ニューカルマ の商品レビュー
マルチ商法をテーマにした本書。 途中までは、これ系のよくある話。パッとしない独身男性が、マルチ商法の世界に出会い、運よく成功していくというもの。 しかしある時からマルチが上手くいかなくなり、幼馴染に救われる、というのもありがちな展開。 そこから再び、主人公はマルチにハマる(...
マルチ商法をテーマにした本書。 途中までは、これ系のよくある話。パッとしない独身男性が、マルチ商法の世界に出会い、運よく成功していくというもの。 しかしある時からマルチが上手くいかなくなり、幼馴染に救われる、というのもありがちな展開。 そこから再び、主人公はマルチにハマる(?!)。 その企業名が「ニューカルマ」。最初のマルチとは異なり、社長の熱い想いと真摯な商品開発に、主人公は惹かれていく。 しかし結局、ニューカルマも「偽物」だったことが発覚。 商材が引き起こした健康被害に対して、強い自責の念を持つ主人公。それから、幕間に挟まれる、幼馴染との過去。その2つが交差するように物語が進んでいき、結末を迎える。 ありがちなテーマから始まった本書が、ちょっと意外な結末を迎えるのが面白かった。 筆者の前作の「狭小住宅」も面白かったけど、こちらも良かった。
Posted by
この著者は登場人物や背景をあまり明確に表現しない。 ただ話の展開を楽しみたい方向け。 私は鮮明に想像出来るような文章が好きであるにも関わらず、読み進められたのにはきっかけがある。 大学の友人がAmw○yにハマってしまい 「お願い!ちょっとだけ!話だけ聞いてくれればいいから!」 ...
この著者は登場人物や背景をあまり明確に表現しない。 ただ話の展開を楽しみたい方向け。 私は鮮明に想像出来るような文章が好きであるにも関わらず、読み進められたのにはきっかけがある。 大学の友人がAmw○yにハマってしまい 「お願い!ちょっとだけ!話だけ聞いてくれればいいから!」 と渋々講演会に連れて行かれた経験があるからだ。 まさにまさにという感じ。 陰謀論や宗教などと同じである。 いくら商品が素晴らしいから、夢を持ち続けることが美しいからと言えども、人に胸を張って紹介できる仕事ではない。 それでも一度、どうしようもない程に心酔してしまったらもう抜け出せないのだろう。 顔つき、喋り方、"普通の人"とはすべてが違う。 作中ではポロリポロリとその心情を語る文章があるものの、そこまで共感できる訳でもなく、何をどうしてまたハマり続けてしまうのかというのも曖昧だった為、自身の経験から「あるある!これこれ!」と思いながら読めたのが良かった。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
サッと読める長さで坂道を転がり落ちていくようにネットワークビジネスにハマる疾走感が2回も味わえる素敵な小説 一回懲りたはずがもう一度ハマるとか同じ業界の中で人員がグルグルしてるとかその辺が怖いな〜と思うなどでした ラスト搾取側に回るのがちょっと不自然だったかな?この主人公みたいな他人を通じて自己実現するタイプは永遠に利用される側のマインドに見えるし、ビジネスを立ち上げる側に変わるならそこに至った経緯を書いて欲しかった
Posted by
随分前、仕事の関係上でどうしても断れずア●ウェ●の講演会を聞きに行ったことがあります。 講演自体はプラス思考をテーマにしたもので、私生活でも役に立つ素晴らしいもので、その後も特に勧誘されることもなく実害はありませんでした。 宗教やネットワークビジネスには、様々な人間模様がありそう...
随分前、仕事の関係上でどうしても断れずア●ウェ●の講演会を聞きに行ったことがあります。 講演自体はプラス思考をテーマにしたもので、私生活でも役に立つ素晴らしいもので、その後も特に勧誘されることもなく実害はありませんでした。 宗教やネットワークビジネスには、様々な人間模様がありそうで小説のネタにピッタリかもしれませんね。 西尾潤さんの「マルチの子」も読みました!
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
これも一気に読んでしまった。闇、、、 解説も面白かった。最後をハッピーエンドと見るか破滅の始まりとみるか。 私は闇だと思うし、、、依存症のように見えた。 主人公の妹との対比がすごかった。正当な道で自分の夢を目指した妹。をバカにしていてマルチにハマる兄。 そこは気づいたんだけど、タケシとの対比については解説を読むまで気づかなかった。世の中をよくしたい、何か社会の役に立ちたいという同じ思いのはずなのにベクトルがずれるとマルチ布教に。 そこでタケシと主人公の違いは、よく人を見ているかどうかというところではないかと思う。自分がよければいいというフィルターを通して見ていた主人公。親や他の人の状況を聞き取っていたタケシ。 身につまされる。
Posted by
マルチビジネスの手口や会員の心理等が、よく描かれていて興味深く読了しました。以前携わった(ニュー○○)の記憶を思い出しました
Posted by
マルチ商法を題材にした小説。久しぶりにまっすぐなエンタメ小説を読んだけど、めちゃくちゃオモシロかった。今も昔も形を変えて存在し続けるマルチビジネス(またの名をネットワークビジネス)にはまってしまう1人の若者を主人公にして幸不幸を描いていく。おそらくめちゃくちゃ取材をしていること...
