青が破れる の商品レビュー
不安定な心を不安定な文章で表現させているんだろう。熱を持てず大事なヒトとの接すればいいかも変わらない青年の葛藤劇。
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上手く表現できないけどすごく好きな作品でした。 尾崎世界観さんとの対談で 「読んでいて創造力が膨らむのは、曖昧さ、つまり隙間があるもの」と町屋さんは仰ってた。 まさにそんな作品。 登場人物、特に男女の関係性や人間性が、曖昧に書かれた上で3人は死という結末に至った。 「なんでハルオや夏澄さんは死んだんだろう?」、「とう子さんはどういう気持ちで最後を迎えたんだろう…」って創造できる隙間になっていると感じる。
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青が破れる とうこさんの言っていることがあまり理解できなかった というところにすごく共感した。 この小説についてはっきりとしたことはわからないけど、人に関心があるようで、人に関心がないようで、距離の測り方の曖昧さとか、そんな空気感が気になる 時間をおいて考えたい。好きな小説です。 脱皮ボーイ やばい!全然違う!本当に同じ人が書いてんのか! 読書 こと恋愛における別離の感覚とか、夏の描写とか すごく自分にとって身近で読んでいてキュッとなったし、温かくもなった。この話が1番好きかもしれない。青が破れるは悲しい。
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短編3話と特別収録マンガ、尾崎世界観との対談が併録。「不安」を「ふあん」と平仮名が多様され読みづらさはあったが、それがかえって淡々とした日常を表現しているようだった。自分も頭の中で考えている事は大抵平仮名だし。
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町屋良平は初読みの作家で、非常に読みやすいという前評判通り、読みやすい作品であった。しかしながら時折り、唸る様な文体が出てくる。これが才能なのか?と思ってしまう。話としては特に没頭するほどでもなかったが、また違う作品を読んでみよう。
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体の痛みと心の痛みは繋がっているのだろうか。 町屋さんの著作を読むと、そういうことを考えます。 梅生が言う、「なにがわかる」「他人に関心のあるひとのかなしみを、他人に関心のないひとのかなしみを」という言葉。 秋吉はそれがわからないけれど、だから安らぐのだとも梅生は言います。 曖昧...
体の痛みと心の痛みは繋がっているのだろうか。 町屋さんの著作を読むと、そういうことを考えます。 梅生が言う、「なにがわかる」「他人に関心のあるひとのかなしみを、他人に関心のないひとのかなしみを」という言葉。 秋吉はそれがわからないけれど、だから安らぐのだとも梅生は言います。 曖昧でモヤモヤして、いい加減で恥ずかしい。優越感で安心したり、優しさで絶望したりする。 そんな感覚を、こういうふうに小説にしてくれることに救いを見出したりしています。
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心や気持ちの置きどころ、ゆさぶり その中で手探りまたはあえて手探らない 登場人物への自らの弱さの投影 けっきょく日々はつづくだけ
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“何かをかんじそうになったら、走るしかない” 衝動、動機はいろいろあるけど誰しも頭の中がぐちゃぐちゃになって、それでも何かしないといけない。 そんな瞬間があるなーということを読んでいて強く感じました。 主人公にあたる秋吉は些細なことまで”思考”してしまう、いわゆる考えすぎてしまう節があって行動できない、そんな自分が嫌になる。程度は違うけど自分にもたまにそんなことがあるなーと感情移入してしまいました。 対照ににするべきことを、するべきタイミングで行動に移せるハルオや梅生が秋吉と同じく羨ましい気持ちで眺めていたけど、小説のラストそんな2人にも抱えているものがあって、当たり前だけど誰しも大小の悩みや苦しみを持っていることに気付かされました。 ひらがなが多く使われていたりしていて、少し読みづらい印象もあったけど、それが敢えて人の心の難しさを小説という文章から伝えてくれていたのかなと読み終わってから思いました。
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表題作の「青が破れる」に「脱皮ボーイ」「読書」の短編、さらに「青が破れる」のマンガ、尾崎世界観との対談も併録された短編集。 何はともあれ、「青が破れる」である。文庫の紹介文に文藝賞の際の評価なんだろうけど、藤沢周、保坂和志、町田康が絶賛したこともわかる佳作。 文章の長短、リズムの...
表題作の「青が破れる」に「脱皮ボーイ」「読書」の短編、さらに「青が破れる」のマンガ、尾崎世界観との対談も併録された短編集。 何はともあれ、「青が破れる」である。文庫の紹介文に文藝賞の際の評価なんだろうけど、藤沢周、保坂和志、町田康が絶賛したこともわかる佳作。 文章の長短、リズムの変化、淡々とした描写など、作者が小説を使って新たな表現というか体験を描こうと模索していることがよくわかる。それは例えば次のような文章に表れていると思う。 「ハルオの彼女は、「ボクシングやってるの?」とはいわなかった。/「はー、空がたっかー」/といった。」 「夏澄さんに/・・・・・・ きて/とまたいわれ、夏澄さんちにいく。午前十時。/着いた瞬間に、「よかった。はやくきてくれて、ありがとう。留守番お願い」といわれた。鍵を摑んだまま、玄関の前に立ち塞がるように待っていた。/夏澄さんに「ありがとう」なんていわれるのは、初めてのようなきがした。」 ひとつ目は表紙にも引用されているので印象的だけど、二つ目は適当にページを開いて目についたものの引用だ。まあ、全体的にこんな感じで終始文章を味わいながら読ませてもらった。 短編「脱皮ボーイ」「読書」は「青が破れる」とはまた少し文章のテイストが異なる。「読書」は古井由吉や松浦寿輝を思い出させた。 芥川賞受賞作も読んでみたいと思った。
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ボクサー志望の「おれ」(秋吉)、友人のハルオ、その彼女で難病のとう子、秋吉の不倫相手の夏澄、ボクサー仲間の梅生・・・。徐々に死に向かっていくのだけれど、独特なひらがなと漢字の混じり合いの文体に、柔らかさも感じました。そこが救いかも。 彼らのギリギリのところで生きている緊張感や精神の危うさを感じながら、こういう気持ちって身体的な経験でなくても精神的な経験として誰もが通っていく過程なのかもしれない。 とう子の「空たっかー」という一言が忘れられない。こういう作品好きです。
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