ナチスから図書館を守った人たち の商品レビュー

デイヴィッド・E・フィッシュマン(著者),羽田詩津子(訳者)

2021/11/28

ノンフィクションのゲットーでのユダヤ文化にまつわる本や書類を守った人たちの話。
こういうナチスやソヴィエトによる迫害の話を読むときにはいつも体をチクチクと針で刺されているように感じる。
文化をなくすことは、存在を抹消すること、という考えには思い当たることがたくさんあり、背筋が凍りつくような気がする。日本でも隣国はじめ、近隣諸国、また国内の諸民族に対する迫害の歴史がある。これは他人事ではないし、また二度と起こしてはならないと強く感じさせられた。

2020/04/23

どれだけの知識や歴史、文化が失われたのだろうか。
それを守ろうと思った人たちはどんな気持ちだったのだろうか。

2019/05/22

いわゆる安定期の間、図書館はゲットーでの生活の頼みの綱となった。この安定期は1942年1月から1943年7月まで1年半続いた。大規模な一斉検挙とポナリへの移送はいったん収まり、残った2万人の住民にとって、ありふれた日常生活ｇあ戻りかけた。朝、労働タイはゲットー外の強制労働の現場まで出かけていき、1日の終わりには状況ｇあ許せば、服の下に食べ物を忍ばせて帰ってきた。住人が生産的な労働者であれば、その労働はドイツ軍にとって役に立つ、ナチスは自己利益の見地から彼らを活かしておくだろう。大半の住人はその通りだと信じたか、少なくとも、そう信じたがった。安定期になると、文化的社会的活動が盛んになった。最初のコンサートが1942年1月18日に開かれた。ゲットー作家芸術家協会が同じ月に設立され、生活支援委員会が結成されたほかに、青少年クラブ、母乳バンク、様々な専門職の協会（弁護士、ミュージシャンなど）ができた。こうしたグループにとっても、図書館は貴重な情報源として役立った。だが、その平穏は、断続的に残虐行為が起きることで破られた。

2019/03/31

ホロコーストの文化的な略奪と破壊を記録した図書。ナチスはユダヤ人に関する本、原稿、美術品を重要なものはドイツの施設に移管、それ以外のものは焼却処分していた。その行為に反抗し、ユダヤ人の文化を守ろうとしたゲットーの住人グループが書かれている。本をどこかナチスに関係のないところに隠すのは命の危険もある。それでも本を次の世代まで守ろうとする意志には頭が下がる。戦後、ソ連でもユダヤ人の資料略奪があったときには、同じように守らなければならなかったという記述もあり、はじめて知った。

2019/03/28

リトアニアのユダヤ人を襲う、ナチスによる生命と文化の略奪について綴られています。
司書や学者などの密かな抵抗に焦点を当てています。
ユダヤ文学・芸術が残っているのは、運だけでなく彼らのような人間の地道な努力によるものが大きいでしょう。
彼らは兵士ではありませんでしたが、素晴らしい戦士です。

2019/03/21

第二次大戦中のリトアニア、ナチスによるユダヤ人弾圧の中ユダヤ人やユダヤ教の文化を守ろうとしたユダヤ人たちの記録。ゲットーに収容され、ナチスによるユダヤの書物や記録・ユダヤ教の経典などをドイツ本国に送るものと、廃棄処分にするものとに分ける作業をさせられたユダヤ人の学者や司書・詩人たち。ドイツに送ればドイツのものとされ、送らなければ製紙工場で処分される。どちらにしても、自分たちの文化の継承にはならないとドイツ軍の目を盗んで本や資料を隠していた。大戦中はナチスから、戦後はスターリン率いるソ連から。それぞれのユダヤの人々の抵抗と、戦後の葛藤を記録している。

自分たちの生死も危ういなか、平和な時代の訪れを信じ自分たちの文化を守ろうとした人たち。その強い精神力に感動したします。