「鬼畜」の家 の商品レビュー
正直、オススメして良いのか迷う本だ。 著者は行動力も取材力も高く、この本を書こうと思い立った動機は裁判に納得いかないという正義感なのだから、内容としても素晴らしい。冒頭の所感は、そうではなくて、本の題材と取り扱われる人たちだ。次元が違う。視野を広げておくには良いが、残酷で救いが...
正直、オススメして良いのか迷う本だ。 著者は行動力も取材力も高く、この本を書こうと思い立った動機は裁判に納得いかないという正義感なのだから、内容としても素晴らしい。冒頭の所感は、そうではなくて、本の題材と取り扱われる人たちだ。次元が違う。視野を広げておくには良いが、残酷で救いがなさ過ぎて気持ち悪くなる。人間の多様性とは、こういう人たちが存在する、という事も意味するのだろう。 こういうことを書いてよいのかわからないが、恐らく、境界領域なのだろう。求められれば直ぐに身体を許してしまう女性。避妊しないことも許容し、その度に懐妊するが、一人で産んでは殺してしまう。それを隠して、日常を送る。他にも、ゲージの中で子供を飼育する親。部屋に閉じ込めてそのまま外出したきり、帰宅すると亡くなっていたわが子をそのまま放置。信じられないような世界がここにある。 境界領域では、という若干タブーっぽいことを書いた。しかし、それ以上に、これは私はとても残酷な記述だと思うが、著者が述べたことを引く。 ー いずれも犯人を育てた親が大きな問題を抱え、子供たちを虐待、もしくはそれに近い環境に置いていた。犯人たちは生まれつきのモンスターだったわけではなく、彼らの親こそがモンスターだったのだ。そういう意味では、犯人たちは幼少期からモンスターである親の言動に翻弄され、悩み苦しみ、人格から常識までをねじ曲げられたまま成人したと言えるだろう。愛情が何なのか、家族が何なのか、命の重みが何なのかを考える機会さえ与えられてこなかった。だからこそ、彼らが親となった時、「愛している」と言いながら、わが子を虐待し、命を奪ってしまうことになる。 残酷だと思うのは、この代名詞の「親」と「子供たち」とは誰かである。殺人犯としての親は、自分自身も家族に虐待されて育ったというのだ。だから人格も常識もねじ曲がって成人したのだと。ここで言っているのは、結局、虐待は連鎖する、という事。罪のない子供が殺される事に嫌悪感を覚える自分がいるが、殺されなくても、その子が虐待のサイクルを繰り返しかねないという極めて危うい発言である。つまり、その子供は既に詰んでいる。犯罪者の子供は犯罪者だ、と切って捨てる、行き場のない世の中なのだろうか。綺麗ごとばかり言ってられないが、考えなければならない。
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「鬼畜」にも鬼畜なりの生い立ちや人生がある。自分の子の命を奪うことは許されることではないが、そこに至った経緯などは丁寧に聞いていかないと、鬼畜という言葉だけで片付けてはいけない。
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鬼畜っていうか、当の本人らは、子を愛してるとの認識か… 何か、ゴソッと何かが抜けてる… 常識というか、ごく普通に思える事がそう思えない… ここでは、3件の事件を追っているけど、共通してるのが、それ。 作者は、その原因を事件を起こした親達の育てられ方が、このような子育て出来ない親...
鬼畜っていうか、当の本人らは、子を愛してるとの認識か… 何か、ゴソッと何かが抜けてる… 常識というか、ごく普通に思える事がそう思えない… ここでは、3件の事件を追っているけど、共通してるのが、それ。 作者は、その原因を事件を起こした親達の育てられ方が、このような子育て出来ない親達(多分、子育てだけやないんやろうな)を生んだと考えてそう。(あくまで、私が読んで思った事なんで、本当かどうか分かりません。) 劣悪な環境で、生まれた時から、育って来たら、表面上は普通でも、何かが抜けるもんなんかな… それは、親から自分を守る為の防衛本能みたいな… だからと言って、そんな事を理由に事件を正当化出来る訳やないし、親ガチャとかで安易に片付けられる問題やないし… こういうのって、個人とかやなく、もっと大きなもので防いでいかなあかんものなのは分かる。社会全体として。 でも、それには時間がかかるし、今今、こういう事件が増えてる中、それを待ってられんのも確かなんやけど… 難しい… せめて、自身は、そういう事を起こさないように自戒するしかないのか… 難しい…
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読むのがただただ辛かった ケーキを切れない非行少年たちと一緒に読むと思うところがより大きいと感じました。 このような家庭で育った子供も、もしかしたら将来こういったレベルではなくともうまく家庭関係を作れないという事態は起こりうるわけで、万が一そうなったときには責められる側にいつのま...
