蠕動で渉れ、汚泥の川を の商品レビュー
この手の新たな職に就く話はいつも最初はうまくいくけど些細なことでいつもの「慊い」がはじまり、結局は後足で砂をかけるように罵詈雑言を並べて途方に暮れるという一言にすれば自業自得の話だけど、これは歯切れのいい言葉と勝手に岡惚れして傷ついて旅に出るというほぼワンパターンの『男はつらいよ...
この手の新たな職に就く話はいつも最初はうまくいくけど些細なことでいつもの「慊い」がはじまり、結局は後足で砂をかけるように罵詈雑言を並べて途方に暮れるという一言にすれば自業自得の話だけど、これは歯切れのいい言葉と勝手に岡惚れして傷ついて旅に出るというほぼワンパターンの『男はつらいよ』好きの自分には共通点が感じられるし、だからこそこれだけのめり込んでしまっているのだろう
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
島崎和歌子さんが出てませんが、マックのカウンター席の端っこで読んでたらゴリゴリの女子高生4人組が私の隣に座ってきて、ゴリゴリの女子高生の隣でこの本を読むのは何か法に触れるのではないかと怯えながら読みました。
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貫多住み込み編にして長編。 家賃未払いと性欲と口が達者な尊大な心持ちは他の話と変わらず。始めは超自我で抑制しているのが無理が祟って欲動が噴き出すのも同様である。 17歳という青春のボーナスタイムを空費した事、人が嫌がる様な自身の内面を透徹した描写は心に残った。 差別でもないが父親...
貫多住み込み編にして長編。 家賃未払いと性欲と口が達者な尊大な心持ちは他の話と変わらず。始めは超自我で抑制しているのが無理が祟って欲動が噴き出すのも同様である。 17歳という青春のボーナスタイムを空費した事、人が嫌がる様な自身の内面を透徹した描写は心に残った。 差別でもないが父親が性犯罪をしなかった場合の違う世界線の貫多はどの様な性格になったか気になるところではある。
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まず冒頭申し上げたいのは、西村賢太作品を相部屋の病室で読んではいけないということです。 思わず吹き出して、同室の患者に眉を顰められること必定。 笑いを堪えようとして咽たり咳込んだりし、事態が悪化することもしばしばです。 今回、大腸ポリープの摘出手術を受けるため1週間入院しています...
まず冒頭申し上げたいのは、西村賢太作品を相部屋の病室で読んではいけないということです。 思わず吹き出して、同室の患者に眉を顰められること必定。 笑いを堪えようとして咽たり咳込んだりし、事態が悪化することもしばしばです。 今回、大腸ポリープの摘出手術を受けるため1週間入院していますが、西村作品を持ち込んだことを軽く後悔しております。 それはさておき、本作は言わずと知れた「北町貫多」シリーズ。 貫多17歳、洋食屋でアルバイトをする青春の日々を描いています。 「青春」と書きましたが、貫多の青春は、一般にイメージされているものとは真逆のものです。 貫多は、小学5年のころに父が性犯罪で捕まり、母と姉と共に都内の別の土地へと逃げました。 その後、中卒で社会に出ると、港湾人足など重労働で糊口をしのぐ生活を送るのです。 しかし、まだまだ17歳。 自身初となる洋食屋でのアルバイトも順調です。 貫多はこう思います。 「確かに自分は〈青春の落伍者〉になりつつあるが、しかしながら、まだ〈人生の落伍者〉には至っていないのだ」 見上げた心意気ではないでしょうか。 不遇をかこつのではなく、むしろそれをバネにして自ら人生を切り開く――。 なんてことは、貫多に限っては一切ありません。 バイトで得た給金は酒と買淫に費消し、家賃は踏み倒し、金に困れば実家に戻って母から金をむしり取る。 自ら人生を切り開くどころか、職場その他で出会った年配の人たちを「人生の落伍者」と決めつけ、優越感を得て恬淡とする始末です。 それだけではありません、自分を棚に上げて、気に食わない人をとにかく悪し様に罵るのです。 何と下劣な品性の持ち主でしょう。 しかし、この下劣さこそが貫多の魅力として、私を含む多くの読者の心を捉えているのだから不思議です。 しかも、貫多の言い立てる悪態の痛快さといったら、もう中毒になります。 これだけ多くのファンがいるということは、恐らく私を含め、貫多のように自分にもっと正直に生きたい人が多いのだと思います。 蛇足ですが、西村賢太には珍しいエンタメ作品「悪夢――或いは『閉鎖されたレストランの話』」の着想は、この洋食屋で得たものなのだと本作を読んで知りました。 ちょっと感動した。
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自分にとって2作目の北町貫多モノ。以前読んだ"苦役列車"は救い様の無い物悲しさが漂っていた記憶だが、自分が貫多に慣れたためか、こちらは随所でクスッと笑ってしまう愛嬌ある作品。飲食店の見習いに潜り込んでも、変わらず"どうしようもない"貫多の姿...
