承久の乱 の商品レビュー
承久の乱 真の「武者の世」を告げる大乱 著:坂井 孝一 中公新書 2517 鎌倉初期、東国は、鎌倉幕府、西国は、朝廷という、2重の権力構造をとっていた ■承久の乱の結論 源実朝死後に、東国の朝廷への巻き返しをはかったが、敗北、日本全国が、鎌倉幕府のもとに統一された ①朝廷...
承久の乱 真の「武者の世」を告げる大乱 著:坂井 孝一 中公新書 2517 鎌倉初期、東国は、鎌倉幕府、西国は、朝廷という、2重の権力構造をとっていた ■承久の乱の結論 源実朝死後に、東国の朝廷への巻き返しをはかったが、敗北、日本全国が、鎌倉幕府のもとに統一された ①朝廷の暴走を監視するために六波羅探題を強化 ②西国にも、東国地頭がおかれ、鎌倉幕府の全国統一がなった 恩賞として、東国武士へ ③平安から続く、土地問題などの紛争処理を円滑に処理するため、御成敗式目が作られて、武士の朝廷への優位が明文化された ■承久の乱に至る概況 1199 頼朝急死 1203 頼家危篤、北条比企の確執により、頼家殺害される 実朝征夷大将軍へ 執権北条時政により、政敵の排除続く 1205 畠山重忠 滅亡、北条時政失脚、尼将軍政子、実弟北条義時政治を主導 1209 実朝親政へ 1213 和田合戦 ~この間、鎌倉幕府、後鳥羽上皇との協調関係すすむ~ 実朝の後継将軍をめぐって、幕府と朝廷との確執 後鳥羽の息子を将軍へとの思惑 1219 三代将軍源実朝暗殺 1221 承久の乱勃発 倒幕ではなく、北条義時への追討が名目 尼将軍政子の名演説 朝廷vs北条 ⇒ 朝廷vs鎌倉幕府へと争点が変化 東国武士は北条へ味方 鎌倉幕府軍は 19万の大軍に 3ルートから京都へ ①東海道ルート 10万 ②東山道ルート 5万 ③北陸道ルート 4万 06/05尾張・美濃の合戦 06/13 瀬田の合戦、宇治の合戦 06/15 入京 東軍の圧勝となる この年 1221 は日本の政治の実権が、朝廷から、鎌倉幕府へ完全に移った、歴史的な年である ■乱後 天皇家、摂関家の人事 後堀川天皇践祚、後高倉上皇院政 九条道家から前関白近衛家実へ 敵対貴族の処分 後鳥羽院、順徳帝などの配流 以後朝廷勢力は、鎌倉幕府がおいた、六波羅探題の監視下に置かれることとなる 西国武士の処分、東国武士が地頭権を得て移住することに、鎌倉幕府の西国支配の完成 1232 御成敗式目 法令の明文化により、鎌倉幕府の政治方針が確定した 文化面への影響 軍記物の成立・成長 保元物語 平治物語 平家物語 愚管抄 吾妻鏡 が当時の同時代的記録 新古今和歌集の成立 目次 はじめに 序章 中世の幕開き 1 院政の成立 2 武者の世の到来 3 豪奢にして多彩なる文化 第1章 後鳥羽の朝廷 1 源頼朝の幕府草創 2 文化の巨人 3 君臨する帝王 第2章 実朝の幕府 1 三代将軍源実朝 2 鎌倉激震 3 朝幕協調の平和 4 将軍惨殺 第3章 乱への道程 1 実朝横死の衝撃 2 妥協から敵対へ 3 承久の大内裏造成 4 乱に向けて 第4章 承久の乱勃発 1 北条義時追討へ 2 動揺する幕府、反撃する幕府 3 進撃する鎌倉方 第5章 大乱決着 1 最後の攻防 2 大乱後の京都 3 敗者の運命 第6章 乱後の世界 1 新たな時代の政治 2 新たな時代の文化 終章 帝王たちと承久の乱 あとがき 主要参考文献 関係略年表 ISBN:9784121025173 。出版社:中央公論新社 。判型:新書 。ページ数:304ページ 。定価:900円(本体) 。発行年月日:2018年12月 。発売日:2018年12月20日
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傑作。皆それぞれの立場があって、命をかけてそれを全うしていたんだろうなと想像して号泣した。当時も人が死んだらちゃんと悲しい。
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日本史の大きな転換点となった承久の乱を、前後の史実で浮かび上がらせる書。院政、鎌倉幕府の成立から対立、乱の実態、その後の変化と、読みどころが多い。 それにしても、『鎌倉殿』ロスが続いている、、、
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朝廷と武士との関係に変化を与えた、承久の乱。 それに至るまでの経過を、平安時代の院政の始まりと 武士が台頭から、乱後の情勢まで、粛々と説明してゆく。 序章 中世の幕開き 第一章 後鳥羽の朝廷 第二章 実朝の幕府 第三章 乱への道程 第四章 承久の乱勃発 第五章 大乱決着 ...
