物流危機は終わらない の商品レビュー
消費者としての我々が低価格や利便性を追求し過ぎて労働者としての我々を苦しめる関係について、改めて考えさせられた。 トーマス・フリードマンの『フラット化する世界』にも同様のことが書かれていたことを思い出した。。。
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「私たちが得ている「安さ」や「早さ」が、働く者の長時間労働や過労死と引き換えに存在するならば、それは果たして社会的公正に適うのか?」こういった問題意識を持たなくては働く人の環境は変わらないと思いました。
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労働組合や労使関係の専門家による運送業の問題に関する本。なんとなく論理が発散していて、説得力が低いと思う。運送業の実態は、統計データやアンケート結果、聞き取りなどで行われているが、人手不足と言いながらも、少ない荷物を奪い合っている状況とも書かれており、矛盾点が見受けられる。聞き取...
労働組合や労使関係の専門家による運送業の問題に関する本。なんとなく論理が発散していて、説得力が低いと思う。運送業の実態は、統計データやアンケート結果、聞き取りなどで行われているが、人手不足と言いながらも、少ない荷物を奪い合っている状況とも書かれており、矛盾点が見受けられる。聞き取りもドライバーや作業員に対し行われており、業界の実態をどの程度反映しているのかが不明。また、解決策も、国の力で強制的に運賃や賃金を上げるとか、労組の活性化であるとか、規制の強化などが主であり、根本的な経済理論からはかけ離れている。運賃や賃金が低すぎるというのであれば、なぜそうなっているのかを示さなければ、解決できない。なぜ生産性が低いのかも同様。料金は、顧客と企業との契約で決定されるのであって、物流でも基本は需要と供給で決まることに変わりない。それに基づかないのであれば、まずそれはなぜなのかを追求すべき。荷下ろしなどの不当サービスも同じ。労働と賃金が不釣合いならば、市場原理では是正の方向に自然と動くはず。不法であれば罰すればよく、不適当レベルであっても市場から退場となるなど生き残れない。そのあたりを明らかにしないと、業界の方向性は見えてこない。生き残りのために真剣に努力をしていない企業は倒産するのが原理であって、著者はただ、淘汰されるべき弱小企業の生き残り策を述べているように思えた。 「トラック業界では、延着(荷物の到着が遅れること)は、絶対に許されないことであり、ドライバーにとってこれほど恥ずかしいことはないと考えられている」p59 「(パレットを使いたがらない理由)積載量が減るから。パレットが戻らないと困る。(荷主は)必要性を感じない」p64 「(日本郵便)何年も赤字を垂れ流しながらも、決してつぶれない企業と戦ったら、どこの企業だって負けちゃいますよ」p133 「(トラックドライバー)1990年代:きついが稼げる、今:きついし稼げない」p162 「(電通過労自殺事件の公判の冒頭陳述)「クライアント・ファースト」が浸透し、深夜残業や休日出勤も厭わず働く環境があった」p197 「日本では高いサービス品質をもつサービス商品が割安な料金で提供されており、その結果、労働生産性が低くなっている(深尾京司・池内健太)」p215
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今や社会問題である物流危機。「即日・無料配達」といった利便の陰には、働けど働けど暮らしは一向に良くならない労働者(トラックドライバー)の実態があった。サービスといえば無料のことだと理解されがちな日本では、労働者が質の高い仕事(サービス)を提供すればするほど生産性は上がらない。サー...
今や社会問題である物流危機。「即日・無料配達」といった利便の陰には、働けど働けど暮らしは一向に良くならない労働者(トラックドライバー)の実態があった。サービスといえば無料のことだと理解されがちな日本では、労働者が質の高い仕事(サービス)を提供すればするほど生産性は上がらない。サービスに正当な商品価値を与えるにはどうしたら良いか。著者は、賃金は運賃と異なり、独禁法で規制されず、一企業を越えた産業全体での引き上げ(賃金カルテル)が可能であり、社会的連帯を強化し、今ある労働のあり方を見直す必要があると主張する。
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学生の卒論参考資料として入手したが、自分自身の参考になりそう。 労働環境という切り口はありそうでこれまでなかったかも知れない。 しかし、最も重要なポイントを押さえているのではとも思う。
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