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虚構推理 の商品レビュー

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42件のお客様レビュー

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2019/02/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 続編を先に読んだが、こちらが第1作である。初版は2011年刊行、第12回本格ミステリ大賞受賞作。文庫化の際に、サブタイトルが削除され、『虚構推理』というシンプルなタイトルになったが、理由がわかる気がする。  というのも、『虚構推理』というタイトルは、本作の本質そのものなのである。ネタばれになりそうなので、大変説明しにくい。初版刊行が震災発生直後というのも、色々と考えさせられる。あくまでエンタメ作品とはいえ、現代社会の側面に切り込んでいる。  右眼と左足がなく、あやかしとの意思疎通ができる岩永琴子。不死身の肉体を持つ桜川九郎。コンビのキャラクターが目新しいわけではない。怪異と戦うファンタジーは珍しくはあるまい。しかし、本作は本格ミステリ大賞受賞作。いかにして戦うか、倒すか。その方法論にこそ、本作の本質が隠されている。  物語は2人の出会いにさかのぼるが、現在に至るまで、あやかしやら霊やら様々な怪異と対峙してきたと思われる。それらは、どこかで読んだり見たりしたような方法で処理できたのだろう。ところが、これまでの方法が通用しない相手が現れたとしたら?  ある地方都市に出没し、噂が噂を呼ぶ怪物「鋼人七瀬」。どういう姿なのかは読んでください。地元のあやかしに請われ、「鋼人七瀬」の退治に乗り込んできた2人。そこには、九郎の元恋人の紗季が、警察官として勤務していた。成り行き上巻き込まれることに。  自分から九郎と別れた紗季だったが、まあ無理もない。しかし引きずってもいて、現恋人を自称する琴子に対抗心を燃やす。こういう小芝居の部分が、重くなりすぎないようにしている。大体琴子と九郎の過去からして凄まじく、重くしようと思えばいくらでも重くできるだろう。「鋼人七瀬」にも同情する面がある。  いよいよ「鋼人七瀬」を倒すクライマックス。こういう戦闘シーンの前例を、少なくとも自分は知らない。Web上のあとがきによれば、初版刊行当時、批判的な声も多かったという。ミステリ慣れした読者の固定観念を、真っ向から揺さぶるのだから。  本作は、新しい推理の形を読者に提示してみせた。2012年版本格ミステリ・ベスト10で第4位。見る人はしっかり見ていた。それにしても、密度が濃い文章だった。

Posted byブクログ

2019/01/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

講談社文庫版を持っているので再読。 考えてみれば普通の講談社文庫より、タイガの方が作風にはマッチしているように思えるので、タイガから再刊されたのは納得出来る(ちょっと早いような気もするが……)。 短編も書かれているし、シリーズの新作が早く読みたい……。

Posted byブクログ