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ムーンナイト・ダイバー の商品レビュー

3.8

21件のお客様レビュー

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2024/07/21

タイトルと文庫版の表紙に惹かれ手にとったのでテーマも知らず読み始めたが、ありきたりでない設定とストーリーでよかった。 文章が、描写が、美しいと感じた本は久しぶりだった。海、夜、街、光…どの描写も美しかった。 情欲の描写が多いことに、初めは違和感と疑念を抱いた。だが、海に沈むもの...

タイトルと文庫版の表紙に惹かれ手にとったのでテーマも知らず読み始めたが、ありきたりでない設定とストーリーでよかった。 文章が、描写が、美しいと感じた本は久しぶりだった。海、夜、街、光…どの描写も美しかった。 情欲の描写が多いことに、初めは違和感と疑念を抱いた。だが、海に沈むものを通して生死の記憶に触れ、死に晒される行いの反動として、肉を食らい、欲が溢れることが表現されているのは、この作品をただの小綺麗なハートフル小説にはさせない、重要なキーとなっていたのかもしれない。 あとがきに代えられた祈りの文章から、作者がどれだけの誠意をもって震災と作品に向き合ってきたかが伝わった。「生きている人たちが、幸せになることこそが、失われた命に向けての、誠実な祈りになる」という作者の想いはこの作品で十分に表現されていたと思う。だが、そのあとがきを読んで初めて、作品と作者の想いが完結したと感じた。そこで初めて、すべてが腑に落ち、自身の中にストンと落ちた。これが、"私にとっては"小説としては少し物足りなかったことを示しているように感じた。

Posted byブクログ

2023/03/19

図書館から借りたので、ハードカバーで。 息苦しくなりました。 夜の海に潜るということが、私が、ダイビングができないからという理由もあるけれど、 地震と津波で親族や友人などを亡くされた人の思いが、重くのしかかるよう。 そんな暗い海にひとりで潜ることなんて、恐怖でしかない。 舟作...

図書館から借りたので、ハードカバーで。 息苦しくなりました。 夜の海に潜るということが、私が、ダイビングができないからという理由もあるけれど、 地震と津波で親族や友人などを亡くされた人の思いが、重くのしかかるよう。 そんな暗い海にひとりで潜ることなんて、恐怖でしかない。 舟作は、感覚も強いみたいだから、目に見えないものを、いろいろ感じとるだろうし。 いろいろあって、生きることは苦しいけれど、みんな、なんとか前を向いて生きている。

Posted byブクログ

2022/03/11

ちょっと現実味に欠ける感があり、主人公の最後の行動も釈然とせず、心に刺さらなかった。繰り返し描かれる、夜のダイビングからのルーティンも少しくどい気がした。でも「生きている人たちが、幸せになることこそが、失われた命に向けての、誠実な祈りになる」という筆者の想いは、伝わってきた…とは...

ちょっと現実味に欠ける感があり、主人公の最後の行動も釈然とせず、心に刺さらなかった。繰り返し描かれる、夜のダイビングからのルーティンも少しくどい気がした。でも「生きている人たちが、幸せになることこそが、失われた命に向けての、誠実な祈りになる」という筆者の想いは、伝わってきた…とは思う。

Posted byブクログ

2021/11/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

テーマに惹かれて買ったものの、読みづらさを感じた。ただ、後書きを読んで作者さんが真剣に向き合った結果の読みづらさだったのかもと思ったり。

Posted byブクログ

2021/10/02

震災から4年。立ち入り制限がある地域の海に潜り、遺品を持ち帰ることを被災者の会から依頼されている主人公。 月夜に潜り、そこに住んでいた人たちの生々しい記録が海底に沈殿しているのを見るたびに処理しきれないものを発散したい欲望にかられる。 何故自分はこんなことを引き受けたのか、犠牲に...

