中野京子と読み解く 運命の絵 の商品レビュー
2021年下半期の一冊目はこちら。 さまざまな名画に秘められた謎を解いていく一冊。 下記、読書メモ。 (気になった作品の章だけ読んでます) ・マネ「フォリーベルジェールのバー」 マネはこの作品を制作中、梅毒が悪化して病と戦っていた。 一見写実描写だがありえない位置にヒロイン...
2021年下半期の一冊目はこちら。 さまざまな名画に秘められた謎を解いていく一冊。 下記、読書メモ。 (気になった作品の章だけ読んでます) ・マネ「フォリーベルジェールのバー」 マネはこの作品を制作中、梅毒が悪化して病と戦っていた。 一見写実描写だがありえない位置にヒロインの後ろ姿があったり、真摯と向き合っているはずのヒロインとの目線と合っていない。酒びんと鏡映が一致しない。数々のイリュージョンが不思議と気持ち悪くない。 ・ブリューゲル「雪中の狩人」 「ブリューゲルの作品の命は細部に宿る」と言われるようだ。確かに、著者の文章に沿って絵を追っていくと面白い。 「それぞれの生活や喜怒哀楽を語りかけられた気がする。つぶやきが画面のあちらこちらから聞こえてくるのだ」と。 狩人が犬たちを引き連れて山道を下る場面だが、遠近の風景の細かい部分にも、確かに惹きつけられる。スケート大国オランダだけあって、スケートに興じる人々の姿にも眼を奪われる。(確かにパシュートっぽいのをしてる子達もいる!) ブリューゲルの絵、結構好きなんだよな。もっと他の絵も見てみたくなった。 ・ポールゴーギャン「我々はどこから来たのか我々は何者か我々はどこへ行くのか」 周りの人とのトラブルが絶えず、ゴッホとの共同生活でも上手くいかなかった。 47歳の頃14歳の娘を現地妻にして子供を産ませたり、身勝手でとっちらかっていた人生だった。この絵が左右に断絶されたところも、彼の奇妙な人生をよく映している。 ゴーギャンの人間性も絵も、個人的にはあまり好きな方じゃないんだけど、彼の作品からは強烈な個性は感じてしまう。 ・ターナー「戦艦テメレール号」 イギリス人が選ぶナンバーワン絵画と言われている。 印象派を先取りした画家。私も好きな画家です。 モヤがかかった不明瞭な形態と不思議な色彩感覚がターナーの独特な世界観。 沈む夕陽の表現がとても綺麗。 中野京子さんは、西洋文化史家でもある。「怖い絵」シリーズで有名。こちらのシリーズも今度読んでみよう。
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相変わらず面白い! 今はコロナ禍でなかなか海外に行けないが、行けるようになったらこの本に紹介されている絵画を見に行きたい。
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絵画に秘められた<運命>を紐解くシリ-ズの第2弾は、迫力ある絵画32点の謎に迫っています。パリのミュ-ジックホールに働く女給をモデルにしたモネ晩年の大作『フォリ-・ベルジェ-ルのバ-』の煌びやかに隠れた人生の鬱積、ペスト蔓延し罹患したフランス兵を見舞っているジャン・グロ作『ヤッフ...
絵画に秘められた<運命>を紐解くシリ-ズの第2弾は、迫力ある絵画32点の謎に迫っています。パリのミュ-ジックホールに働く女給をモデルにしたモネ晩年の大作『フォリ-・ベルジェ-ルのバ-』の煌びやかに隠れた人生の鬱積、ペスト蔓延し罹患したフランス兵を見舞っているジャン・グロ作『ヤッファのペスト患者を見舞うナポレオン』、トラファルガ-海戦で獅子奮迅の働きをした帆船が、廃船のため夕陽を背景に曳航されるターナ-作『戦艦テメレ-ル号』など、世紀の名画が語りかける<運命>の歯車から、もう逃れられません。
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“表現者になるため生まれてきた”と“荒々しい馬市”が好き。美術史も決して女性差別と無縁ではないが、それでも自身の才能を信じ、強い意志で自分の望む道を切り開いた女性たちに敬服する。
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強い、パワー漲る女の人がたくさん出てきた気がする(笑)オールカラーで解説もわかりやすい。世界史など時代背景は簡略化されてるので歴史を深く学びたい人には物足りないかも。絵の解説をサクサク楽しく読みたい人にオススメ。
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サブタイトルいる? 内容はいつも通り、画家や絵画のあらましを丁寧にかつ軽快に語っている。ほぼほぼ有名どころの画家ばかりなので、初見はあんまりいなかったのが残念(ヴェルネとムンカーチくらいか)。 とはいえ、絵画の方を知らなかったのは結構あるもんで。ワッツはもっとも有名な『希望』しか...
サブタイトルいる? 内容はいつも通り、画家や絵画のあらましを丁寧にかつ軽快に語っている。ほぼほぼ有名どころの画家ばかりなので、初見はあんまりいなかったのが残念(ヴェルネとムンカーチくらいか)。 とはいえ、絵画の方を知らなかったのは結構あるもんで。ワッツはもっとも有名な『希望』しか覚えがなく、こんな華やかな絵もあるんだと驚いた。
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時代背景がしっかり読める本。以前、グリューネワルトの祭壇画のときもあったが、もし自分がこの時代に生きていたら、という文章で読み手を当時の絵画鑑賞者にしていく手法が好きだ。
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中野京子氏の本をいろいろ読みましたが。この本の絵が一番鮮明で読みやすかったような気がします。 絵画と神話が密接であることが理解できる一冊でした。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
読書記録です。まだの人は読まないでね。 「若さと綺麗な顔だけを武器に」「車輪は廻り続ける」フォルトゥナの瞳は盲目って初めて知った!「生還できるか」「日比谷公園との関係」銅像観てみたい「駄犬じゃけぇ」「遺書になりそこねた大作」ゴーギャンの我々はどこから来たのか…ダン・ブラウンの「オリジン」「死びとは駆けるのが速い」「敗戦の将をいたわる」「表現者になるため生まれてきた」「聖書を破り捨てて」「大金持ちのゴミ屋敷」「若き英雄の誕生」「老兵はただ消えるのみ」戦艦テメレール号「久米仙人との違い」聖アントニウスの誘惑…しっぽを持つ宙に浮かんだ女性の謎が解けた!「胸が塞がる物語」ギリシア神話の絵。絵だけで解説がなかったら、マルシュアスが気の毒すぎるってぜったいわからないし。「女神とイージス艦」ゼウスがアテナに贈ったアイギス(胸当て、ケープ型の短い甲冑)の英語読みがイージス「荒々しい馬市」 このキーワードで、どれだけの絵の解説を思い出せるかしら、私(^_^;)
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【収録作品】若さと綺麗な顔だけを武器に/車輪は廻り続ける/生還できるか/日比谷公園との関係/駄犬じゃけえ……/遺書になりそこねた大作/死びとは駆けるのが速い/敗戦の将をいたわる/表現者になるため生まれてきた/聖書を破り捨てて/大金持ちのゴミ屋敷/若き英雄の誕生/老兵はただ消え去る...
【収録作品】若さと綺麗な顔だけを武器に/車輪は廻り続ける/生還できるか/日比谷公園との関係/駄犬じゃけえ……/遺書になりそこねた大作/死びとは駆けるのが速い/敗戦の将をいたわる/表現者になるため生まれてきた/聖書を破り捨てて/大金持ちのゴミ屋敷/若き英雄の誕生/老兵はただ消え去るのみ/久米仙人との違い/胸塞がる物語/女神とイージス艦/荒々しい馬市
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