子育ての知恵 の商品レビュー
大人が子どもに発達の環境を整えても、そこからなにを感じとってどう発達していくのかを決めるのは子どもというのが印象的だった。親は子どもを愛するが故に、知らず知らずのうちに子どもの自由を奪ってしまっているのかもしれない。 子どもにとって愛着の対象は母親でなければならないということは...
大人が子どもに発達の環境を整えても、そこからなにを感じとってどう発達していくのかを決めるのは子どもというのが印象的だった。親は子どもを愛するが故に、知らず知らずのうちに子どもの自由を奪ってしまっているのかもしれない。 子どもにとって愛着の対象は母親でなければならないということはない。ただ、心の安全地帯は大人にとっても子どもにとっても必要。 専業の母親や育児休暇を取得している男性は、世間から切り離されているという疎外感から不安を感じやすく、生活の質を下げる。母親であれ父親であれ、育児は分業して行うべきではない。 この本を読み終わった後に、日本の虐待の報告数の推移を調べてみたら、年々増加し、近年は毎年過去最多を更新していた。高い体罰の肯定率といい、子どもの人権は守られなければならない。子ども食堂が全国で急速に増加しているのは異常、という考え方には納得した。子ども食堂は素敵な取り組みだという印象が強く、本来はないほうがいいものということを忘れてしまっていた。すべての子どもたちが十分な支援を受けられるようにするのは大人の責任。このままの政策で本当にいいのか。
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筆者はしつけの定義を「社会の新しいメンバーになる子どもにとって、どのような社会が望ましいかを考えたうえで、おとなが子どもに必要だと考える社会のルール、習慣、文化わ伝達することである」としている。加えて、そうやって子どもに伝えていくためには、おとな側が"どのような社会が将来の子ども...
筆者はしつけの定義を「社会の新しいメンバーになる子どもにとって、どのような社会が望ましいかを考えたうえで、おとなが子どもに必要だと考える社会のルール、習慣、文化わ伝達することである」としている。加えて、そうやって子どもに伝えていくためには、おとな側が"どのような社会が将来の子どもにとって望ましいのか"を考える責任があるとも述べている。諸外国に比べて子どもを大人の親の所有物として捉えがちな日本。根拠なき誤った通説から解放されて、子どもを社会で大事に育てる方向へと少しずつ舵を切っていけると良い。
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「三つ子の魂百まで」や「母親神話」「三歳児神話」などは私たちの母親世代の間で通説だった。全然信じていない私だけど、検証したことはない(不可能)ので100%否定はできず、保育園に預けることに1mmほどの後ろめたさを感じていた。 この本を読んだ結果、後ろめたさは雲散霧消し、そんなも...
「三つ子の魂百まで」や「母親神話」「三歳児神話」などは私たちの母親世代の間で通説だった。全然信じていない私だけど、検証したことはない(不可能)ので100%否定はできず、保育園に預けることに1mmほどの後ろめたさを感じていた。 この本を読んだ結果、後ろめたさは雲散霧消し、そんなものを感じる必要など全くないことが分かった。これらの言葉は母親に子どもの世話を押し付ける口実でしかない(昭和の時代にはそれも必要だったのかもしれない)。愛着の安定性も、子どもの人間関係も、自己と自制心の生育状況も、母親との接触時間の長さとは無関係。整った家庭環境や社会の在り方のほうがよほど大切だ。現在娘は身体状態良好、機嫌よく毎日笑顔で過ごしている。これだけが答えだ。 とりわけ参考になったのが、反抗期に関する内容である。あと半年もすれば娘は「イヤイヤ期」に突入するだろう。そのとき、自己の発達を喜べるよういくつかの言葉を胸に刻んでおく。私自身の自己を見つめなおし、ときに失敗しながら娘と一緒に成長していきたいと思う。
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幼児期決定説の思い込みからの解放 子育ては母の手で に根拠はない 「あなたの子どもは、あなたの子どもではありません」 しつけの定義 これまで当たり前と思っていたことについて、自分で調べないといけない と思いました。 母親とかかわる時間の長さよりも質が大切 という話からは、学校の...
