現象としての人間 新版 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
野崎まどさんが『小説』を書くきっかけになった本として紹介されていたので、気になって読んでみた。 人間の進化を宇宙規模で捉えていて、そこにシャルダン独自の思想が詰め込まれている。とにかくスケールが大きくて、読んでいて圧倒された。 「進化」と聞くと、私はこれまで、枝分かれして個性が増えていくようなイメージを持っていた。 けれどこの本では “自分らしさ”は、他人とどう違うかという「個性」ではなくて、他者とのつながりや一体感の中で形づくられる「人格」として捉えるべき、としている。 孤立すればするほど、自分が何者なのかがわからなくなって、存在意義や自己の強さが失われてしまう。 それに対して、他者と結びつき、集団やコミュニティ、もっと大きく言えば人類全体の方向性みたいなものを共有することで、むしろ個々の存在意義や独創性(人格)は深まり、成長すると主張している。 たとえば、 自然の中でふと感じる“畏敬の念”とか、 星空を眺めているときの“宇宙とつながってる感じ” 芸術や音楽に触れたときの“言葉じゃ説明できない共感”とか。 そういう感覚を誰かと共有することが、人間の内側を深めていくという考え方は、素敵だなと思った。 そして、「小説」という創作そのものが、人々の意識を束ね、共鳴を生み出す装置として働いているという点で、この本と野崎さんの作品の世界がつながっているように感じた。 野崎さんの手元にある『現象としての人間』にはびっしりと付箋が貼られていて、「1枚の付箋から短編が1本書けそう」と語っていたのも印象的だった。 これからどんな形で物語が生まれていくのか、とても楽しみにしている。
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