マルチ商法を題材にした小説。久しぶりにまっすぐなエンタメ小説を読んだけど、めちゃくちゃオモシロかった。今も昔も形を変えて存在し続けるマルチビジネス(またの名をネットワークビジネス)にはまってしまう1人の若者を主人公にして幸不幸を描いていく。おそらくめちゃくちゃ取材をしていることが文章から伺えてとてもリアルだった。会社でサラリーマンとして働いていて感じる何となくの虚無感が文章からにじみ出ている。マルチをネズミ講と同等と見なして、あきらかに胡散臭いと思っているのに自分の環境や立場が少し変わることでコロッとハマってしまう怖さ。そして一度壊れた人間関係は元に戻ることはなくて孤立を深めていく残酷さ。その結果、見ず知らずの人をどんどんマルチの渦に巻き込んでいく地獄さ。 対比として圧倒的な「正しさ」を持った友人を登場させている点も興味深かった。文庫版の解説にもあったが、終盤にかけてマルチが主張する「正しさ」と社会が主張する「正しさ」が溶け合って結局何が正しいのか分からなくなってしまう。巻き込まれていって抜け出せない人が後を絶たないのは、善悪の区別が曖昧になるからなのだとよく分かった。先が不透明で夢の見れない国において若者たちが夢見て向かう先がマルチだなんて悲しすぎるけど、その気持ちが痛いほどによく分かるので余計に辛い…自分の努力が目に見えてお金に還元されて承認欲求も満たせるのだから。幸い今まで誘われたことは一度もないけど、もしやっている人がいればこれを読んでみて欲しい。
Posted by
あるサイトでこの小説がお勧めされていたので、 興味を持って、読んでみました。 この方の小説は初めて読みましたが、 結構、良くも悪くもクセのある小説ですね。 (面白くない、という意味ではありません。) もともと興味を持ったきっかけが、 ネットワークビジネスについて知りたい(やりた...
あるサイトでこの小説がお勧めされていたので、 興味を持って、読んでみました。 この方の小説は初めて読みましたが、 結構、良くも悪くもクセのある小説ですね。 (面白くない、という意味ではありません。) もともと興味を持ったきっかけが、 ネットワークビジネスについて知りたい(やりたいではない、笑)、 というものだったので、 その目的に関して言うと、小説を通じて面白く ネットワークビジネスについて理解することができました。 小説自体の面白さは、ちょっと展開が早くて(というより少し雑で、ただそれもまた著者の個性なのでしょう)、 最後の終わり方も著者特有の終わり方のようで、 自分の好みとは少し違うなという感覚なのですが、 好きな人は好きというか、ハマるのではないかと思います。
Posted by
非常に読みやすい物語展開だった。 周りの状況よりも、主人公の内情が細かく描写されており、入り込みやすかったためだと考える。 満足も不満足もしない今、これまでの人生の中でなにか一発逆転を狙って手を出してしまい、友達、家族、親友、お金を失い、同じ失敗を繰り返す。人の弱いところ鮮明に描...
非常に読みやすい物語展開だった。 周りの状況よりも、主人公の内情が細かく描写されており、入り込みやすかったためだと考える。 満足も不満足もしない今、これまでの人生の中でなにか一発逆転を狙って手を出してしまい、友達、家族、親友、お金を失い、同じ失敗を繰り返す。人の弱いところ鮮明に描いていて、自分もこうなってしまわないかな、と考えてしまう展開だった。 一方、読めてしまう展開だったのでそこが面白みにかけるかなぁ思い、評価は3で。 20200202
Posted by
マルチ商法をテーマにした小説。 かつて勧誘を受けたことがあり、マルチ商法について色々と調べる機会があったので、「ああ、確かに勧誘員の人はこんな感じだったな笑」と思い出したながら楽しく読めました。 主人公にとってまだ救いがあるのは、人を騙したいとは決して思っておらず、何とか世の...
マルチ商法をテーマにした小説。 かつて勧誘を受けたことがあり、マルチ商法について色々と調べる機会があったので、「ああ、確かに勧誘員の人はこんな感じだったな笑」と思い出したながら楽しく読めました。 主人公にとってまだ救いがあるのは、人を騙したいとは決して思っておらず、何とか世の中のためになることをしたいと考えていること。 最後の結末は、読む人にとって捉え方が変わるかもしれませんが、私は好きな終わり方でした。 単純な一部構成ではなく、もう一展開入れてきたところは良かったです。
Posted by