読むのがただただ辛かった ケーキを切れない非行少年たちと一緒に読むと思うところがより大きいと感じました。 このような家庭で育った子供も、もしかしたら将来こういったレベルではなくともうまく家庭関係を作れないという事態は起こりうるわけで、万が一そうなったときには責められる側にいつのまにか変わってしまうわけで。そうならないことを祈り、そうならないための公助が必要と切に思いました。 親自体は如何ともしがたいというのが率直な印象ですが、言い方は難しいですし冷たいようですが親と引き離して適切な環境を提供できる制度は必要な気がしている。共助の範囲で力になれることがあればしたいと思いました。
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ものすごい情報量。私には受け止めきれないようなことも沢山あって、著者が取材にかけた労力たるや、相当なものだと思う。 虐待の連鎖については既に広く知られるところではあるけれど、ここまで畳みかけられると、もはや子供の虐待死は、現代社会における自然淘汰なのではないかとさえ考えそうになっ...
ものすごい情報量。私には受け止めきれないようなことも沢山あって、著者が取材にかけた労力たるや、相当なものだと思う。 虐待の連鎖については既に広く知られるところではあるけれど、ここまで畳みかけられると、もはや子供の虐待死は、現代社会における自然淘汰なのではないかとさえ考えそうになってしまう。 どんなに子供が欲しくても授からない人だっているのに、どうしてこんなにままならないのだろう。 養子縁組の仕組みがもっと機能的に働くようになればいいと思うんだけど、戸籍制度と親和性が低いので道のりは遠そうですね…
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読み進めるのがとにかく辛い。 虐待や貧困、ネグレクトのあまりにも残酷な連鎖。一番弱くて脆い所へしわ寄せがいく社会の現実。数分のニュースをたまたま見て「酷いな、こんな奴ら人間じゃないよ」と一言呟いて懲罰感情を発露させるのは簡単だが、その事件の背後に隠れている悲惨で辛い物語に直面させ...
読み進めるのがとにかく辛い。 虐待や貧困、ネグレクトのあまりにも残酷な連鎖。一番弱くて脆い所へしわ寄せがいく社会の現実。数分のニュースをたまたま見て「酷いな、こんな奴ら人間じゃないよ」と一言呟いて懲罰感情を発露させるのは簡単だが、その事件の背後に隠れている悲惨で辛い物語に直面させられると、もうまったく他人事とは思えなくなる。私がいわゆる“普通の家庭”に生まれて虐待とは無縁に育ってきたのはたまたま幸運だっただけではないか。 加害者の人生を丁寧に辿りながらも、決して過度に寄り添わず距離を保つ書きぶりが余計に読者の感情に「あなたはどう感じるか?」と問いかけてくるようで良かった。
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これまでに読んだ虐待のルポの中では、読みやすい部類に入った。なぜなら、著者が事実を述べながらも、そこに変な感情移入や考えの押し付けがなかったからだと感じる。私がこれまでに読んできた類書には、正義感があるがゆえに視野が偏重かつ偏狭になっているのでは? と感じるものが多々あった。それ...
これまでに読んだ虐待のルポの中では、読みやすい部類に入った。なぜなら、著者が事実を述べながらも、そこに変な感情移入や考えの押し付けがなかったからだと感じる。私がこれまでに読んできた類書には、正義感があるがゆえに視野が偏重かつ偏狭になっているのでは? と感じるものが多々あった。それが、この本にはほとんどなかった。 こういうルポライターが、精神医学をもっと深く理解したら、色々なものが見えてくるのではないだろうか。 とても読みやすかった。 いい本だと思う。
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実際に起こった3件の幼児殺害事件を追ったノンフィクション。メディアでは、幼児殺害や虐待は親の管理不足などと短絡的に片付けがちだが、その背景には精神的問題と貧困の連鎖など様々であることが本書を読んでわかった。
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「愛していた」「私なりに」 3つの実親による子供の虐待事件につき、筆者なりにあらゆる角度から調査。 通常であればメディアを通してしか知れない事件を、加害者の生い立ちや証言を通じて別面から知れる。いつもながら新しい一面を見せてくれる著書でした。 社会の価値観からすれば異常と...
「愛していた」「私なりに」 3つの実親による子供の虐待事件につき、筆者なりにあらゆる角度から調査。 通常であればメディアを通してしか知れない事件を、加害者の生い立ちや証言を通じて別面から知れる。いつもながら新しい一面を見せてくれる著書でした。 社会の価値観からすれば異常とも思える行為は、加害者からすれば大したことではなく、このズレが事件や犯罪性を産む。 なぜこのズレが生じたかは、本によれば加害者の育てられ方の影響がかなり出ていると思われ、それが社会のルールと合わないがために裁かれる。 そういう意味では彼らも一種の被害者だと思いました。
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その幼さはどこから?結局はその親の幼少期に遡る。外部の支援者は被虐待者であり虐待者である精神発達の未熟な方に何ができる…
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