震災から4年。立ち入り制限がある地域の海に潜り、遺品を持ち帰ることを被災者の会から依頼されている主人公。 月夜に潜り、そこに住んでいた人たちの生々しい記録が海底に沈殿しているのを見るたびに処理しきれないものを発散したい欲望にかられる。 何故自分はこんなことを引き受けたのか、犠牲になった人もいるのに自分はこんなに幸せで良いのか。 葛藤をしながらも真摯に災害に向き合う。 この作家の特徴だと勝手に思っている、重くて静かな感じ。だが、今回気づいたが、心を描いている分量よりも情景を描写しているほうが多いのではないか?情景描写に心を反映させている面もあるかもしれないが、多少読み飛ばしても差し支えない感じ。

Posted byブクログ

2021/09/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

東日本大震災から4年半、海底に沈んだままの遺留品を回収するために夜の海に潜る舟作が、遺族の一人、透子と出会い、彼女の元夫の結婚指輪を探そうとする。 海水の放射能汚染のリスクや、夜の海に潜ることのリスク、さらには見つかったら罰せられるかもしれないリスクがあるなか、ダイバーとして協力する舟作も、会費を払ってでもこの取組を進めたいと考える遺族たちも、津波の被害者である。それだけでも理不尽なのに、それぞれが、遺品が見つかってほしい気持ちと、見つかるとその持ち主の死を認めざるを得ないから、出てきてほしくないと思う気持ちの間で揺れている様子には、心を揺さぶられた。 そして、物語自体もよかったが、文庫版あとがきに代えて著者自身が書いている"失われた命への誠実な祈り"を読んだときが一番泣けた。 大切な人が亡くなったり行方不明だったりすると、自分だけが幸せになっていいのかと、自責の念に駆られる人がいるが、「生きている人たちは幸せになっていいし、むしろ、幸せになることこそが、失われた命に向けての、誠実な祈りになる、と思っている」という著者のメッセージに、どれだけの人が救われただろう。

Posted byブクログ

2021/07/29

東日本大震災から4年後。海に沈む遺留品を回収するため、海に潜るダイバー。 潜り続けることで何かの答えを見つけようとするダイバーと遺留品に期待を込める人達。 遺留品を通して、震災を生き延びた人の苦悩が伝わってきて、目をそらしたらダメなんだけど、読んでいて苦しい気持ちになる。

Posted byブクログ

2021/07/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

遺された者の想いを描いた作品。この震災では多くの人が亡くなったが、その遺族は亡くなった人の数倍おり、死者に対する想いも遺族の数だけある。その想いは遺品に現れるが、それを海から取ってくる者にも当然現れる。 実際にこういうことをやってる人はいそうな気がする…月が明るい日の深夜に一回浜通りの海に行ってみたくなった。 地名は全く出てこないが、実際に被災した街が舞台になっていることがはっきりと分かる。舟作が潜っている海は福島第一原発近辺ということは明らか。私の被災地訪問の記憶からの推測だが、文平が住んでいるのは浪江や富岡で有志の会の会合が行われるホテルはいわきと思われる。そして化石掘りの話から舟作の故郷は歌津なのだろう。(違っていたら恥ずかしい)

Posted byブクログ

2021/07/01

妻子ある中高年主人公の性生活の描写は兎も角、中盤にある主人公の職場の後輩女性との恋愛描写には、テンポ感なく中だるみを感じてしまい、 ストーリー展開に必要だったのかと疑問が残った。 邦画化されそうな幻想的なラストは良く、3・11津波後の被災地での風景を反映した小説作品ではあるが、 ...

妻子ある中高年主人公の性生活の描写は兎も角、中盤にある主人公の職場の後輩女性との恋愛描写には、テンポ感なく中だるみを感じてしまい、 ストーリー展開に必要だったのかと疑問が残った。 邦画化されそうな幻想的なラストは良く、3・11津波後の被災地での風景を反映した小説作品ではあるが、 震災後小説として、語り継ぐべき傑作だとはいいきれない。

Posted byブクログ

2021/06/10

思ったより内面の描写が濃くてびっくり 重いテーマだからこそだとは思うが、難しく時間がかかってしまった。

Posted byブクログ