朝廷と武士との関係に変化を与えた、承久の乱。 それに至るまでの経過を、平安時代の院政の始まりと 武士が台頭から、乱後の情勢まで、粛々と説明してゆく。 序章 中世の幕開き 第一章 後鳥羽の朝廷 第二章 実朝の幕府 第三章 乱への道程 第四章 承久の乱勃発 第五章 大乱決着 第六章 乱後の世界 終章 帝王たちと承久の乱 国名地図、主要参考文献、関係略年表有り。 文中に適宜、略系図、地図等有り。 承久の乱へ至るまでとその後の情勢と歴史の変遷について、 史料を駆使し、学者や作家の様々な説を考察し、 或いは引用しながら、時代の流れを簡潔に語り、 特に節目にあたる和田合戦のような事件や 政治にも関わる和歌等の事項は、詳細に記述されている。 最初に朝廷。 院政の始まりから権力が絡む対立と武士の台頭。 平氏と源頼朝の動向に関わる後白河法皇。 正統の王とは何かを模索する後鳥羽の、マルチな才能と院政。 次いで鎌倉幕府の将軍、源実朝。 和歌での後鳥羽との繋がりと統治者としての姿。 朝幕協調の平和は、後鳥羽の支援と実朝の将軍親裁の強化。 後鳥羽の子を将軍にして後見する実朝の幕府内院政の夢は、 後鳥羽の日本の帝王への夢とも繋がる・・・はずだったのが、 実朝暗殺により空しく散る。更に大内裏の焼失。 大内裏再建への造内裏役への大抵抗への嵐。 幕府をコントロール出来ないことへの後鳥羽の憤り。 そして承久の乱。 後鳥羽の布石、万全の戦略ではあれど、未来予想図は予測不可。 後鳥羽ワンマンチーム対チーム鎌倉の戦いの状況と決着、 戦後処理とその後までは、かなり詳細に綴られている。 結果、公武の関係が劇的に変わり、武士の世と成る。 本郷和人氏の「承久の乱」は分かり易く簡潔な印象でしたが、 坂井氏は、より詳細で重厚な専門書の印象。 承久の乱とその後について詳しく知りたかった自分としては、 大いに欲求を満たされた内容の本でした。
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後鳥羽上皇は、多芸を嗜んだバランス感覚のある人物であったんだろうなあと勝手に想像しています。 世が世でなかったら、色々な方面で功績を残せたんだろうに。 でも、どこの時代でもこういう人はたくさんいるんでしょうね。
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「大河ドラマ」のお供にと思って買ったが、結局放送が終わってからの読了(笑) 今までは頼朝による平家打倒によって武士の世が到来したと思っていたが、「真の武者の世の到来」は承久の乱を待たねばならなかったという事がよく理解できた。 平家物語でも暗躍する後白河院に比べて地味な印象の後...
