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死んでいない者 の商品レビュー

3.6

38件のお客様レビュー

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2023/05/24

ある老人の通夜に集まった30人近くの遺族。彼らの間を語り手を次々と変えながら物語が進む。時には今誰が語り手なのか判らなくなることも。其々の語り手に憑依しながら物語の世界を漂っている様な不思議な感覚に陥った。

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2023/05/10

友人のすすめで滝口氏を知る。 先日手始めに、と読んでみたアイオワ日記がとても良かったので、こちらも読んでみる。 お葬式に集まる、親族たちの世界。 日常と非日常の堺、家族と他人の堺、そういうものを描いた作品で、普段なんとなくみんなが感じることをうまく言葉にしてあるなと思った。 ...

友人のすすめで滝口氏を知る。 先日手始めに、と読んでみたアイオワ日記がとても良かったので、こちらも読んでみる。 お葬式に集まる、親族たちの世界。 日常と非日常の堺、家族と他人の堺、そういうものを描いた作品で、普段なんとなくみんなが感じることをうまく言葉にしてあるなと思った。 正直なところ、読後感は、うーん、まあ、悪くはなかったが、アイオワ日記のほうが単純に面白かった。 視点がよく動くので、なんのこっちゃと人間関係を把握するので必死だった。ストーリーはあまり無くて、そういう人間関係があり、そのなかで主役不在(故人だから仕方がない)の儀式を行う、厳かなおかしみを描いている。 もちろんこれは、故人に縁者が多く、かつ天寿をまっとうした死に方ゆえの円満お葬式の空気である。 親戚がけっこうたくさんいるなかで、だんだんと年齢と立場が逆点したりして、把握が複雑になる。 その中に2人ほど、集団から外れたメンバーがいたり、葬式でもなけりゃ会わないのが親戚だったり。 親族の絆より、姻族の「縁あってここにいるけど冷静に考えるとなんか不思議だよね感」が連帯しやすかったりする。 ああ、そういう、ね、わかるわかる、となった。 アイオワ日記に書かれたエピソードで、あなたはどうして本を書くの、と聞かれて、滝口氏が、もう存在しないものや時間を残すため、というような答えがあって、まさにこの話だなと思えた。 どうでもいいけど、女子高生の制服のスカートのポケットに、缶ビールなんか入るだろうか?入ったとしてもモソモソしてとても活動できないと思う。それも何度もスカートから出してくるので、そのたびに、えー?と思った。さすがに何本も入れているとは思わないけど。一本出してから、新たに一本入れてると思うけど。一本すら普通は入らないよ。それとも、私の思う制服とは全然別のものなのかな。 …そんなことばかり頭に残ってしまった。 これ、芥川賞だったのか、ちょっと驚き。

Posted byブクログ

2023/05/07

滝口さん二作目。 茄子の輝きの、1話目のお茶汲み係を頑張って決める話くらい、第三者にわからせようとしていない、いや、正直そこはどうだっていい、それよりも、そんなことを整理したり考えている時間そのものの尊さを考えさせられる、不思議さ。 カギカッコを使わない冗長的な、客観的に影響を受...

滝口さん二作目。 茄子の輝きの、1話目のお茶汲み係を頑張って決める話くらい、第三者にわからせようとしていない、いや、正直そこはどうだっていい、それよりも、そんなことを整理したり考えている時間そのものの尊さを考えさせられる、不思議さ。 カギカッコを使わない冗長的な、客観的に影響を受けて動かされる感情のない情景。 忘れることと、忘れていないことの間のような、思い出すことと思い出さないことの間のような、死んでいない者と死んでいる者の間のような。

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2023/03/14

初めての滝口悠生。芥川賞受賞作なことは知らずに手に取った。 最初は、とにかく登場人物が多いことと通夜に集まったそれぞれの視点や記憶を行き来する書き方に戸惑い、また各人のエピソードが延々続くのに正直少し疲れた。ただ途中で、「この作品は誰がこう考えてる、どういう境遇にいる、ということ...

初めての滝口悠生。芥川賞受賞作なことは知らずに手に取った。 最初は、とにかく登場人物が多いことと通夜に集まったそれぞれの視点や記憶を行き来する書き方に戸惑い、また各人のエピソードが延々続くのに正直少し疲れた。ただ途中で、「この作品は誰がこう考えてる、どういう境遇にいる、ということが物語の筋に関係するものではないため、把握しなくていいんだ」と理解してからは、その渾然とした印象も含めて不思議な味わいを楽しんだ。 その場に集まった人々にとっての、人生の中でのたった一夜の話で、しかもそれぞれにおいてそこまで重要ではない一夜。「親戚」という括りで繋がっているだけで普段はそこまでやり取りをしない人々は、葬式が終わればまたそれぞれの人生に戻っていって、この一夜も大した意味を持たずに日々に埋もれていくんだろう。 ただ一方で本当の意味での「何でもない日」では決してなくて、その後の誰かの人生を変えるようなことはなくても、連なる日々の中の、「"何か"のあった一日」だったんだろうなと思う。 個人的に、冒頭の「押し寄せてきては引き、また押し寄せてくるそれぞれの悲しみも~」の部分、方丈記や奥の細道のような古典文学の入りを思い出して好きだ。

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2023/02/15

死んでいない者 滝口悠生 ある親族の通夜を描いた作品。 親族が多い一族であり、お互いのことを詳細に把握している訳ではない。そうした関係の者が通夜の1日を共に過ごす中で、お互いがお互いに対して思っていること、思ってきたことを想起している様が描かれている。 差して何かイベントが起き...

