警察庁長官狙撃事件 の商品レビュー
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1995年の警察庁長官狙撃事件の「真犯人」と目される老テロリスト・中村泰については、すでに他の文献、特に鹿島圭介『警察庁長官を撃った男』(新潮文庫、2012年)が、別件で服役中の本人とのコンタクトや、アメリカ由来の武器入手ルート、警察上層部による握り潰しも含めて詳細を明らかにし...
1995年の警察庁長官狙撃事件の「真犯人」と目される老テロリスト・中村泰については、すでに他の文献、特に鹿島圭介『警察庁長官を撃った男』(新潮文庫、2012年)が、別件で服役中の本人とのコンタクトや、アメリカ由来の武器入手ルート、警察上層部による握り潰しも含めて詳細を明らかにしており、本書の前半は基本的に既知の事実を追認するだけになっている。アカデミズムでは「先行研究」に必ず言及しなければならないのに対し、ジャーナリズムではそうした慣習がないことは知っているが、本書の取材を始めたのが鹿島の著作が上梓された後(2014年)である以上、あたかも「はじめて知りました」というような筆致に違和感は拭えない(「盗作」との誹りを免れない)。 本書オリジナルの内容は、これまで詳細が不明だった中村の「共犯者」を明確に特定したことだが、この件に関しては著者らがもたらした中村の書簡を元に、定年間際だった警視庁の担当捜査官が「再捜査」した結果として行き着いている。公訴時効が成立しているとはいえ、このプロセスは報道倫理・取材倫理上グレーゾーンと考えられ、「取材情報」と「捜査情報」の共有がどこまで許されるのか、危うさを含んでいる。大きなスクープではあるのだが、総じてモヤモヤしたものが残るノンフィクションだった。
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知られざる日本の歴史や普段自分が関わることがない、または、一生知り得ないような世界を垣間見ることができた。
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1995年に起きた國松警察庁長官狙撃事件の真相を追ったドキュメンタリーである。真犯人として想定されているのはすでに別の著者の手でも描かれている老スナイパー・中村泰(なかむらひろし)。内容のほとんどは少し前に著された元警視庁刑事の原雄一(『宿命 警視庁長官狙撃事件捜査第一課元刑事...
1995年に起きた國松警察庁長官狙撃事件の真相を追ったドキュメンタリーである。真犯人として想定されているのはすでに別の著者の手でも描かれている老スナイパー・中村泰(なかむらひろし)。内容のほとんどは少し前に著された元警視庁刑事の原雄一(『宿命 警視庁長官狙撃事件捜査第一課元刑事の23年』)と同じであるが、原氏が警察官のため秘密保持に縛られて書けなかったところを大胆に書ききっている点が貴重だ。加えて原氏のほうでボカされていた中村の同志 “ハヤシ”の正体についても書かれている。
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