狼と香辛料(ⅩⅩⅠ) の商品レビュー
「ホロとロレンスのその後」の話も4冊目。 いろいろありましたが、ホロとロレンスもようやくミューリとコル坊を追って旅立ちました。 でも、そろそろお互い、親離れ・子離れをしたほうがいいんじゃないかと思うんです。 シリーズは、ホロ・ロレンス組の『狼と「香辛料」Spring Log』...
「ホロとロレンスのその後」の話も4冊目。 いろいろありましたが、ホロとロレンスもようやくミューリとコル坊を追って旅立ちました。 でも、そろそろお互い、親離れ・子離れをしたほうがいいんじゃないかと思うんです。 シリーズは、ホロ・ロレンス組の『狼と「香辛料」Spring Log』と、ミューリ・コル坊組の『狼と「羊皮紙」』に別れて、再開後は交互に、というか、「香辛料」が出て、あまり間をおかずに「羊皮紙」が出る、という形で、どちらもこれまで4冊ずつ刊行されています。 最初は「香辛料」側に未刊行の(短編としてどこかに掲載されたものの、文庫にはなっていなかった)在庫がそこそこあり、また「羊皮紙」もある程度書きためてからスタートしたからでしょう、順調な刊行ペースでしたが、在庫が切れてからは通常ペース(というか、スローペース。著者あとがきによると「狼と香辛料VR」を作っていたからだそうですが)にペースダウンしています。 ところで、「香辛料」+「羊皮紙」で通常ペースということは、「羊皮紙」単独ではちょっと間延びした感じになってしまっているのです。 もう一つ言えば「香辛料」は大団円の後のお話です。ホロの魅力は変わらないとしても、結婚して子供もいる2人の間にラブコメ要素はそんなにたくさんは持ち込めません。 「こんなちょっとしたエピソードがあって2人の仲がいっそう深まった」ってお話ばかりではもうパワー不足です。大団円前のシリーズでもそんな中休み的な巻は4~5巻に1冊だったのに、今はそんな巻ばかり4巻連続してしまっています。そろそろ「羊皮紙」に合流して「羊皮紙」の中の一章としてホロ・ロレンス組に触れるか、各地で事件に遭遇するか、そんな展開を切望します。 なお、今回「狼と旅の卵」で初めてミューリ・コルの尻拭いで事件に遭遇して解決する展開がありました。デリバディブも引っ張り出して、ようやく往年の「狼と香辛料」の香りを感じることができました。 今後、さらに力が入った長編を読んでみたいなあ。 以下、各話毎に一言。 「狼と湯煙の向こう」 残される側のセリム視点のお話。 ホロとロレンスがお互いに相手に旅を続けさせるための理由作りをしているあたり、オー・ヘンリーの「賢者の贈り物」を思い出しました。 ホロ・ロレンス組の旅も半年程度の物見遊山で終わらせるつもりはなさそうです。期待してます。 馬氏や鹿氏には名前をつけてキャラ付けをするつもりが毛頭なさそうなので、主人夫婦が留守中の「狼と香辛料亭」が語られることはなさそうです。 「狼と秋色の笑顔」 道中、道を間違えて迷い込んだ森の中で蜂の巣取りをする話。文字どおりお荷物だった硫黄の新たな使い道を発明するおまけつき。 …ではあるものの、上に書いたとおり、こういったショートストーリーにはやや食傷気味です。 「狼と森の色」 ホロに日記をつけさせるという着想は、Spring Logというサブタイトルの伏線を回収するとともに、シリーズ全体が実はホロの日記だったかもしれないというメタフィクション的な視点をシリーズ全体に持ち込んでいて、すげぇと思いました。そのホロが日記を書きすぎてインクが足りなくなりました、という話。 ロレンスの機転でピンチをチャンスに変えるといういつものストーリー。 ただ、ホロが日記を(まめに)つけているって設定は自分的にちょっと大事だと思うので、あまり小ネタ的には使って欲しくなかったり。 「狼と旅の卵」 先行したミューリ・コルが立てた波を追うホロ・ロレンス組が被った話。今後も「香辛料」と「羊皮紙」が別々に刊行されるんだったらこういう感じの話が増えてくるのかなあ。 