1,800円以上の注文で送料無料

ジニのパズル の商品レビュー

3.8

18件のお客様レビュー

  1. 5つ

    4

  2. 4つ

    6

  3. 3つ

    5

  4. 2つ

    1

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2020/01/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ジニは朝鮮学校に通いテポドンのせいで、レイシストに苦しまされ革命という名の精神異常をきたしてしまう。迫りくる空に押し潰されてしまうかのように。周りの家族友人は失ったけど大きな愛で包まれる最後でよかった…。僕の祖父は韓国で生まれ、祖母は在日韓国人だった。僕は3年前までその事実を知らなかった。色んな過去・経験をしっかり把握したい、と強く強く思った。

Posted byブクログ

2019/09/17

空が落ちてきたら、どうするか。 ジニの怒りと焦り。爆発寸前のパワーを感じた。そしてそれが爆発できないことも。 オレゴンの学校で退学を宣言されるジニ。絵本作家のステファニーとの時間。東京での日々。日本学校では在日韓国人であり、朝鮮学校では朝鮮語がわからない。ジニは探す、自分の居...

空が落ちてきたら、どうするか。 ジニの怒りと焦り。爆発寸前のパワーを感じた。そしてそれが爆発できないことも。 オレゴンの学校で退学を宣言されるジニ。絵本作家のステファニーとの時間。東京での日々。日本学校では在日韓国人であり、朝鮮学校では朝鮮語がわからない。ジニは探す、自分の居場所は――。 朝鮮学校がどういうところなのか。誰がどのように感じているのか。簡単な解決方法なんてなく、ジニに寄り添うこともできそうにない。落ちてくる空を受け入れるしかない。それはどこかに着地することでもあるのでは。葛藤のない人、「居場所がない」と感じたことがない人はいないだろう。皆、自分ではわからなくても、いつか「空を受け入れる」と決めた日があるのではないか。

Posted byブクログ

2019/07/21

過去を受け入れる。自分の人生史よりも前の過去も受け入れる...。抗い、怒り、苦悩、葛藤...思春期のアイデンティティの確立を描く。理不尽な他者からの干渉、介入、差別。前半は単調で後半は唐突で飛ばし過ぎている感はあるものの、多文化・異文化理解のキモは率直に綴られている。次作に期待。

Posted byブクログ

2019/05/18

 ぼくは友部正人が歌い続けている「空が落ちてくる」が、40年にわたって聞き続けている好きな歌だが、十二歳の少女の上に落ちてきたらつらいだろう。読みながら、そんなことを考えていた。  こういういい方をしていいのかどうか、「在日文学」といういい方があると思うが、この作品を読んで、在日...

 ぼくは友部正人が歌い続けている「空が落ちてくる」が、40年にわたって聞き続けている好きな歌だが、十二歳の少女の上に落ちてきたらつらいだろう。読みながら、そんなことを考えていた。  こういういい方をしていいのかどうか、「在日文学」といういい方があると思うが、この作品を読んで、在日文学が新しい場所を見つけ、新しい風が吹き始めたと思った。  小説としては素朴、稚拙で単純といっていいかもしれない。だが、読後感は「さわやか」だ。  ぼくはこの作家が、次にどんな作品を書くのか、かなり期待している。

Posted byブクログ

2019/05/04

朝鮮人にも日本人にもなれないジニが、周りの人や環境そのものと対峙し、孤独に戦う物語。 人種というカテゴリーに当てはまらないいわばあぶれてしまう人を徹底的に排除する傾向が強い今、とても考えさせられる話だった。 人間って、見た目が違うだけでみんな一緒なのに、なんで傷つけ合うんだろう?...

朝鮮人にも日本人にもなれないジニが、周りの人や環境そのものと対峙し、孤独に戦う物語。 人種というカテゴリーに当てはまらないいわばあぶれてしまう人を徹底的に排除する傾向が強い今、とても考えさせられる話だった。 人間って、見た目が違うだけでみんな一緒なのに、なんで傷つけ合うんだろう? 他国を尊重しましょうなんて言葉が、当たり前になって使われなくなって、ジニと同じ境遇にいる人々が生きやすい時代が来て欲しいと切に願う。 著者の崔実さんの荒削りな文章は若干勿体無かったものの(もっと丁寧に書いていれば...)、みずみずしさ、ほとばしる思いが存分に伝わってきた。題材が重いけれど難しい表現が文中にそこまでないから、中学生とかでも読めそう。

Posted byブクログ

2019/04/16

日本の学校では韓国人として、朝鮮学校では朝鮮語の話せない異端児として疎外感を味わう少女の物語。 本書は、日本にありながらなかなか実情が見えにくい朝鮮学校の姿を描いていることが興味深い。ジニを同胞として迎え入れようとする人たちと迫害する人たち。そして自分なりの革命を起こそうとするジ...