死んでいない者 滝口悠生 ある親族の通夜を描いた作品。 親族が多い一族であり、お互いのことを詳細に把握している訳ではない。そうした関係の者が通夜の1日を共に過ごす中で、お互いがお互いに対して思っていること、思ってきたことを想起している様が描かれている。 差して何かイベントが起きるわけではない。通夜という非日常を日常的に描写しているように感じられた。 祖父の死を契機に当刊行物の読書に入った

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2022/11/30

ある通夜から紡ぎ出す、死んでいない者たちが、故人を送る時に、何を感じるのか。死んでいない者たちの様々なストーリーが紡がれていく。 芥川賞を受賞した著者の代表作です。 登場人物が多いので、頭の中で整理するのが難しかったです。解説で、津村記久子さんが、「こんな大きな小説は読んだことが...

ある通夜から紡ぎ出す、死んでいない者たちが、故人を送る時に、何を感じるのか。死んでいない者たちの様々なストーリーが紡がれていく。 芥川賞を受賞した著者の代表作です。 登場人物が多いので、頭の中で整理するのが難しかったです。解説で、津村記久子さんが、「こんな大きな小説は読んだことがない。」と、言われていたので、ストーリーの壮大さと、親族間の人間関係にも注目してほしいです。誰にでも訪れる死、死を迎えた人と、迎える人たちの厳かな濃密な1日を、感じてほしいです。

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2022/09/23

一人の老人が亡くなりその葬儀に集まった親族達の様子を、それぞれの視点で何気ない一言や頭の中で考えていることが次々と描写されていく短編小説。 登場人物達自身も、葬式の場で久しぶりに会う面々でお互いに「誰の家族か、何て名前だったか」という状態のため、次々と視点の主が変わるので「今、...

一人の老人が亡くなりその葬儀に集まった親族達の様子を、それぞれの視点で何気ない一言や頭の中で考えていることが次々と描写されていく短編小説。 登場人物達自身も、葬式の場で久しぶりに会う面々でお互いに「誰の家族か、何て名前だったか」という状態のため、次々と視点の主が変わるので「今、誰が話の主なのか」が時折混乱してくる。しかしそこで描写される情景は、何気ない過去の記憶(なのになぜか良く覚えている)に飛んだり、発した言葉の一瞬のうちによぎった思いだったりが巧く表現されていて、「こんな感覚、たまにあるよなあ」と思わされる。 特に大きな事件が起こるわけでもない。全体的にゆったりと時が流れて行く話だが、そんな「たまにある感覚」を妙に楽しめる小説だった。

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2022/08/20

文芸春秋 滝口悠生 「死んでいない者」 芥川賞受賞作を読んでみた 葬祭の場で起きる 故人と親戚の追憶の物語。死から生を問うているようにも読めるし、親戚の滑稽さとしても読める 主人公は誰なのか、話し手は誰なのか 不明のまま、親戚(死んでいない者)が 次から次と出てきて...

文芸春秋 滝口悠生 「死んでいない者」 芥川賞受賞作を読んでみた 葬祭の場で起きる 故人と親戚の追憶の物語。死から生を問うているようにも読めるし、親戚の滑稽さとしても読める 主人公は誰なのか、話し手は誰なのか 不明のまま、親戚(死んでいない者)が 次から次と出てきて 故人との記憶をたどる展開。私には読みにくいが、玄人好みなのかもしれない 最初の文章〜斎場からお通夜に至る悲しみの感情の変化の描写は見事だと思う。親戚たちについて「血のつながっていない配偶者たちもなぜかどこか似ている」というのも面白い 自分の死について、それがなんなのかさっぱりわからないまま、刻々それに近づいている、あるいは近づかれている〜生きるとは結局その渦中にある連続

Posted byブクログ

2022/08/14

20220814 お盆の帰省の時期に読んだのがちょうどよかった。 テレサ・テン 時の流れに身をまかせ 親戚にはいろんな人がいるし、家族と同じで選べない。 ただ、距離を置こうと思えば置ける。 小さい頃からお互いを知ってるし、少しだけど変化するときの前兆もわかるはず。 相関図見ながら...

20220814 お盆の帰省の時期に読んだのがちょうどよかった。 テレサ・テン 時の流れに身をまかせ 親戚にはいろんな人がいるし、家族と同じで選べない。 ただ、距離を置こうと思えば置ける。 小さい頃からお互いを知ってるし、少しだけど変化するときの前兆もわかるはず。 相関図見ながら読んだ方がいい。 おじいちゃんと最後暮らした美之、兄弟知花との関係もいいし、いろいろ考えさせられる。

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2022/08/05

死んでいない者 本文の中でも言われていたが親戚内でのとりとめのない会話がだらっと続いていく内容である お世辞にも面白いとは言えない話だと思ったが、その場面、背景や心情には抵抗なく入り込めた 登場人物が非常に多く、それぞれ何をするでもなく現れては文章に流されていくのだが、読後に思...

死んでいない者 本文の中でも言われていたが親戚内でのとりとめのない会話がだらっと続いていく内容である お世辞にも面白いとは言えない話だと思ったが、その場面、背景や心情には抵抗なく入り込めた 登場人物が非常に多く、それぞれ何をするでもなく現れては文章に流されていくのだが、読後に思い返してみると何となくその情景が浮かんでくるから不思議だ しかし文章力があるのかと問われれば否、だろうか 鉤括弧を使わない会話なども含めて易しい文章のせいかすぐ読み終えてしまったためか、明瞭に記憶に残ることはないが、ふとした時にああ誰でもこんなふうに考えたりするんだろうなあなどと考えるのかも知れない 夜曲 短く読者の解釈の自由度が高いせいだろうか、こちらのほうが個人的に好みである 短さ故、一箇所の描写のみなのが良い 廃れた町に暮らす若いとも老いているとも言えぬ者たちの、これまたとりとめのない会話だが、他愛のない文章が眠りにつく前には丁度よい

Posted byブクログ