドンの章では、少し読むのが辛くなりましたけど、実際にこんな状況に近いことが、起きてるんだなと、実感しました。
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ジニという在日朝鮮人が日本の朝鮮学校で、金政権に対する理不尽さと違和感から、革命を起こし、さらに自分を追い詰めることになる。 北朝鮮への嫌みだけではなく、日本人の朝鮮人への無意識な差別へも述べている。 声明文を学校中にばら撒き、金正日の肖像画を投げ捨て革命を起こそうとするが、...
ジニという在日朝鮮人が日本の朝鮮学校で、金政権に対する理不尽さと違和感から、革命を起こし、さらに自分を追い詰めることになる。 北朝鮮への嫌みだけではなく、日本人の朝鮮人への無意識な差別へも述べている。 声明文を学校中にばら撒き、金正日の肖像画を投げ捨て革命を起こそうとするが、、、 革命後は、檻の中?精神病棟の中?にいるのかな 金政権への反発は、いかなる合理性や正義でさえも勝てないのでしょう サラッと読めるけど、もう少し表現を工夫してもいいのかなぁと上から目線に言ってみる。
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主人公ジニは在日韓国人。日本の小学校に通い、中学からはチマチョゴリを着て朝鮮学校に通うことになるが、ある出来事から学校を追われてオレゴンへ。そこでも居場所をなくして、という波乱の半生。 日本の学校でも朝鮮学校の中にも「大人になるか暴れるか」どちらかになるしか居場所がないと感じて...
主人公ジニは在日韓国人。日本の小学校に通い、中学からはチマチョゴリを着て朝鮮学校に通うことになるが、ある出来事から学校を追われてオレゴンへ。そこでも居場所をなくして、という波乱の半生。 日本の学校でも朝鮮学校の中にも「大人になるか暴れるか」どちらかになるしか居場所がないと感じていたジニ。 さらに北朝鮮のテポドン発射によって、理不尽な仕打ちを受けるくだりは読んでいて辛い。 ただ、朝鮮学校で上級生とトラブルになったとき、庇ってくれたジェファンや示唆に富んだ言葉をくれるホームステイ先のステファニーなど、ジニの周りには温かな人もいて、また、ジニもそれを素直に受け止めていることに救われる。 正直、在日韓国人の女学生の背負うものの重さについて、知らなさすぎて、理解できなさすぎて、どう感想を述べてもきれい事になりそうで難しい。ただ率直に言ってストレートに共感できるとはいい難い。このような無理解、無関心こそが、ジニが受けた理不尽な暴力の根っこなのかもしれない、という反省も込めて。
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東京、ハワイ、オレゴンと、ジニは学校からたらい回しにされてきた。ホームステイ先で彼女は、五年前の出来事を語りはじめる。在日韓国人として生まれ、朝鮮語がわからないまま過ごした朝鮮学校での日々。居場所を見つけられず、日韓の二つの言語の間で必死に生きるなか、あの日、テポドンが発射される...
東京、ハワイ、オレゴンと、ジニは学校からたらい回しにされてきた。ホームステイ先で彼女は、五年前の出来事を語りはじめる。在日韓国人として生まれ、朝鮮語がわからないまま過ごした朝鮮学校での日々。居場所を見つけられず、日韓の二つの言語の間で必死に生きるなか、あの日、テポドンが発射される。
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読み始めたとき、これからどうなるんだろうとワクワクすると同時に、表現の豊かさに圧倒された。よくこんな表現ができるものだなあと感動しつつ読み進めると、話が進むにつれて文章がおざなりになっていく感が否めなかった。 本当に描きたかったのは後半なのだろうとわかるし、考えさせられるテーマで...
読み始めたとき、これからどうなるんだろうとワクワクすると同時に、表現の豊かさに圧倒された。よくこんな表現ができるものだなあと感動しつつ読み進めると、話が進むにつれて文章がおざなりになっていく感が否めなかった。 本当に描きたかったのは後半なのだろうとわかるし、考えさせられるテーマではある。迫るような激情は伝わってくるが、単純な表現が多くなり粗っぽくなっているのが気になりました。序盤が素敵なだけに。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
目を逸らしてはならない。今ここで進んでいる歴史は大人たちの責任だろうか。それは否定しない。でも、子供だからなにもできないなんてことがあるだろうか。私たちは誰もが革命家の卵だ。自分以外の星が輝いてくれるから、影も必要?そんなことはない。自分の非力さに、抗う相手の大きさに、怯みたくない。間違っても、受け入れればいい。なにもしない自分で胸を張って生きられるか。 私たちの出すこたえや考えは二択ではできていない。敵の敵は味方だろうか。本当に同じ立場にあるのだろうか。世界はもっと複雑にできている。理解できないから、誰かにとって都合のいいものであって欲しいから、そんなふうに単純化したせいで、より複雑になっている。大事なものが見えなくなっている。核心から逃げれば逃げるほど、本当に向かい合おうと決意したときに、その距離に後悔するだろう。
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この本の感想を書くのは難しい。 それはたぶん「この本の感想を書くのは難しい」と書くことにさえ、なにか間違っているような気がしてしまう自分自身への違和感のようなものに起因するような気がする(ごめんなさい、本当にどう書いてよいか書きようがない)。 それはつまり「日本人」である自分は...
この本の感想を書くのは難しい。 それはたぶん「この本の感想を書くのは難しい」と書くことにさえ、なにか間違っているような気がしてしまう自分自身への違和感のようなものに起因するような気がする(ごめんなさい、本当にどう書いてよいか書きようがない)。 それはつまり「日本人」である自分は、この本に物語られた「在日朝鮮人」のボイスをどのように受け止めていいのかわからないという戸惑いから来ているようにも思う。 気になったから色んな人の感想を読んでみた(普段はそんなことしない。小説を読んでどんな感想を持とうが、それはその人の自由だと思うから)。 良い評価をつける人の多くは、この本に書かれた荒々しく、生々しい感情に圧倒されたようだ。あるいはジニの立ち場に共感したようだ。 逆に悪い評価をしている人は、どうやらここに表現されたものに共感できなかったようだ。そして違和感よりも嫌悪感を持ったみたいだった。 僕も、正直、共感は、できない。 積極的に読むのがしんどい箇所もあった。 でも拒否もできない。 いや、拒否してはいけないような気がする。 それが感想。 こんなことを書くと、「いいカッコするな」とか「偽善者」とか言われそうだ。 だからこの本の感想を書くのは難しい。 というより怖い。 どんなことを書いても、「お前は間違っている」と言われそうだし、言われたら反論できない。 そう、たぶん、僕は間違っている。 ( Amazing. Every word of what you just said was wrong. ) というわけで感想終わり。 僕の良い本の基準は、それを読んでどれだけのことを考えさせられたか、あるいは棘のようなものを感じて立ち止まらざるを得なくなったか、なので、その観点からは間違いなく面白い本です。 あとはご自分でお確かめあれ。
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