日本の学校では韓国人として、朝鮮学校では朝鮮語の話せない異端児として疎外感を味わう少女の物語。 本書は、日本にありながらなかなか実情が見えにくい朝鮮学校の姿を描いていることが興味深い。ジニを同胞として迎え入れようとする人たちと迫害する人たち。そして自分なりの革命を起こそうとするジニ。 ちょっとわかりづらい箇所や拙い表現もあったが、それはあまり問題にはできないだろう。社会と真摯に向き合う青春小説なのだから。 でも、私が読むには歳をとりすぎているのかもしれない。そこまで心に響かなかった。

Posted byブクログ

2019/04/13

自分の今の職場には、韓国から来た人と中国から来た人が何人かいる。自分はその人達を「同じ作品に携わり、より良いものにするために一緒に頑張る人」という認識で接していて、国籍なんて関係ないと思ってる。だから知り合って間もない頃は「えーっと、この子は韓国と中国どっちだったかな……」なんて...

自分の今の職場には、韓国から来た人と中国から来た人が何人かいる。自分はその人達を「同じ作品に携わり、より良いものにするために一緒に頑張る人」という認識で接していて、国籍なんて関係ないと思ってる。だから知り合って間もない頃は「えーっと、この子は韓国と中国どっちだったかな……」なんて考える間が、会話の中で一瞬生まれることもあった。自分の中で、国の違いを意識しないようにしようとしていたからかもしれない。 でもそれは、相手の生まれ育った国をあまり尊重していないようで、失礼にも思えて。だって、「この人何県出身だったっけ……」と同じことだもん。まるで相手に興味がないみたいじゃないか……! 小学生から高校生にかけて、少なからず日本の歴史を学んできた身なので、日本と韓国の関係性がどんな感じなのか、は知識として最低限頭に入ってるつもり。自分はネット上で時折見かける、頭ごなしに韓国の人を非難しているような日本人にはなりたくないし、国籍なんか関係なく同じ人間として純粋に接していきたいと思ってる。でも、そういう意識ってとても難しいもので、「違いを気にしないように」と気を遣いすぎることもある種の仕分け意識に近いんじゃないか、みたいな不安が、韓国の人と接するときにいつも付きまとっている。 いきなり本の感想から逸れたことを書いちゃったけど、この本はそういうことを考えさせてくれる素晴らしい一冊だった。勧めてくれた職場の後輩に飯奢るレベルで。 自分はどうも昔から日本人以外の国籍の人に好意的なイメージを抱く傾向があって、たとえば野球。遠い国から海を渡ってこんな島国で頑張ってる助っ人外国人選手は、球団関係なく2割増しくらいで「頑張れ!」と思ってしまう。オリンピックとかで日本と戦ってる相手には何とも感じないので、アウェイで頑張ってる感が好きなのかもしれない。つまり何が言いたいかというと、俺は韓国の人と仲良くしたいってだけの話です。それも、上辺だけじゃなくちゃんとした友達として。自分は韓国人の友達が出来たら「お前キムチ臭ぇな!」「うるせーよ!」みたいなやり取りを、お互い笑いながらやり取りしてみたいんです。日本人の友達とやり取りしているような会話を、国境跨いで韓国の人と、世界中の人とやってみたいんです。 余談ばっかりだけど、3年くらい前にやってたネットゲームで韓国の人とボイスチャットが繋がって、「日本の人だ!」ってめちゃくちゃはしゃいでくれた人がいたんだ。一緒に遊んだのはその一回だけだったけど、お互い拙い英語で連携取り合って、勝ったり負けたりがとても楽しかったのをよく覚えてる。良い思い出。

Posted byブクログ

2020/11/03

すごく揺れ動くというか、いいなと思って読んでたら変に理屈っぽく正論語り出したり、と思ったら最後の方のグミもらう時の場面とかすごく良いし、で何だろなと思うんだけど、これ高校生のジニの視点と思えばしっくりくる。そうだ、ジニの視点なのだ。 高校生だったらこう思うだろう、と大人が書いてい...

すごく揺れ動くというか、いいなと思って読んでたら変に理屈っぽく正論語り出したり、と思ったら最後の方のグミもらう時の場面とかすごく良いし、で何だろなと思うんだけど、これ高校生のジニの視点と思えばしっくりくる。そうだ、ジニの視点なのだ。 高校生だったらこう思うだろう、と大人が書いているのではなくて、ジニが語っているのだ。 だから、良かったよ、これは。

Posted byブクログ