これまでと比べ、日記だけでなく絵姿も描いてもらいたいホロの欲求とか、劣化コピーが出てくるほどのコルの活躍とか、ようやく話が転がり始めた感じです。 今はようやく先行したミューリ・コル組を追いかけ始めたばかりで間隔が開いていますが、大きな一つの事件を二組がそれぞれの視点とそれぞれの技能を活かして解決に奔走し、ラストでお互いがお互いの行動を知ってびっくりみたいな話も期待しておきます。 「狼ともうひとつの誕生日」 10歳になったミューリがコルのことをはっきりと意識したときのお話。 似たような話をいくらでも量産できる作者の手腕には感心しますが、でもそろそろもっとずっしり腹にたまるお話を読みたいのです。
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狼と香辛料のスプリングログ4冊目。温泉宿は若い狼娘に任せて、熟男ロレンスとホロがコルとミューリに会いに行くという口実で旅に出る。ロレンスの老化が他人事に思えず目頭が熱くなる。まあ、携帯電話やネトのない世界で、往々にして伝説が簡単にできてしまうというのが描かれて面白い。ますます軽く...
狼と香辛料のスプリングログ4冊目。温泉宿は若い狼娘に任せて、熟男ロレンスとホロがコルとミューリに会いに行くという口実で旅に出る。ロレンスの老化が他人事に思えず目頭が熱くなる。まあ、携帯電話やネトのない世界で、往々にして伝説が簡単にできてしまうというのが描かれて面白い。ますます軽くなってきた感はあるが、読了感がよくてホワンとなる良いお話。
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・狼と湯煙の向こう ロレンスとホロが娘たちの様子を見に旅に出ることになり、宿を任されることになったセリムは責任感に押し潰されそうで毎日憂鬱だった。ロレンスは村の人から硫黄を大量に預かり、ホロは昔の仲間の情報を集め、どうも長旅っぽいのも気が重い原因だった。しかし、それらの理由がお互...
・狼と湯煙の向こう ロレンスとホロが娘たちの様子を見に旅に出ることになり、宿を任されることになったセリムは責任感に押し潰されそうで毎日憂鬱だった。ロレンスは村の人から硫黄を大量に預かり、ホロは昔の仲間の情報を集め、どうも長旅っぽいのも気が重い原因だった。しかし、それらの理由がお互いのためを思ってのことであり帰る場所はここであることを知り、気が楽になる。 ・狼と秋色の笑顔 川沿いの関所から船ではなく陸の道を行き、道に迷って森の中へ。意図をつけた蜂を見つけ上等な蜂蜜がとれそうな蜂の巣を見つける。徐々に旅のころの勘を取り戻していくロレンス。 ・狼と森の色 途中の旅籠で紙とインクを補充しようと立ち寄る。コルの活躍の話を聞き、聖典の俗語翻訳を進めている影響でインクやペンなどが売り切れているという。融通する代わりに領主のビーベリーの頼みを聞く。森を伐採し高騰している木材として売り村の財産にするか、森の恵みを得ている今の状態を維持するかで揉めているという。木のこぶからインクがとれることに気づき、両方をうまく収める。 ・狼と旅の卵 港町アティフでは昔から鰊の卵の先物取引所がさかんであった。コルたちの影響をうけた若い司祭が信仰に反するので取引所は閉鎖だと宣言する。投資した金を取り戻すため、もし閉鎖したら娘たちの仕事を奪うことになる、先物取引所には司祭が聖女ミューリとコル坊の絵を飾らんとする絵を飾るからということで騒ぎを収める。 ・狼ともうひとつの誕生日 ミューリ10歳の誕生日。コル坊にひそかな憧れを抱いていたミューリは新たな決意をする。
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いやあ楽しいなあ。 なんという幸せ、なんという喜び。 全編に幸せが満ちていて最高に楽しい。 ホロとロレンスが再び旅に出かける短編集。 湯屋の話も良かったけど、今巻を読むとやっぱり狼と香辛料には旅の話が一番だなと思う。 そしてすでに幸せを掴んだ二人のその後の話は、まさしく笑いと幸...
