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「古今和歌集」の創造力 の商品レビュー

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2024/08/13

一度に全ては理解できないような高度な深い内容。 何度も再読しながら、古今集の奥深さを理解していきたい、そんな作品。 古今集は現代人の私たちにとっても、創造性に満ちた興味深いもの、と著者は言う。決して古くさくない、と。 現代日本人の季節感や人生観のベースとなっているだろう、古今...

一度に全ては理解できないような高度な深い内容。 何度も再読しながら、古今集の奥深さを理解していきたい、そんな作品。 古今集は現代人の私たちにとっても、創造性に満ちた興味深いもの、と著者は言う。決して古くさくない、と。 現代日本人の季節感や人生観のベースとなっているだろう、古今集。この本と巡り合ったことをきっかけにして、古今集そのものを読んでみたい。 古今集成立について、紀貫之のはたした役割が決定的である。彼は、和歌の収集、取捨選択、分類、配列。作業を通して、和歌とは何かを分析。並行して自作歌を据えている。 古今集の歌には〈型〉が存在する。自然を把握する〈型〉が人の心にかたちを与える、それを歌にする。それによって、かくあるべき四季を歌う。〈型〉は、万葉集などの日本古来のもの、中国の漢詩由来のもの、がある。 古今集の多くの歌が、平仮名の広がりと定着の時期に詠まれている。 業平の歌は、〈型〉を破る。「ことば」になりきれなかった「こころ」が空隙から漏れ出している。 「あとがき」を読んで、この本が著者の古今和歌集研究の集大成であったことがわかる。人生を古今集研究に捧げている、研究者の渾身の作品。 古今和歌集そのものを読み、ときどきこの本にたち戻ってみたい。

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2022/10/29

古今和歌集の成立に関する説、撰者の編集にかけた工夫、枕詞や序詞や見立てなどのレトリック、古今和歌集を軸に見た和歌史などについて触れていて、和歌そのものへの理解が深まったし面白い。

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2021/11/16

読書会課題本。読書会という機会がなければ絶対に手を伸ばさなかったジャンルだが、思った以上に楽しめた。和歌鑑賞入門としては良書。さすが「古今和歌集」と何十年も向き合ってきただけあって、その構造分析などは学ぶところが多かった。ただ「古今和歌集」の影響は現代のポップスにも与えたとするな...

読書会課題本。読書会という機会がなければ絶対に手を伸ばさなかったジャンルだが、思った以上に楽しめた。和歌鑑賞入門としては良書。さすが「古今和歌集」と何十年も向き合ってきただけあって、その構造分析などは学ぶところが多かった。ただ「古今和歌集」の影響は現代のポップスにも与えたとするなど、日本文学の多くのシーンを半ば強引に「古今和歌集」へ引きつけようとするレトリックには終始違和感があった。

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2019/02/27

 三大勅撰歌集と言われるが、私自身が万葉・新古今に比べて、あまり親しみがなかった。おそらく百人一首には最も多い数が出てくるはずではあるが…。正岡子規は古今集をそして編者の紀貫之を酷評していたらしい。しかし、それは伝統を破ろうとしない同時代の歌人への攻撃だった!貫之も古今も実は評価...

 三大勅撰歌集と言われるが、私自身が万葉・新古今に比べて、あまり親しみがなかった。おそらく百人一首には最も多い数が出てくるはずではあるが…。正岡子規は古今集をそして編者の紀貫之を酷評していたらしい。しかし、それは伝統を破ろうとしない同時代の歌人への攻撃だった!貫之も古今も実は評価していたとは子規らしい。 なお、古今集の歌には6歌仙に見られるように一つの型(パターン)があり、百人一首に選ばれた歌と似た歌が多いことは驚くとともに、成程と納得できる面も多かった。 例えば「思ふには忍ぶることぞ負けにける色には出じと思ひしものを」(よみ人しらず) 「早春賦」「夢で逢えたら」などの現代歌謡に大江千里、壬生忠岑、小野小町などの古今的感性が残っているとの指摘も愉しい!思い当たるところが多い。

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2019/01/27

全く興味を持って来なかった領域の読書ですが、作者の語り口に魅了され一日で読み終わりました。「やまと歌は、人の心を種として、よろずの言の葉とぞなれりける」という紀貫之の言葉から「こころ」「ことば」を組み合わせて「型」つくっていく、その「型」が日本人のメンタリティを生み出していく。国...

全く興味を持って来なかった領域の読書ですが、作者の語り口に魅了され一日で読み終わりました。「やまと歌は、人の心を種として、よろずの言の葉とぞなれりける」という紀貫之の言葉から「こころ」「ことば」を組み合わせて「型」つくっていく、その「型」が日本人のメンタリティを生み出していく。国文学という地道な研究だけど、実はとってもディープな論を展開しているのではないか?と感じました。AIが急速に進展する今、「こころ」があるから「かたち」があるのではなく、「かたち」があるから「こころ」が育まれる、ってことと受け取りました。とにかく、作者の論理性に関心しました。

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