ここから世界が始まる トルーマン・カポーティ初期短篇集 の商品レビュー
高校生から20代初めの時期のカポーティの未発表短篇集。村上春樹の解説もあり。けっこうシンプルな短篇が多いが、自分はけっこう好みだった。作品解題には、カポーティがいろんなアウトサイダーに注目している、という点が書かれていてなるほどと思った。
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ここから世界が始まる。最後の短篇のタイトル、それこそがこの一冊を物語るすべてだった。一篇わずか数ページ、過剰に説明されずすべてを語らず、覚えのある感情は痛みを伴って胸の底に揺らいで落ちてゆき、しんと沈んだまま凍りつき掬い上げられることなく物語を閉じる。まるでそのあとに始まる嵐の前...
ここから世界が始まる。最後の短篇のタイトル、それこそがこの一冊を物語るすべてだった。一篇わずか数ページ、過剰に説明されずすべてを語らず、覚えのある感情は痛みを伴って胸の底に揺らいで落ちてゆき、しんと沈んだまま凍りつき掬い上げられることなく物語を閉じる。まるでそのあとに始まる嵐の前の静けさ。一体何が起こり、どこへ行き着くのか。熱を持つ口内炎。ばれた嘘。近づいてくる別れ。静止流星が刹那に輝き燃え尽きるように、真っ暗闇になってもいつまでも光の残像が心の中に刻まれる。カポーティの光はずっと胸の中に堆積してゆく。
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『ティファニー』も『夜の樹』も『冷血』も、さびしくてあまりにも鮮烈でだった。やっぱりこういう人のことを「規格外の天才」って言うんだな。 『知っていて知らない人』『これはジェイミーに』◎
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