いやあ楽しいなあ。 なんという幸せ、なんという喜び。 全編に幸せが満ちていて最高に楽しい。 ホロとロレンスが再び旅に出かける短編集。 湯屋の話も良かったけど、今巻を読むとやっぱり狼と香辛料には旅の話が一番だなと思う。 そしてすでに幸せを掴んだ二人のその後の話は、まさしく笑いと幸せが溢れる湯屋のような、そんな物語。 旅の途中のちょっとした困難も、さらなる幸せへのアクセントなのだ。 ずっと彼らの旅路を見続けてきた者として、この幸せがとても嬉しい。 特に、第一話の互いを想い遣って旅を続ける理由をお互いに用意する姿には、なんだか幸せで泣きそうになった。 そして第四話でホロの姿を絵画に残す機会を得た瞬間にもグッと来てしまった。 まだまだ続く旅が楽しみ。 二人の物語をいつまでも見ていたいと思う。
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長年追いかけているシリーズの最新作。メインとなるストーリーはすでに完結していて、ここ最近は、後日談を短編集で描くという、ライトノベルではよくある形式で続いている。確かにファンとしては出るとうれしいけど、作品の質からすると、そろそろ苦しいかなと感じる。期待している作者だけに、新シリ...
長年追いかけているシリーズの最新作。メインとなるストーリーはすでに完結していて、ここ最近は、後日談を短編集で描くという、ライトノベルではよくある形式で続いている。確かにファンとしては出るとうれしいけど、作品の質からすると、そろそろ苦しいかなと感じる。期待している作者だけに、新シリーズの立ち上げなど、もう少し冒険してくれると嬉しいなと感じる。
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さすがこの二人! 相変わらずの掛け合いがいい感じ。久しぶりの冒険に、この先の展開が楽しみなところ。ロレンスは年齢的にいいおじさん(?)なのかわからないけど、ホロの相変わらずの活躍ぶりが頼もしい。
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本編終了後で一番楽しめたかもしれない。18巻から20巻までニョッヒラでの湯屋生活を後にして、再び旅に出ることになったロレンスとホロの物語。 ベテラン臭漂うロレンスとホロが色々な悩み事を解決してゆく様も確かに面白いのだけど、旅先でピンチに遭遇してすったもだするロレンスとそれに...
本編終了後で一番楽しめたかもしれない。18巻から20巻までニョッヒラでの湯屋生活を後にして、再び旅に出ることになったロレンスとホロの物語。 ベテラン臭漂うロレンスとホロが色々な悩み事を解決してゆく様も確かに面白いのだけど、旅先でピンチに遭遇してすったもだするロレンスとそれに呆れながらもフォローを入れるホロ、というハラハラするような構図は読んでいて非常に楽しい。 とりわけ良かったのは「狼と旅の卵」。こんな読み心地の長編がまた読みたいなと思うけれど、長編は『狼と羊皮紙』を待つしかないかな……。 また、あとがきにあるように、中世に関する文献からネタを引っ張ってきているとのことで、へー、そんなことがあるんだ、という発見も多くあった。今までの20冊の中でもあったことではあるんだけど、あくまで架空の世界の話として読んでいたので、そこまで意識していなかった。 最近世界史や政治経済等の一般教養のおさらいをしようと思っている。受験生の頃は中世ヨーロッパというとあまり面白くないイメージもあったけど、ちょっと興味が湧いてきたかもしれない。
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