「大河ドラマ」のお供にと思って買ったが、結局放送が終わってからの読了(笑) 今までは頼朝による平家打倒によって武士の世が到来したと思っていたが、「真の武者の世の到来」は承久の乱を待たねばならなかったという事がよく理解できた。 平家物語でも暗躍する後白河院に比べて地味な印象の後鳥羽院は、承久の乱の敗者である事と、「新古今和歌集」の撰者である事くらいしか知らなかったが、本書によりその印象はかなり変わった。これは実朝にも言える事だが。 いずれにしても、承久の乱の影響は計り知れなく大きく、幕末の大政奉還までおよそ600年ほどの武者の世が続くことになる。 この乱の結末が変わっていたらとか、実朝が横死しなければとか、いろんなifを考えてみたくなった。
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通史としての鎌倉時代が分かりやすく述べられている。中心となるのは後鳥羽院だが、その存在感は特段の強さがある。勿論承久の乱に敗れ、隠岐への流罪となるが、本来主人公となるべき北条氏の誰よりも個性的に見える。
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源実朝は朝廷への崇敬が篤かった人物とされる。 「山は裂け 海は浅せなむ 世なりとも 君にふた心 わがあらめやも」 この実朝の和歌は君(後鳥羽上皇)への忠誠を詠っている。このため、戦前には愛国百人一首に選ばれるなど皇国史観・軍国主義に利用された。 「君が代も 我が代も尽きじ 石川...
源実朝は朝廷への崇敬が篤かった人物とされる。 「山は裂け 海は浅せなむ 世なりとも 君にふた心 わがあらめやも」 この実朝の和歌は君(後鳥羽上皇)への忠誠を詠っている。このため、戦前には愛国百人一首に選ばれるなど皇国史観・軍国主義に利用された。 「君が代も 我が代も尽きじ 石川や 瀬見の小川の 絶えじとおもへば」 これも実朝の和歌である。これは君が代(後鳥羽上皇の治世)も我が代(自分の治世)も終わることがないと詠っている。上皇と自分を一体化させることで自分の治世を強化させようとする大胆な和歌である。実朝は皇室に一方的に忠誠心をささげるような忠君愛国の勤皇家ではなく、自分の権力のために朝廷を利用する強かな為政者であった。御恩と奉公Give & Takeの世界の住人である。
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この直前に読んだ新書よりは学術寄りかな、中公のプライドかな?ただチーム鎌倉とか微妙かもしれませんけれど。 まぁさておき、義時追討を情報操作•すり替えによって幕府攻撃とした。まさに暗闘に相応しい。どうやらこの著者、大河の監修に関与している?模様だから、この線で行くのかな、行きそうだ...
この直前に読んだ新書よりは学術寄りかな、中公のプライドかな?ただチーム鎌倉とか微妙かもしれませんけれど。 まぁさておき、義時追討を情報操作•すり替えによって幕府攻撃とした。まさに暗闘に相応しい。どうやらこの著者、大河の監修に関与している?模様だから、この線で行くのかな、行きそうだな。
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日本史、殊、鎌倉時代については無知極まりなく。今年は 『鎌倉殿の十三人』にハマりにハマりまくってしまい、本書を手にしました。大河でもクレジットとして名前が出る著者ですね。三部作の一冊目でしょうか。 オッケー承久の乱までの流れ、そして承久の乱後の武家公家の力関係の逆転などそのイン...
日本史、殊、鎌倉時代については無知極まりなく。今年は 『鎌倉殿の十三人』にハマりにハマりまくってしまい、本書を手にしました。大河でもクレジットとして名前が出る著者ですね。三部作の一冊目でしょうか。 オッケー承久の乱までの流れ、そして承久の乱後の武家公家の力関係の逆転などそのインパクトは掴みました。 個人的には、実朝といい後鳥羽といい、和歌などの文化に造詣が深い権力者に魅力を感じてしまいますね。 僕の中では、承久の乱の敗北で何となく間抜けな印象のある後鳥羽の再評価もできました。
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