自分にとって2作目の北町貫多モノ。以前読んだ"苦役列車"は救い様の無い物悲しさが漂っていた記憶だが、自分が貫多に慣れたためか、こちらは随所でクスッと笑ってしまう愛嬌ある作品。飲食店の見習いに潜り込んでも、変わらず"どうしようもない"貫多の姿には、人間のカルマを感じてしまう。
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西村賢太の作品は文庫本にして5〜6冊は読みましたが、この作品が1番勢いがあり、もはや疾走感とも言えるテンポで、悪行と自堕落の果てに破滅に向かって行くいつものストーリー。 内容はいつも通りの破滅型青春文学ですが 個人的には最高傑作だと思います。
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作者の私小説を読むのは数冊目 私小説だから、事実を元にしたフィクションだそうであるが どこまでほんまかいなと、いつも感じてしまう と、言うことは作者の術中にハマっているのだろうと思う 物語は毎度ひどい内容で、言い回しも下劣な感じ なのに、リズム感があって読んでいるのは楽しくて、...
作者の私小説を読むのは数冊目 私小説だから、事実を元にしたフィクションだそうであるが どこまでほんまかいなと、いつも感じてしまう と、言うことは作者の術中にハマっているのだろうと思う 物語は毎度ひどい内容で、言い回しも下劣な感じ なのに、リズム感があって読んでいるのは楽しくて、毎度一気読みしている You Tube の作者の動画があるので興味があれば見てほしいなと思う ← 誰に向けとるん???自分 内容はいっぱい他者が書かれているので、書かないけど 人生を簡単に諦める若者に読ませたい、どんな事があっても自分は自分で生きていくことが、来ていることが大事なんだと言われている、そこを感じてほしい。 乱読ジジイでした
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『苦役列車』『小銭を数える』に続いて。北町貫太セブンティーン、洋食屋での奮闘の日々。今回は長編ということもあり序盤はいささかかったるくもあった。読者としてはやはり貫太が暴虐の限りを尽くすのがオモロイわけで。洋食屋の仕事に慣れるにつれ、彼の本性が顕になり小狡いちょろまかしや淫行を重...
『苦役列車』『小銭を数える』に続いて。北町貫太セブンティーン、洋食屋での奮闘の日々。今回は長編ということもあり序盤はいささかかったるくもあった。読者としてはやはり貫太が暴虐の限りを尽くすのがオモロイわけで。洋食屋の仕事に慣れるにつれ、彼の本性が顕になり小狡いちょろまかしや淫行を重ねていくのはなんとも生々しい嫌らしさがある。バイトの小娘のスカートの匂いをこっそり嗅いで悪態を吐きまくる場面は大いに笑わせてもらった。
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私のブログ http://blog.livedoor.jp/funky_intelligence/archives/1994808.html から転載しています。 西村賢太作品の時系列はこちらをご覧ください。 http://blog.livedoor.jp/funky_inte...
私のブログ http://blog.livedoor.jp/funky_intelligence/archives/1994808.html から転載しています。 西村賢太作品の時系列はこちらをご覧ください。 http://blog.livedoor.jp/funky_intelligence/archives/1998219.html 本作品は、貫多が横浜の造園会社に勤務する前に東京で勤務した洋食店「自芳軒」での話。先輩や上司への毒付きあり、岡惚れあり、犯罪すれすれの行為ありと、安定の貫多が楽しめる。 かつての私(私も飲食店でのアルバイト経験が複数あり、似たようなことをしたり、思ったりした)と被ることもあり、その共感が西村賢太作品の面白さなのだろう。 二度目の感想 http://blog.livedoor.jp/funky_intelligence/archives/2007344.html 寛多が洋食屋で住込バイトする話。これも非常に中毒性のある作品。20代まで飲食店でアルバイトしていた経験のある私には特に堪らない。特にオーナーとの微妙な関係が絶妙。そしてオーナーの妻も。こういう奴たくさんいたなぁ、何て懐かしさを思い興させてくれる作品である。もっと多くの人に読まれるべき作品だと思う。
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びっくりするぐらい非モテダメ男の青春奮闘記 「彼は見た目は野良犬ながらも 、その根は余りにも貴族気質にでき過ぎてしまっていた 。そしてまた 、見た目は若きお菰風ながらも 、その根は余りにも坊っちゃん気質にでき過ぎてしまっていた 。」という文から伺えるように、主人公はとにかくプラ...
びっくりするぐらい非モテダメ男の青春奮闘記 「彼は見た目は野良犬ながらも 、その根は余りにも貴族気質にでき過ぎてしまっていた 。そしてまた 、見た目は若きお菰風ながらも 、その根は余りにも坊っちゃん気質にでき過ぎてしまっていた 。」という文から伺えるように、主人公はとにかくプライドが高くて、被害者意識の塊。バイト先の人間とか割とふらっとに見ているはずなのに、自分は馬鹿にされてる、疎まれてると思い込み暴虐な限りを尽くす。もう少し自己肯定感が高くて、他者に歩みよれば普通の関係性を築けるのにと思いながら読み進めていた。 でも、こういう北町貫多的な卑屈性は自分の中にも心辺りあるなと思い、深淵を覗いてると思ったら、自分の深淵の部分を見つめ直していた。 「確かに自分は 〈青春の落伍者 〉にはなりつつあるが 、しかしながら 、まだ 〈人生の落伍者 〉には至っていないのだ 。」という文がまた心に染みる。
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