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僕はかぐや姫/至高聖所 の商品レビュー

4.5

14件のお客様レビュー

  1. 5つ

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  2. 4つ

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2023/11/30

短い作品だけどなかなか読み進まない。 平易で読みやすいストーリーなのに一語一語に込められた思いが濃厚で、自ずと時間が掛かってしまう。「僕はかぐや姫」はそんな作品。 残りわずかな17歳の物語は、高校時代の自分と激しく共鳴する。濃厚なのは作者の思いではなく、呼び覚まされた17歳の頃の...

短い作品だけどなかなか読み進まない。 平易で読みやすいストーリーなのに一語一語に込められた思いが濃厚で、自ずと時間が掛かってしまう。「僕はかぐや姫」はそんな作品。 残りわずかな17歳の物語は、高校時代の自分と激しく共鳴する。濃厚なのは作者の思いではなく、呼び覚まされた17歳の頃の自分の思いかもしれない。 至高聖所は主人公が高校生から大学生に成長したためか精神のカタチが幾分ハッキリした感じがする。それに合わせて登場人物(姉や真穂)も多面的な表情を見せるようになった。男性は概して薄っぺらな気はするが、、、 舞台はおそらく作者の出身校である筑波大学。一度だけ行ったことがある。確かにバカっ広くて人が少なかったです。

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2023/08/09

とても大好きな本の一冊。  心の機微が丁寧に描かれていて、現実味のない人物設定ではあるが、妙なリアリティ、説得力がある。  ただ、読むことで心に寄り添ってくれる、安らぎを得られるような本ではなくて、心が抉られるような焦燥感が残る。  それは、アイデンティティとしての「僕」を確立し...

とても大好きな本の一冊。  心の機微が丁寧に描かれていて、現実味のない人物設定ではあるが、妙なリアリティ、説得力がある。  ただ、読むことで心に寄り添ってくれる、安らぎを得られるような本ではなくて、心が抉られるような焦燥感が残る。  それは、アイデンティティとしての「僕」を確立しようとする少女に同情以上の情を抱いてしまうからなのか、それともこの主人公以上に自分がアイデンティティを持つことに対して現実的になっていないから焦りを感じされられるのか、もしくはその両方かもしれない。  ただ、外の世界を上手に生きていくのに必要な心構えというものが永遠にできそうにない、いまの自分の焦燥感がありふれたものに感じられた。  この本の言葉で「他人に誇れる年齢は3歳と17歳しかない」とあったが、やはりその歳を過ぎてしまったら自分の年齢に似つかわしい精神のあり方というものを、人は誰しも永遠に求めていかなくてはならないのだと思う。

Posted byブクログ

2023/05/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

復刊ありがとうございます。『至高聖所』は何度も読み返してますが『僕はかぐや姫』は初読みです。2006年にセンター試験に出題されたんですね。もっと読まれてほしい作品です。 僕はかぐや姫 透明になりたいから「僕」を選んだ。 女子高に通う裕生は「僕は」と話し始める。十七歳は十七歳だというだけで至福の年だから謳歌すべきだと。 少しずつ成長していく裕生と周囲の少女たち。尖ってるなぁ。1990年「海燕」新人文学賞受賞作。令和の少女の書かれ方とは少し違っていて懐かしい。最近話題になった『N/A』が好きな人には特にお勧めしたい。 至高聖所 1991年芥川賞受賞作。1995年に初めて読んで衝撃を受けた。「私がいる」と思った。田舎にポツンとある新しい大学、静かに浮足立った一年生の沙月と同級生。美しく一家の期待の星だった姉。優しいけれどなぜか宗教に嵌ってしまったボーイフレンド。漂う不安と眠り。 大学生の大人になりかけで自分を守る鎧を身に着けつつあるけれども、その鎧の隙間から入り込むものがまだあって、それに慣れていくためにまた鎧のパーツを増やすような、そんな時間が描かれている。 最近の尖りに尖った芥川賞よりも作風はふんわりとしつつこの年代の危ういところはきっちり書かれていてじんわり沁みる。 偶然見つけた宮木あや子さんの書評が良かった(*´▽`*) 私の"骨"をつくったただ一つの物語/松村栄子『僕はかぐや姫/至高聖所(アバトーン)』書評:宮木あや子 https://www.poplar.co.jp/topics/47136.html

