漫画ひりひり の商品レビュー
漫画家を目指し葛藤する若者たち。上手く、綺麗に仕上げていくことが目標でなく、どのように個性を表現して、読者の共感を得ることが出来るのか。自分らしさとは何かに気づいた時、若者は前へと一歩進むことが出来る。 惹きつけられました。素晴らしい。一気に読んでしまいました。
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漫画家になれる人は、きっと一握りだろう。なるまでの苦労も、なってからの苦労も、一般的に想像できる範囲でした。 その中で 滝先生の言葉が、印象深く残っています。 入学時の生徒への言葉。 先生を見下げている生徒への言葉。 生徒が手応えのあるネームを持ってきた時の言葉。 自身のアシスタントのこと。 学校を辞める時の挨拶。 30年後に会った時の会話。 どれも飾りのない、本心を語っている。 これらの言葉に触れることが出来て、良かった。
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少しずつ読み進めようと思っていたのに、結局2日で読み終えてしまった。それだけの力が、この物語にはある。 主人公は漫画の神様・手塚治虫に憧れ、漫画の専門学校に入学する細川歩。 そこで漫画家でもある滝先生、黒田、宇治山というクラスメイトたちと出会い、関わっていくことで彼の人生は動き...
少しずつ読み進めようと思っていたのに、結局2日で読み終えてしまった。それだけの力が、この物語にはある。 主人公は漫画の神様・手塚治虫に憧れ、漫画の専門学校に入学する細川歩。 そこで漫画家でもある滝先生、黒田、宇治山というクラスメイトたちと出会い、関わっていくことで彼の人生は動き出す――。 小説だけど、まるで少年漫画みたいな胸熱な展開。作者の風カオルさんも漫画家を目指されていた、とのことで持ち込みの場面などはとにかくリアリティがある。 何より登場人物のキャラが立っていて、実写化にすごく向いているお話だと思う。 漫画家になるという夢を叶えるために、投稿作を完成させて出版社の賞に応募する。それは一見、当たり前のことのように思えるけれど、ちっとも当たり前なんかじゃない。 たとえ自分の作品をけちょんけちょんに否定されたとしても、そこで腐らず、自分の伝えたい想いを新たな作品に託す。そして何作でも、そういう思いのこもった作品を描き続けられる人だけが、夢を叶えられるのだと思った。 個人的には、黒田や佳奈さんの心情が痛いほどわかって胸が苦しかった。漫画を好きでい続けるために、諦める。まさに『漫画ひりひり』だと。 夢に敗れても、夢が叶っても人生は続く。 平成という時代がもう少しで終わる今、このお話を読めてよかった。 ブクログさんの献本企画で頂きました。宝物のような本がまた増えました。本当にありがとうございました。
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漫画家を目指す少年の青春ストーリー。 主人公の年齢が私と一緒なので時代背景などがとても共感できます。 読みやすくてあっという間に読んでしまいました。
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1989年の2月9日、手塚治虫が亡くなった日に細川歩は大分県の専門学校の漫画コースの面接を受ける。平成が始まった頃の漫画家志望の青年たち3人の群像を、テンポよく描いた小説である。当然ラストの場面は、平成31年の2月9日前後になる。 私は漫画家になりたかった。細川歩は18歳で漫画...
1989年の2月9日、手塚治虫が亡くなった日に細川歩は大分県の専門学校の漫画コースの面接を受ける。平成が始まった頃の漫画家志望の青年たち3人の群像を、テンポよく描いた小説である。当然ラストの場面は、平成31年の2月9日前後になる。 私は漫画家になりたかった。細川歩は18歳で漫画家を志したけど、私は18歳前後で諦めた。ジャンプで鳥山明の連載が始まって、私には才能はないと早々に思ったからだ。実はそのあとマンガ編集者になりたいと思って、その頃の(私基準の)主要連載漫画約100作品を全て(立ち読みや喫茶店で)チェックするという事も4年以上は続けていたけど、いつしかその習慣もなくなった。平成元年のこの年、『ドラゴンボール』『寄生獣』こそはチェックしていたが『ベルセルク』『SLAM DUNK』『幽☆遊☆白書』は、もう読む事もなかった。だから、漫画家志望青年たちの夢も挫折もいろいろと共感する。だから、漫画家志望青年たちの技術の高さやマーケット感覚を重視する姿勢には、それよりも大切なことがある、とつい思ってしまう。 漫画を好きでいるためにけじめをつける。佳奈さんもそうだった。みんな漫画が好きで、それだけはどうにもならなくて、ちがう道を歩き出す。(180p) そうなんです。好きだから嫌いでいたくない。だから諦める。だから私も時々傑作に出会いたくて、未だいくつかの漫画をチェックしている。漫画が大好きだから。「ひりひり」するような痛さと心地良さと。 細川歩くんは、たった一年で劇的に変化する。細川歩くんも「それよりも大切なこと」を未熟ながら掴む。大分という東京から見たら田舎の、小さな専門学校という普通成功しないところで、それでも此処は日本なんだ、才能は開花するのだ、というメッセージがとても気持ちよかった。 2019年4月10日読了
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