幼児期決定説の思い込みからの解放 子育ては母の手で に根拠はない 「あなたの子どもは、あなたの子どもではありません」 しつけの定義 これまで当たり前と思っていたことについて、自分で調べないといけない と思いました。 母親とかかわる時間の長さよりも質が大切 という話からは、学校の授業時間なども同じだと考えました。 ただ年間1000時間の授業をしているだけではダメ、大事なのは質。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
きちんとしたエピデンスをもとに書かれているので信用できるし、文章が論文っぽくなくて読みやすかった。 3歳半の息子の反抗(癇癪を起して母親に暴力)に悩んでいる。愛情が足りないのではないか、仕事で一緒に時間をもっと作らないともっとひどいことになるのでは、育て方やしつけを間違ってるのではないか・・・など。多少解決のヒントになることがあり、助かった。 読了後思ったのは、けしてひとくくりで語れる計れるものではないから受容の幅をただ広くもっておこうと思ったのと、人の成育歴に偏見・固執しないようにしよう、と思った。体罰はいいことなしでダメ、絶対。 イヤイヤ期に悩むのは万国共通。反抗は成長のあかしで喜ばしいこと、特に愛情を求める人に反抗の矛先がいきやすい。 こうやってみんなが悩む”イヤイヤ期”で頭を悩ませているのも、また育児イベントの1つなのかもしれない(^^) 以下、参考になったこと。 友達型(同年代と付き合うのがうまい)と母親型(年上と相性が良い) 人間関係の個性がある。優劣はない。得手不得手の場面がそれぞれあるということ。 幼稚園とかで有利なのは友達型である。母親型には、接し方のアドバイスや補助があるといい。ex)仲間遊びの上手なこどもが遊んでいるのを見物させたり、小さいグループの活動に誘ってみたり、仲間遊びが得意なこどもと遊ばせたり、「入れて、といってごらん」というように少し手助けする。 母親は子供が付き合う大多数のうちの一人にすぎない。子育てを一人で背負うのではなく肩の力をもっと抜く。幼児といえども自己を持つ独立した人間である。 親子間でも気あう気あわないもあるし、親自身も育て方に自信がある人なんていない。 育児は手間暇がかかる。この手間暇かかる乳幼児の養護を「社会も引きうけよう」として発展してきたのが保育園や幼稚園などの保育施設。これは人間の知恵。 育児不安をもっとも強く感じるのが専業主婦。こどもにはおとなによるあたたかい用語が必要だが、子育てはそれが母親であれ父親であれ、専業で引き受けるべき作業ではないことが実証的に明らかになってきた。こどもがかわいくても、世間から切り離されて家事・育児の作業を繰り返す毎日では、親の生活の質が保てない。 HOME と呼ばれる家庭環境の測定法。p148 子育て環境チェックリスト =点数がよいと発達が良いことが報告されている。 保育園に預ける時間が長時間になることでただちに発達に問題ある影響を与えない。が、保育の質が悪く、保育されている子供の数が多いと、問題行動の出現頻度が増える。=教育施設を吟味・選択する必要はある。 常勤の母であっても、週末の短い接触(必要な世話ではなく、外出・遊び)によって分離による影響が相殺されている。短時間の濃密な交渉によって、平日の交渉の少なさが取り戻せる。 相対的はく奪の項目チェックリスト 乳幼児の養育環境必須リスト
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1年かけて子育て入門を書いていたので、その締めくくりのつもりで読んだけれど、特に真新しい話はなかったような。唯一分かったことは、ヘックマンの「幼児教育の経済学」で取り上げられている研究、したがって中室牧子著「学力の経済学」にもつながるのでしょうが、この研究は古くて具体的にどういう...
1年かけて子育て入門を書いていたので、その締めくくりのつもりで読んだけれど、特に真新しい話はなかったような。唯一分かったことは、ヘックマンの「幼児教育の経済学」で取り上げられている研究、したがって中室牧子著「学力の経済学」にもつながるのでしょうが、この研究は古くて具体的にどういう教育を施したのかがはっきりしないという点だ。専門家から見てもそうなんだ。古市憲寿著「保育園義務教育化」から続けて3冊読んで肩すかしをくらっていたから、ちょっとすっきりした。それに、一時の幼児教育の影響だけではなく、その後の親の教育方針にも影響があったのだろうという著者の考えには賛成できる。いずれにせよ子どもの安全基地はなにも産みの母親でなければいけないわけではないということ。そのことはもうはっきりしているのだ。子育てにしろ、教育にしろ、こうすればああなるという原因と結果が一直線につながるようなものではないわけで、いろんなことを考えながら、失敗もしながら、試行錯誤していくしかないのだろうな。うまくいかないのが子育てだもんな。
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子育てについて書く術的な見地から巷に出回る通説を解説して必要に応じて批判をしていく。冒頭では、いわゆる愛着についての議論が交わされ、世間で流布している母親の役割についての絶対性が覆される。著者が学者と言うこともあり非常にエビデンス及び実験に依拠した解説がなされており信頼性が高いと...
子育てについて書く術的な見地から巷に出回る通説を解説して必要に応じて批判をしていく。冒頭では、いわゆる愛着についての議論が交わされ、世間で流布している母親の役割についての絶対性が覆される。著者が学者と言うこともあり非常にエビデンス及び実験に依拠した解説がなされており信頼性が高いと感じる。学術的に非常に真摯な態度で解説された本であるため、断定的な言葉遣いは少なくそれが物足りないと感じる人もいるかもしれないが、そんな本であるからこそ結論としてある程度示させる内容については非常に信頼がおけると言える。 また本の後半では、いわゆる保育の利用についての考察がなされる年に子供の人権及び客体等に関する知見が述べられる。結論はとてもその取りたいと肯定をできるようなもので、子育ての当事者または少なくとも何らかの関心があるのであればいちどは読んでみることをお勧めする。
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