Posted byブクログ

2023/03/20

センター過去問にも採用された本で、とても思い入れ深い一冊。脆くて鋭利で美しい、繊細なガラス細工のような文章です。

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2022/03/03

突然読みたくなったので調べたら最近再販されてるじゃん!ポプラ社ありがとう。買うわ。 この人と鷺沢萌を読んで、私が表現したいことは既に世の中にある、と安堵と打ちのめされた気でないまぜになった学生時代…今読んだらどう思うのかなー

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2021/10/06

表紙も扉絵もいい。『僕はかぐや姫』は高校生の話で、『至高聖所』は大学生の話だった。前者には、高校生は高校生らしい痛々しさのようなもどかしさのようなものが詰まっていて、後者には大学生時代に感じたような空気感をびしびしと感じた。この本に出会えたので、『僕はかぐや姫』をセンター試験の問...

表紙も扉絵もいい。『僕はかぐや姫』は高校生の話で、『至高聖所』は大学生の話だった。前者には、高校生は高校生らしい痛々しさのようなもどかしさのようなものが詰まっていて、後者には大学生時代に感じたような空気感をびしびしと感じた。この本に出会えたので、『僕はかぐや姫』をセンター試験の問題で読めてよかった。

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2021/06/20

高校の時に読んでおけばよかったああ! 存在は知っていたのに読まなかったのだから、それは私の怠惰以外のなにものでもないじゃないかああ! 男女とかそんなんじゃない透明になりたい裕生の言い分はきっと高校生の私を励ましたろうに…。 文体は淡々として、且つ、自意識に溢れたものだった。 どこ...

高校の時に読んでおけばよかったああ! 存在は知っていたのに読まなかったのだから、それは私の怠惰以外のなにものでもないじゃないかああ! 男女とかそんなんじゃない透明になりたい裕生の言い分はきっと高校生の私を励ましたろうに…。 文体は淡々として、且つ、自意識に溢れたものだった。 どことなく太宰や三島を思い出した。 でも好き嫌いは別れそう。

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2021/03/09

センターの過去問でその一部を読んで衝撃喰らった思い出。ひりつくけれども甘い感傷を舌の上で転がし味わうように読みたい一作。 ライ麦論争で引き下がるくだりはそれとなく裕生の行く末を現している。詳細は省かれているが、ライ麦畑に向ける彼女の感情はおそらく同族嫌悪。 男でも女でもいたく...

センターの過去問でその一部を読んで衝撃喰らった思い出。ひりつくけれども甘い感傷を舌の上で転がし味わうように読みたい一作。 ライ麦論争で引き下がるくだりはそれとなく裕生の行く末を現している。詳細は省かれているが、ライ麦畑に向ける彼女の感情はおそらく同族嫌悪。 男でも女でもいたくない、何にも規定されたくない未分化で高潔な一人称こそ「僕」。 わざわざ透明な膜を自身の一部として纏わせておいて、見苦しくなったら離別しなければならないなんて、日本語の一人称は繊細で奥深くて、むごいや。 一人称が一つだけだったらな~とよく思うし。 女子高舞台の話に恋愛絡みの男の子が出てくると「邪魔だな…」と思ってしまうのは絶対京アニに慣れすぎたからだ。 『至高聖所』は真穂のキャラがとても良い。

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2019/11/04

高校の部活動、大学の学生寮、それぞれの場所で、自分のありかを必死に探り、揺らいでいく女子たち。かつて自分も通った道であるからこそ、歳をとっても共感は大きいし、この小説群が出たばかりの頃に読めていれば、強烈な影響を受けていたに違いない。30年の時を超え、己の場所で、言葉と文芸と鉱物...

高校の部活動、大学の学生寮、それぞれの場所で、自分のありかを必死に探り、揺らいでいく女子たち。かつて自分も通った道であるからこそ、歳をとっても共感は大きいし、この小説群が出たばかりの頃に読めていれば、強烈な影響を受けていたに違いない。30年の時を超え、己の場所で、言葉と文芸と鉱物を手掛かりにして、激風に逆らいながらまっすぐに顔を上げる若き「僕」たちに、このかつての自分が味わえなかった衝撃を受け取ってほしい。

Posted byブクログ

2019/10/06

読み易く、かつて抱いていた繊細な感情を思い出させてくれたり、抱いたこともない感情を追体験させてくれる作品でした。アバトーンについては、作品の舞台の描写が秀逸で、行ってみたくなりました。

Posted byブクログ