砂子のなかより青き草 清少納言と中宮定子 の商品レビュー
宮木あや子の書く清少納言。 紫式部がすごい嫌な女に描かれていたけど、宮木あや子の書く紫式部も見てみたい。 しかし、呪詛ってホントに効くのかな……。 物語の中ではよく出てくるし、当時は効くものと信じられていたのだろうけど。
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いつもなら歴史小説は解明されている事実とは多少異なっていても物語だからと寧ろ楽しめるのだけど。 私の中でこの時代の人達のイメージが固まってしまっているせいか、伊周との関係性にもあれっと思ったけど、最後まで紫式部(と彰子)が悪役なのが気になった。本来はお互い面識はない筈なので違和感...
いつもなら歴史小説は解明されている事実とは多少異なっていても物語だからと寧ろ楽しめるのだけど。 私の中でこの時代の人達のイメージが固まってしまっているせいか、伊周との関係性にもあれっと思ったけど、最後まで紫式部(と彰子)が悪役なのが気になった。本来はお互い面識はない筈なので違和感があった。 作中でよく雨が降っており全体的に暗さのある一冊。 言葉選びの美しさ、原子の愛らしさ、有名な「春はあけぼの~」を綴る場面、草子の一部を破る場面、好きなシーンもあるが定子の崩御は変わらず、いっそここもガラシャみたいに書いてほしかった。宮木さんも清少納言も好きなだけに残念に感じた。
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これまでにも、何人もの作家のによる清少納言や中宮定子を読んできた。 自分の中ではやはり田辺聖子さんの『むかし・あけぼの』の存在が大きい。 そこでは歴史の流れ、政権の力関係が詳細に描かれていた。 田辺作品と比べると、こちらではぐっと登場人物を絞り込み、政争はごく簡単に迫害者道長の...
これまでにも、何人もの作家のによる清少納言や中宮定子を読んできた。 自分の中ではやはり田辺聖子さんの『むかし・あけぼの』の存在が大きい。 そこでは歴史の流れ、政権の力関係が詳細に描かれていた。 田辺作品と比べると、こちらではぐっと登場人物を絞り込み、政争はごく簡単に迫害者道長の影を指すのみ。 行成も公任も斉信も登場しない。 敵と味方がくっきり書き分けられる。 紫式部や中宮彰子がこうもわかりやすい悪役になってしまうのには抵抗がある。 一条天皇の登場シーンも、ごくわずか。 その代わり、定子と清少納言の絆はもちろん、定子と妹の淑景舎の君、原子との仲睦まじさや、同僚の宰相の君との友情などが細やかに描かれる。 元夫、則光がなかなか格好良く登場するのも特徴的。 定子の物語は、どうしても最初に絶頂期が描かれ、どんどん寂しく、悲しくなっていく。 しかし、定子の死が「脚の間からの出血がいつまでも止まらず」と、生々しく書かれたのは他に知らない。 定子亡き後の登華殿の庭での、宰相の君とのラストシーンは悲しくも感動的だ。
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清少納言がよくある教養を鼻にかけるタイプではなく、面倒くさい年増女として扱われ、女のねちっこい部分をさらっと書いているのは面白く読めるし、ヒールな紫式部というのも新鮮だけど、史実からすると紫式部はその時期そこに居なかったので史実をねじ曲げてまで悪役にされているのが…それだけなんだけどそれだけで一気にマイナスに感じてしまう残念さ。
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清少納言と中宮定子の絆は強し。 栄華なときは描かれど、その後の凋落をここまで追った作品は珍しいのではないか。 苦しんで悲しんで哀しんで。 そんな中でも主上と定子の仲睦まじさだけが輝いていて。 いや、それが輝いているからこそ、離される苦しみがあるのか。
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宮木版「平安絵巻」は女達の情念渦巻く物語。 宮中の華やかさの裏に潜む、嫉妬に荒れ狂う女達の陰湿さ強かさが怖い。 ずる賢くて意地悪で、けれどみな宮中で生き抜くのに必死で。 女同士のドロドロした感情のぶつかり合い、駆け引きに背筋がぞわりとなった。 今まで私が持っていた清少納言のイメージは、中宮・定子を陰から支える、朗らかで賢く如才のない女性。 そんな清少納言の恋愛ものが読めて新鮮だった。 また紫式部がここまで悪く描かれる物語は初めてかも。 いくら清少納言サイドの話とはいえ紫式部がここまで悪者になるとは…ちょっと違和感を感じた。
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