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ユダヤ人とユダヤ教 の商品レビュー

3.5

15件のお客様レビュー

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2021/07/23

一人の研究者の集大成が新書の形で手軽に手にとれることがありがたい。"ユダヤ人"と"ユダヤ教"について「歴史」「信仰」「学問」「社会」の4つの視座から著者がその膨大な知識を動員し新たなユダヤ人論・ユダヤ教論を描き切った一冊。巷間見られてきたユ...

一人の研究者の集大成が新書の形で手軽に手にとれることがありがたい。"ユダヤ人"と"ユダヤ教"について「歴史」「信仰」「学問」「社会」の4つの視座から著者がその膨大な知識を動員し新たなユダヤ人論・ユダヤ教論を描き切った一冊。巷間見られてきたユダヤ人・ユダヤ教の概念をバッサリ落として新たな概念を示しており、この分野の今後の基本書に位置づけられるであろう労作。しかし読めば読むほどやはりユダヤ人とユダヤ教の多面的な姿、そしてイスラエルという国家の有り様について改めて考えさせられている。

Posted byブクログ

2021/06/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 嫌韓とか嫌中とか、あらゆるものを十把一絡げに嫌い・反対と感情的に判断してしまう人がいます。子ども達にはよくよく、ああなってはいけない、物事は大抵多面的なもので、「全ての~」「あらゆる~」という言い方は大体間違いだから、と言い含めていました。  しかしながら、本作を読んで、自分がこれまでいかに自分が避けようと思っていた偏見に陥っていたのかを本作で思い知りました。それは私のユダヤ観です。  一般的なユダヤのイメージとはどんなものでしょうか。金持ち、流浪の民、陰謀、一神教、閉鎖的。私はこのようなイメージでした。  しかし、本書が描くユダヤ世界ははるかに色彩豊かなものでした。つまり、ユダヤと一言で纏めることができないくらい、宗派も出自もひいては考えも異なるようなのです。ナポレオン後に市民権を得たフランスのユダヤ人は、フランス国民としてのアイデンティティを持ち始めたとか(P39)、シオニズム運動は各国で同化して生きるユダヤ人にとっては「決して承服できる主張ではない。西欧の社会で生きる道を自ら閉ざす恐れを感じたからである」(P.90)とか。  これらはほんの一例ですが、ヨルダン近郊で始まり、アフリカ北部からスペイン・オランダ、ポーランド、アメリカと世界に広がったユダヤの民は、国民国家が主流の現在、実に多様な生き方、考えをしていることを改めて気づかされました。  もう一つ驚いたのはイエシヴァ(塾?)とタルムード(解釈書?)というシステムです。  タルムードで出色なのは、過去の時代の異なる高名なラビたちがあたかも時空を超えて対話をしているかのように編纂され、宗教書の教えに現実的具体性を持たせているところです。作中では子供の教育の件や「一日を三分割」して勤めを果たすという教えについて現実な対話・解釈の例が出ていました。  またこのタルムードが、ラビとの実際の対話によってより深く信者の心身に沁みわたっていったことは想像に難くありません。  おそらくこうした解釈が非常に現実的なのは、ユダヤの民が常に不安定な地位・身分であったため、可能な限り現実世界との折り合いを見出す必要があったからだと想像しています。私は引用されたいくつかの実例しか知りませんが、それだけでもこの宗教(民族?)の聖書に対する態度は真摯であると感じました。 ・・・  そもそも、私はユダヤとか陰謀論とかが結構好きで、幾つか読んでいました。ただ、表現が余りに激烈で胡散臭いと感じることもしばしばでした。そうして発生した次の疑問は「そもそもユダヤってなんなのよ」という事でした。本書は私のそうした疑問におおむね答えてくれたと思います。今の理解をもとにまた陰謀論の本を再読してみようと思います。また、名前だけは知っていたレヴィナスのことも、なるほどそういう人なのか、と出自を知ることができました。古本屋で安く売っていたら是非レヴィナスにも挑戦してみたいです。

Posted byブクログ

2019/08/03

参考になった。 まとまっており良い。現代、ユダヤ人の影響は大きいと思われた。 ユダヤ人とは何ものか、根っこのところがぼやけて昔過ぎて分からないのではないか。そこに触れられいない様に読めた。分かりにくい部分がある。

Posted byブクログ

2019/04/07

某所読書会課題図書.難しい! 見慣れない語句が頻出するので、メモ用紙があっと言う間に一杯になる.視点として、歴史、信仰、学問、社会を挙げていたが、信仰と学問の部分はあまり理解できなかった."歴史"はイスラム教との連動が特徴的だ."社会"では...

某所読書会課題図書.難しい! 見慣れない語句が頻出するので、メモ用紙があっと言う間に一杯になる.視点として、歴史、信仰、学問、社会を挙げていたが、信仰と学問の部分はあまり理解できなかった."歴史"はイスラム教との連動が特徴的だ."社会"では金融や商業に秀でた部分をうまく解説している.著者を含めて多くの日本人がユダヤ人とユダヤ教について研究していることに驚いた.

Posted byブクログ

2019/02/20

もともとホロコーストはユダヤ教の聖なる儀式の名前なのでそれをユダヤ人虐殺を指すことに反発がある、みたいな目から鱗が落ちる内容が多々あった。

Posted byブクログ